羽生善治九段が作った伝説級の記録たち 七冠独占・永世七冠・タイトル通算99期
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 プロの将棋界をまとめる日本将棋連盟が生まれたのが1927年のこと。100年近い歴史がある中で、平成の将棋界において主役であり続けたのが、羽生善治九段です。史上3人目の中学生棋士としてデビューした後、築き上げた記録の数々は、どれも伝説として語り継がれるようなものばかり。将棋界初となる国民栄誉賞にも選ばれたことは、まだ記憶にも新しいところです。藤井聡太王位・棋聖の大活躍も目覚ましいですが、不世出のレジェンド・羽生善治九段の記録たちには、まだ遠く及びません。ここではそんな羽生善治九段の偉業を紹介します。

第1回AbemaTVトーナメントinspired by羽生善治 - 本戦対局集
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史上3人目の中学生棋士・羽生善治九段が活躍するプロの将棋界

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 羽生善治九段が活躍をし続けるプロの将棋界とは、どんなところなのでしょうか。参加人口は全国で600万人以上と言われる将棋ですが、現役のプロとして活躍する棋士の数は例年160~170人ほど。全体の0.003%ほどになる超エリート集団です。全国の将棋少年たちが、幼いころから棋士を目指して対局と勉強を繰り返しますが、プロになれるのは1年で原則4人だけ。その中で、羽生善治九段は中学生で既に四段昇段を果たし、将棋史に名を残す棋士となっていきます。

第3回AbemaTVトーナメント
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羽生善治九段の基本情報

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 平成時代に大活躍した羽生善治九段。小学1年生で将棋を覚えて以来、その才能を早くから発揮。育成機関である奨励会も、記録的なスピードで駆け抜け、あっという間にプロの世界に飛び込みます。ここではそんな“羽生少年”がどんな道を歩んできたか、またプロになってからどんなところで注目を集めてきたのかを確認していきます。

第1回AbemaTVトーナメントinspired by羽生善治 - 決勝トーナメント - 決勝トーナメント1回戦 羽生善治竜王 対 佐々木大地四段
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羽生善治九段のプロフィール


 羽生善治九段は、1970年9月27日に埼玉県所沢市に生まれます。後に東京都八王子市に引っ越した後、小学1年生で将棋と出会いました。将棋に一生懸命になる様子を見た母に連れられて、地元の道場「八王子将棋クラブ」に行ったのが小学2年生の時。道場内でもどんどんと棋力を伸ばし、高学年になるころにはアマチュア高段者レベルに上達。小学6年生の時、小学生将棋名人戦で優勝したことを契機に、二上達也九段に弟子入り、奨励会入りします。ここから中学3年生の冬、1985年12月に四段昇段、プロ入りを果たすまでわずか3年。奨励会入りからプロ入りまで、ほぼノンストップで駆け上がったことがわかります。プロ入り後は、数々の大記録を打ち立てたことは、将棋ファンであれば誰もが知るほど有名です。

第1回AbemaTVトーナメントinspired by羽生善治 - 決勝トーナメント - 決勝トーナメント準決勝 羽生善治竜王 対 佐々木勇気六段
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羽生善治九段、対局中の仕草


 35年を超えた羽生善治九段のプロ人生ですが、数々の名局以外でも、多くのエピソードを残しています。中でも、現在でも見られるものが仕草です。最も有名なものが、終盤に見られる指の震え。これは羽生善治九段が、勝ち筋が見えた最終盤に自然と出るものと言われています。手元が映ることが多い放送対局において、この震えが出ると視聴者の盛り上がりも一気に高まり、その震えが大きいほど「ハブニチュード」といった造語とともに語られます。

 若い頃によく見られていたのが「ハブにらみ」と「寝癖」です。前者は、上目で対局者を見る様子が、にらんでいるように見えたことからそう言われてきたものです。また寝癖については、タイトル戦のような注目局であっても、そのままであることも珍しくなく、ファンからは「アンテナが立っている」と、調子のバロメーターとして見たり、トレードマークとして楽しんだりする声もいまだに多いです。

藤井聡太四段 炎の七番勝負 - season1 - 第7局 羽生善治三冠戦
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羽生善治九段の記録

羽生善治九段が作った伝説級の記録たち 七冠独占・永世七冠・タイトル通算99期
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 繰り返しになりますが、羽生善治九段がレジェンドと呼ばれる最大の理由は、その抜きん出た成績によるものです。将棋界にある最多記録は、羽生善治九段ではない方が珍しいと言われるほど。有名なものからレアなものまで、いったいどれだけの記録を作っているのでしょうか。

朝日杯 - 第11回 - 第11回 朝日杯将棋オープン戦 準決勝・決勝
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羽生善治九段が作った伝説級の記録たち 七冠独占・永世七冠・タイトル通算99期
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羽生善治九段の記録【タイトル】


