「俺は褒めないから」青木真也のダメ出しに見る“大器”・平田樹への期待感
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(試合後、青木が平田に厳しい言葉をかける)

 2月22日に開催された『Road to ONE』は、若い選手をフィーチャーした大会だった。サブタイトルは『YOUNG GUNS』。メインイベントに登場したのは21歳の平田樹だ。『格闘代理戦争』女子シーズンで優勝しONE Championshipと契約、3連勝を飾っているホープである。大会キャッチコピー「ガキには、未来しかない」も平田の言葉。

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 対する中村未来は修斗を主戦場に3勝3敗のレコード。すでに海外の舞台で活躍する平田のほうが“格上”と言ってよく、この大チャンスに燃えていた。その気合いが平田にも伝わったのかもしれない。序盤から組みついてテイクダウン、有利に試合を進めるのは平田なのだが、完全には主導権を握ることができない。中村も粘って立ち上がり、得意の打撃で逆襲を狙う。

 柔道出身の平田も、この試合では打撃での勝利を狙っていた。今回は1年ぶりの試合であり、この1年間で最も熱心に練習してきたのが打撃だったのだ。ONE本戦ではトーナメントも予定されており、組技だけでないよりトータルな実力を身につける必要があった。久々の日本での試合を、そのお披露目の場にもしたかった。

 実際に打撃を繰り出す場面もあったのだが長く続かない。組み、押し込んでテイクダウンという展開が続く。フィニッシュは首投げからケサ固め、腕を抑えてのパウンド連打。平田が得意とする、いわば必勝パターンだ。

 この大会の解説を務めた青木真也は、平田の試合ぶりに苦言を呈した。

「まったく成長していなかった」

「誰かモノを言う人間が必要」

「俺は褒めないから」青木真也のダメ出しに見る“大器”・平田樹への期待感
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(組んでの展開は優位に進めた平田だが…)

試合後、ケージに入った青木は平田に声をかけていた。平田によると、こんなことを言われたそうだ。

「みんな悪いことは言わないだろうから、俺は褒めないよ。どんなに頑張ってても、それが(試合に)出てない。狙いすぎじゃない? パターン決まっちゃってるからもっと練習しないと。次の試合でどうするかは自分しだいだよ」

 ここまで覚えているということは、それだけ心に刻まれた言葉だということだろう。平田自身、試合にはまったく満足していない。

「試合したのにしてないようなモヤモヤした感じです。練習でできたことが試合でできてないというのが嫌です。明日から練習します。次の試合を早く組んでくれって(関係者に)お願いしました」

 大会後の青木は、こんなことも言っていた。

「あれじゃダメなんですよ。首投げからフィニッシュってデビューの頃と同じでしょう。あれだと、ここでは勝てるというだけ」

 ここで一本勝ちすることが、平田のキャリアのゴールではない。その先にある、本人も言った「未来」を照らすような試合を平田はしたかったし、青木も見たかったのだ。

 それだけ、青木の平田への期待は大きい。大会エンディングではメインのプレッシャーに耐えての闘いを称えてもいた。この試合での悔しさをどう活かすか。次戦への注目度は、むしろ上がったのではないか。

文/橋本宗洋

写真/ONE Championship/ SUSUMU NAGAO

【映像】青木が“ダメ出し”をした試合
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