17日より一部の医療従事者を対象に新型コロナワクチンの先行接種が始まる。

 日本より先にファイザー製ワクチン接種が始まったイスラエルでは、接種済み60万人と未接種60万人を比較調査。ワクチン接種による効果は「症状が出ない効果」は94%、「重症化回避の効果」は92%だった。また、2回目の接種から2週間以上で最も効果を発揮するとしている。

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 日本でも来月中旬には、診療に関わる医療従事者ら約370万人に接種が開始され、4月1日以降に65歳以上の高齢者約3600万人を優先接種。その後、基礎疾患のある人、高齢者施設の従事者に続けて一般の接種が行われる。

 厚生労働省は高齢者の接種と同時に、SNSで接種後の健康状態を調査すると発表。接種当日、1週間後、2週間後にそれぞれ発熱の有無や注射した部位に問題がないかなどを調査する。接種会場では希望者を募り、延べ300万人の回答を集め、広く提供する。

新型コロナワクチン、効果とリスクはどう伝える? メディアが持つ責任「不安を煽らず正しい情報を」
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 このニュースに、「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介氏は「できるだけ早く、多くの人に(ワクチンを)打っていくことが大切」と述べる。

「ワクチンは冷凍保存が必要で5日以内に使い切らないといけない。事前の訓練では、問診に時間がかかって、思うように人数を捌けないといった課題も浮き彫りになった。ワクチンを無駄にしないためにも、大勢の人に打つにあたってきちんと効率よく接種できるような体制を整えていかないといけない」

 ワクチン接種に関して、神庭氏は「メディアが不安を煽っている」と指摘。「新しいワクチンに対して一般の人が『心配だ』と感じるのは自然で仕方のないことだが、その感情を増幅させるような非常に良くない報道が見られた」と話した。

新型コロナワクチン、効果とリスクはどう伝える? メディアが持つ責任「不安を煽らず正しい情報を」
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「新型コロナワクチンを子宮頸がんワクチンの二の舞にしてはいけない。子宮頸がんは日本で年間約1万人が発症し、約3000人が亡くなっている。日本では未だに子宮頸がんワクチンの積極的勧奨を控えていて、背景には副反応への不安を過剰に煽る報道があった。これによって、救われたかもしれない命が毎年、失われている」

「ワクチンは新型コロナの感染収束の鍵を握っている。メディアは過度に不安を煽るのではなく、きちんとベネフィットとリスクを伝えること。接種後に体調不良が起こったとして、本当にワクチンとの因果関係があるのかも説明・検証しなければいけない。たとえば副反応の出た人が100人だと報じる時に、分母が1000人なのか100万人なのかで受け手の印象はまったく変わってくる。分母をしっかり示して、安全性を伝えることが必要だ」

「コロナ禍になって『正しく恐れる』と言われるようになったが、逆にいえば『正しく安心する』ことも重要。正しく安心するためには、メディアが正しい情報をちゃんと流さないといけない」

 依然、感染者数に歯止めがかからない新型コロナウイルス。ワクチンは未来の希望になるのか、報道メディアにも責任が大きくのしかかっている。

ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)

【映像】過剰ではなく正しく怖がる ワクチン
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