“人工地震”のデマ投稿、騙されないためには? 心の平静を保つポイントを臨床心理士が解説
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「典型的な人工地震の波長だと思います!」

「東日本大震災も人工地震です」

 13日に福島と宮城で震度6強を観測した地震。Twitterでは一部の人が「人工地震」を主張。地震を人工的に発生させたという荒唐無稽な主張だが、反応した人たちのコメントも相次ぎトレンド入りした。

 【映像】「人工地震です」「外国人の犯罪起きる」実際に投稿されたデマ

 気象庁は地震後の会見で「東日本大震災の余震と考えられる」と発表していて、人工地震については一切触れていない。臨時で会合を開いた政府の地震調査委員会の平田委員長も下記のように述べた。

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「そもそも東北地方の太平洋沖というのは大きな地震、大きなというのはマグニチュード9のような10年前のような非常に大きな地震も起きるし、マグニチュード7~8くらいの地震も度々起きている。それについては長期評価を行う発生の確率は3ランクと一番高いランクになっていると評価しています」(地震調査委員会・平田直委員長)

 デマは人工地震だけではない。「外国人が井戸に毒を入れた」「地震が起きると外国人による犯罪が起きる」という差別的なデマも拡散された。

 「井戸に毒」は1923年の関東大震災で流れたデマを模倣したもの。さすがにこれを真に受ける人は少なかったようだが、大きな地震や災害が起きるたび、SNS上のデマ拡散は繰り返されている。

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 災害時におけるデマ拡散に、臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は「自己顕示欲、あるいは愉快犯的な発想などいろいろな心理的背景がある」と語る。

「特に災害など人間の裁量を大きく超えた事態が起こった際などは、不確実な事実や推論に心を寄せやすい。中には良かれと思って悪気なく拡散してしまう人もいる。特に今回の災害のような、自分の気持ちを落ち着かせる、孤独を解消するためにSNSに投稿して同調を求める心理もある。混乱しているときほど無自覚になりがちなので、そこには意識を高めて注意しないといけない」

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、災害時において心の平静を保つポイントはあるのだろうか。藤井氏によると「『すること』よりも『いること』」「ストレス反応には時間をかけて向き合う」「心を乱すネット情報は相互に確認」の3つのポイントがあるという。

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■「『すること』よりも『いること』」

「東日本大震災の経験も踏まえて、被災地では『早く復興しないと』『元に戻らないと』という心理や欲求が当然働く。それも大事だが、すぐにはどうにもならないことも多い。まず震災直後に心を平静に保つためには、お互いを見守ったり、他の人の存在を感じたりしつつ、一緒にいることが大切。自分だけじゃないって思えることが長期的にも被災からの復旧や復興を支えていく」(藤井靖氏)

■「ストレス反応には時間をかけて向き合う」

「被災は大きなストレスになる。体調不良や食欲不振、頭痛、不眠もあるだろうし、いろいろなものに過敏になったり、苛立ったりする。さらには過去のトラウマがフラッシュバックしたり、中には(過去の震災では)事実に対して実感が伴わずぼーっとしてしまう方も多くいた。これは誰にでも起こる心と身体を守るための正常な反応。時間をかけて不調と向き合いつつ、ライフラインが普及して日常生活が戻ってくると、一過性の不調が少なくなってくる」(藤井靖氏)

■「心を乱すネット情報は相互に確認」

「SNSを通じて流れるネットの情報には嘘やフェイク、混乱した心理をあらわすような情報が多い。そうすると、気持ちもかき乱されるし、実際の行動にも影響する。個人的に重要だと感じられたり、自分の生活に影響すると思われるものは、まずは情報を家族など相互の目で確認する。複数の目で見て、自分だけの判断で反応しないことが大切」(藤井靖氏)

 当たり前の反応と思って不調を受け止める。悪質なデマに騙されない平常心を保ち、悪循環にならないためにも、災害時のストレスは時間をかけて向き合う必要がありそうだ。

ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)

【映像】災害時のデマや差別投稿 心の平静を保つポイント3つ
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