(1の続き)東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言を機に、男女共同参画に関する議論が加速している。
「日本のジェンダーギャップ指数が153か国中121位。やはり女性の意見が半分に近づくことが、そして多様性が担保されることが日本の社会をよくする」。自民党内でも15日、稲田朋美衆院議員が共同代表を務める「女性議員飛躍の会」のメンバーが、女性候補者の擁立や幹部へ登用について二階幹事長に提言。ところが役員会や総務会などへの参加は“オブザーバー”扱いとなったことから批判が噴出した。
■“国会議員になりたいのであれば女を捨てろ”
この問題について野田聖子幹事長代行は22日、「直接執行部、幹事長との対話が必要だということで、意見交換会を近々設けさせていただきたいということになっている」と回答している。
これについて『ABEMA Prime』(25日)に生出演した野田氏は「二階幹事長は82歳で、いわば昔の世代の人。それでもお母様は女医さんだったので、あの世代の人にしては、働く女性について極めて理解がある。しかし何ができるのかということについては専門ではないので、自分がいつも出ているハイレベルな会議に女性議員が参加し、慣れてくれるといいな、ということをパッと思いついたということだと思う。今回、ネット上でも跳ねたおかげで、幹事長や周辺の人たちも、“そういうことではないのだ”と気づいた。私としても、より現実的な対応をしたいなと思った。女性議員を飾りのように置いておくのではなく、中に入れるようにするにはどうしたらいいかということで、高い地位の人とサシで“こういうことはやろう、こういうことは嫌だ”と話す機会を作るのが建設的だ、いうことに落ち着いた」と説明する。
そんな野田氏が始めて選挙に出たのは29歳のとき。“国会議員になりたいのであれば女を捨てろ”と言われたという。
「つまり国会議員の仕事は男の仕事であり、大相撲のように女は土俵に上がってはいけないのだと。今でもその雰囲気は残っていて、個性的な人しかなかなか出てこられないと思う。私の場合、上におもねることなく生きてきたこともあって、若い女性議員たちが“そんなことじゃないんです”と言いに来てくれた。みなさんからするとスローに見えると思うが、自分一人しかいなかった頃のことを思えば、動き始めたかなと思っている。
そして、インターネットのお陰もあると思う。私たちは新聞、テレビ、雑誌だけの情報だけで物事を進めていきがちだし、次の週刊誌に出なければもう大丈夫というような甘い認識もあった。しかし、今は一度情報が出ると、本質的な価値観が世界と離れたままでは許されないと、国内はもとより世界中に波紋が広がっていく。今回の森前会長の発言で、改めてそのことが共有できたと思う」。
■「森発言のピンチをチャンスに」
さらに野田氏は、「森会長の発言がなければ、東京オリンピック・パラリンピックの日本の責任者3人が全て女性というのは、100年先にもなかったかもしれない」と指摘する。
「女性だから良いというわけではないという声もあるが、まずは“見える化”しないといけないと思う。言葉や頭でわかっていたとしても、やはり橋本さんと小池さんと丸川さんを毎日見ていると、慣れてくる。それがひとつのスタンダードのようになれば、ボスが女性であることに何らの違和感も感じなくなる。ここからピンチをチャンスに変えていくべきだ。
“クリティカル・パス”と呼ばれているが、10人のうち、女性が4人にれば相当いいディスカッションができると言われている。残念ながら産休・育休のある女性は就業が不安定だからということで男性ばかりを正規社員にするのを残した結果、責任のあるポジションにいる女性、トレーニングを受けた女性が育っていない。そこでまずは社外取締役に女性を入れようということはだいぶ進んで来たと思う。政治の世界でも、少しずるい手かもしれないが、過疎化し、手を挙げる人のいなくなった自治体の議会に、積極的に女性の仲間たちを入れていって、政治に慣れてもらう。地方の政治は生活に密着した課題、男女差のない仕事がたくさんある。そういうところから、政治に対するアレルギーを無くしていければと思う」。
■「“なんて生意気な女だ”と怒られた」
番組視聴者からは、菅総理の長男ら東北新社による総務省幹部らへの接待問題を念頭に、「“飲み会を断らない女”が話題だが、会食に参加しなければ昇進できないということについてどう思うか」との質問も寄せられた。
野田氏は「おいしいものを食べて幸せを感じて、友達と色んな話ができる会食自体が悪いということではないし、公務員についても会食をしてはいけないというわけではない。ただ、ルールを守らなかったことが問題だ」とした上で、次のように訴えた。
「日本には“お酒を飲まないと本音を言えない”というようなところがあるし、特に夜の会食は男性中心の場で、そしてビジネスの場になっている。上に誘われたのに断るのは忠誠心がないと、人事査定にまで影響する。だからこそ、会合に行けないことで仕事に影響が出ると考える。若い頃、ある方に呼ばれて食事をしていると、いきなり資料を出して仕事の話を始めた。私が“お酒を飲んだ時は仕事はしません”と言うと、“なんて生意気な女だ”と怒られた。しかしアメリカなどでは職場の人と飲みに行くことはあっても、“for fun”というか、仕事の延長線上ではないはずだ。そういう日本の風土は変えていく必要があると思う」。
それゆえ永田町では“一匹狼”だという野田氏。
「国会議員は仲間や派閥で毎晩のように会い、楽しく情報交換をしたり愚痴を言い合ったりしているのだろうが、私は一人でやってきたし、そういう仲間は少ない。むしろ企業や女性団体の人たちと会食をし、意見を聞いたりして楽しく過ごしてきた。しかもお酒が強いものだから(笑)。確かに外の人といくら仲良くしていても、総裁選に出るための第一次予選には20人の議員がいいねと言ってくれないとダメだ。だから他の国会議員たちと日頃から仲良くしておきなさいよという意味のことは言われる」。
■「女性大臣の数を増やしたい」もし総理になったら?
女性初の総理総裁を目指し、総裁選にもチャレンジしてきた野田氏。来たるべき日に備え、政権構想を綴った“野田ノート”を作っているという。
「毎年、国会議員に限らず、出会った人たちについて、“この人この大臣にいいな”“この人だったらハッピーになれるかな”と、虎視眈々と。でも20年も経ってしまっているから、辞めてしまった人、違う世界へ行ってしまった人もいる(笑)。ただ、先ほども言った“見える化”で言えば、私は女性大臣の数を増やすことが一番わかりやすいと思っている。“女性議員の数が少ないから”と言われることもあるが、民間人でも閣僚にはなれるわけで、それは総理の考え方次第だ。私は希望者がいれば何人でもいいと思っているし、“能力って何?”とも思う。問題発言をされた大臣もいっぱい見てきたし、むしろ基本的には男性であることが能力のひとつになってしまっていると思う。私はそこを変えていきたい。シンプルに言えば、政治は国民生活の核なんだから、半分は女性。適材適所で、男性を排除することもない。そういうことに熱心な人、そして若い人たちをハッピーにしたいなと思っている土台が共有できれば、それこそ歳をとった人でもいい。そこの多様性も、日本のひとつのチャレンジだと思っている」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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