森会長の後任人事をめぐって揺れる東京オリンピック・パラリンピック組織委員会。しかしそれ以上に気になるのが、予定通り開催ができるのか否か、ではないだろうか。
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17日の『ABEMA Prime』に生出演した国際体操連盟会長でIOC(国際オリンピック委員会)委員の渡辺守成氏は、「IOCとしては開催の方向で進んでいると思うが、委員の私ですら、どのような段階まで進んでいるのかは知らない。一方で、私が会長を務める国際体操連盟などは着々と準備を進めている。そこで最も大きな問題になるのが予選会なので、私もこの1週間、夜中に各国の関係者と日程や会場の調整のテレカンファレンスをやっていて、ほぼ寝ていない。他の連盟の関係者も、みんな徹夜で準備を進めているという状況だろうし、“開催しないのではないか”というような疑念を持って動いている人はいないと思う」と話す。
「私も心情的には22年まで延ばしてあげたいと思うが、現実的には(2度目の延期は)難しい。国際体操連盟の会長の立場から言わせてもらえば、来年には2024年のパリ大会の予選が始まってしまう。そのタイミングで東京大会をやるよというのはありえない。選手たちとしても、今年に延期するのだけでも大変だった。予選会などの会場の面から言っても、延期するくらいなら次は24年のパリ大会で、ということになってしまうと思う」。
組織委員会参与も務める慶應義塾大学特別招聘教授でドワンゴ社長の夏野剛氏は「冬季大会と夏季大会が分離した時、冬のオリンピックが2年間隔になったことがあるので、森会長が在任していれば“もう1回延期”というのもゼロではなかったと思うが、もう調整がつかないから無理だ。そして当然、組織委員会でも色々な検討はしているが、その内容を少しでも言おうものなら、メディアがぶっ叩くだろう。“税金でやっているんだから発表しろ”などと言う人もいるが、何を言ったって必ず批判するだろう」と指摘。
「オリンピックというのは、3、4カ月前になると“こんなの間に合わない”とか“こんなのやるべきじゃなかった”といった話が出てくるもの。しかし、やってみると必ず盛り上がる。しかも非難していたメディアが一番盛り上がって、“いや~やって良かったね”となる。だから現時点の世論調査も全くあてにならない。運営側としては、ギリギリ中で判断ができるのは3末~4月頃になると思う。然るべき時期に然るべき判断を下して、そこからはノーリターン。そこまでは発表しないというのは当然だと思う」。
■着実に実績を出しつつある「バブル方式」
開催に向けて重要なポイントになるのが、選手や大会関係者、そして観客の感染防止対策だ。
渡辺氏が会長を務める国際体操連盟では、昨年東京で開催された国際大会において徹底的な「バブル方式」と呼ばれる厳格な感染対策を実行。選手に対し来日前の隔離生活、外出禁止、徹底した消毒、毎日のPCR検査などを課した。観客も上限を2000人に設定。結果、1人の感染者を出すことなく大会は成功裏に終了。内村航平選手も「できないではなくて、どうやったらできるかをみなさんで考えて、どうにかできるように」と訴えた。
「すでに各国でバブル方式が導入され始めている。ただ、入国前に2週間のバブルを作るということは非常にキツく、ちょっと油断すると失敗してしまう。オーストラリアで開催されたテニスの国際大会でも感染者が出てしまったが、事例、エビデンスがどんどん積み重なっていっている。今もテルアビブでは100カ国から800名の選手が集まり、コンタクトスポーツである柔道の国際大会が開催されている。対策を徹底すれば安全にできるという状況だ」。
加えて、日本でも昨日から医療従事者へのワクチン接種が始まった。海外では代表選手を優先接種の対象に加えている国もある。「そういう方向性に対して、国としてハンガリーとかクロアチアなどでは選手に優先接種を行っているところもあるが、IOCの会議でも、やはり医療関係者など、必要な人たちを優先してほしいという意見が多く、基本的に選手たちはネガティブだ」。
さらに観客への感染防止対策については、「パークを作り、その中で人が自由に動けるようにするというアーバンスポーツも担当しているが、その魅力を維持するためには、やはり観客もバブルにする必要がある。それができなければ、危険を冒してまで観客を入れるべきではないと思っている。そこで、例えばスマートフォンを用いて健康チェックを行えるようにする。これが発展すれば、国民の健康を管理できるようなシステムの開発にも繋がっていくと思う。このピンチをチャンスに変え、スポーツから産業を伸ばしていくこともできると思う」と、ITの積極活用を訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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