 平成時代のタイトル保持者一覧を見ると、どれだけ羽生善治九段が多くのタイトルを獲得してきたかがわかります。その数、実に99期。タイトルをかけた番勝負への出場回数、137回とともに歴代最多の記録になっています。2018年度の竜王戦でタイトルを失い、27年9カ月ぶりに無冠になりましたが、無冠になったことがニュースになるのも、将棋界では羽生善治九段ぐらいのものでしょう。獲得したタイトルの数は、序列で並べると竜王7期、名人9期、王位18期、王座24期、棋王13期、王将12期、棋聖16期。タイトル戦に昇格してからまだ3期の叡王戦は、番勝負に進出したことがないので、近い将来に初出場、初の獲得があるのかは、一つの注目ポイントです。

 これだけ多くのタイトル戦に出場、獲得していれば、関連した記録もいくつも生まれます。有名なのは、叡王のタイトルが生まれる前、タイトルが7つだったころに全て同時に獲得した「七冠独占」は、1996年に達成されました。また、この7つのタイトルで永世称号の資格を得た「永世七冠」も有名です。また王座で記録している24期は、同一タイトルの獲得数として最多。この王座戦では、19連覇という大記録も作っていますが、2004年度の第4局から2010年度の第3局まで、19連勝したというのも圧巻で、2005年度から6期連続してのストレート防衛も、ここで生まれたものです。

[竜王戦挑戦者第3局]羽生善治九段、勝利者インタビュー!
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羽生善治九段の記録【一般棋戦】


 一般棋戦の記録を見ても、そこに並ぶのは羽生善治九段の名前ばかり、といった状況です。優勝回数45回は歴代最多。NHK杯テレビ将棋トーナメントの永世称号である、「名誉NHK杯選手権者」は、優勝10回が条件というハードなものですが、羽生善治九段は11回優勝でこれをクリア。唯一の有資格者になっています。このほか、羽生善治九段が出場資格を得られる朝日杯将棋オープン戦、銀河戦、将棋日本シリーズ JTプロ公式戦の3棋戦においては、それぞれ5回ずつ優勝を果たしています。

2020年度「将棋日本シリーズ」一回戦第一局 羽生善治九段 対 久保利明九段
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羽生善治九段の記録【その他】


 タイトル、優勝以外でも羽生善治九段の持つ記録は、まだまだあります。年度末に活躍した棋士を表彰する将棋大賞では、MVPにあたる最優秀棋士賞を22回受賞。最多勝利賞14回、最多対局賞12回、勝率第一位賞7回を記録しています。また2000年度の年度別記録は突出しており、89局で68勝はどちらも最多記録。月にならせば7局以上指し、6局近く勝つという、多忙をもろともしない強さだったことがうかがえます。また通算勝利数では、大山康晴十五世名人を抜いて、歴代1位。2021年度には、通算1500勝に届くのではとも言われています。

第3回AbemaTVトーナメント - 本編 - 羽生善治九段、藤井聡太七段登場!予選Dリーグ 第二試合 チーム永瀬VSアベマドリームチーム
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羽生善治九段、今後に期待される成績・記録

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 全国の将棋ファンが待ち望んでいる羽生善治九段の次なる記録が、前人未到のタイトル100期です。昨年、2年ぶりに竜王戦七番勝負に登場し、豊島将之竜王(叡王)に挑戦しましたが、惜しくも1勝4敗で敗れました。どのタイトル戦でも上位リーグなどで活躍しているだけに、まだまだタイトル獲得のチャンスはあります。一部では「残された最後の大記録」とも言われており、ここのタイトル100期が羽生善治九段にとっても大きな節目の記録にもなることでしょう。

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羽生善治九段の記録について知れるサービス

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 羽生善治九段が作り上げた数々の記録をチェックするには、日本将棋連盟の公式ホームページが最も便利です。年度別、通算、棋戦別など、確認方法はいろいろあり、それを組み合わせることで、より詳細なデータを得ることができます。対局の様子を見たいのであれば、「ABEMA」が最も多くの対局を配信しています。タイトル戦はもちろん、通常のリーグ戦、トーナメントでも配信されており、羽生善治九段の記録がかかる大一番ともなれば、注目度もさらに高まります。ABEMAで配信がされない王将戦、銀河戦については、「囲碁・将棋チャンネル」で楽しむとよいでしょう。

羽生善治九段のまとめ

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 多くの将棋ファンだけでなく、プロの棋士たちにも多大な影響を与えた羽生善治九段。50代に突入しても、その強さに若手実力者が脱帽というシーンもまだまだ多く見られます。新たな大記録達成をかけて、藤井聡太王位・棋聖とタイトル戦で戦うようなことがあれば、またもや将棋界に、さらには日本中が大きく盛り上がる一大イベントとなることでしょう。

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