今、キック界で新たな“激戦区”として注目されている階級が53kgだ。那須川天心を筆頭にハイレベルな選手が揃う立ち技格闘技イベントRISEでは、今年この階級(スーパーフライ級)のトーナメントを開催する。それだけに選手のモチベーションが上がり、闘いも激しくなる。

 2月23日の後楽園ホール大会では、セミとメインでスーパーフライ級の試合が組まれた。もちろんトーナメントを見据えてのマッチメイクだ。

 セミファイナルでは、復帰戦の風音が勝利。相手は新日本キック協会で2階級制覇を達成したHIROYUKIだけに、この勝利の価値は大きい。

 近距離で「練習してきた」というショートの右ストレートをヒット、ダウンを奪って判定勝利した風音。クロスカウンターが見られたことについては「減量中に『ろくでなしBLUES』全巻読んだからですかね。漫画に出てきますからね(笑)。バイブル? バイブルの意味が分かんないけどたぶんそれです(笑)」。

 このキャラクターも含めて、風音は今後さらに注目されそうだ。もちろんトーナメント参戦、ベルト奪取への意欲も満々。RISE伊藤隆代表は、トーナメントへの査定となる風音の試合をもう1つ、組みたいという。

 メインイベントでは、この階級のチャンピオンである大崎一貴が登場。対戦した一航はNJKF、WBCムエタイのベルトを獲得した実績のある選手だ。

 試合は重いパンチに加えカーフキックも繰り出した大崎が判定勝ち。しかし2-0、ジャッジ1人はドローとする接戦だった。一航は強烈なミドルキックでチャンピオンを苦しめている。試合中から、大崎の肩や脇腹にはアザが。これで大崎は左のパンチを封じられた面もあるという。

 試合後の大崎は「トーナメントには出るだけじゃなく優勝しないと。そのためにはこれじゃダメですね」。ただ実力者に勝利したことは間違いなく、伊藤代表はトーナメント出場を当確とした。

 伊藤代表によるとトーナメント出場枠は4。5月あたりまでセレクションマッチを行なっていくというから、2.23後楽園のように盛り上がっていきそうだ。

 前チャンピオンの田丸辰(今大会の解説を担当)も復帰が決まり、またこの階級には大崎がリベンジを狙う石井一成もいる。その石井は24日の「NO KICK NO LIFE」で激闘を展開。ここでも、53kgの盛り上がりが感じられた。しばらくは「RISE-53kgトーナメントに誰が出場するのか」が話題を呼びそうだ。この階級、それだけの選手が揃ってきている。

文/橋本宗洋

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メインで勝利、トーナメント出場当確の大崎一貴