「34歳でのK-1デビュー」「YouTubeの喧嘩自慢」「郵便局員」…。異色のバックボーンを持つ男が、Krush/K-1期待のホープを強烈なヒザで1ラウンドKO。凶暴なヒザがボディに突き刺さると、対戦相手は腹を押さえ、うつ伏せで悶絶したまま10カウントを聞いた。
2月27日に後楽園ホールで開催された「Krush.122」で、Krush初陣となる大野祐志郎(ALL-WIN team 華王州)が近藤拳成(大成会館/キックボクシングジム3K)との乱打戦を制し1ラウンド、ド派手なKOデビューを飾った。期待の近藤を強烈なボディへのヒザで戦闘不能にすると、視聴者からは「喧嘩自慢本当に強かったな」「番狂わせだ」などと驚きの声があがった。
近藤は兄・大成と弟・魁成の空手三兄弟の次男。Krushではタイトル戦線に絡みK-1でも競合相手に結果を残してきた21歳、次世代期待の一人だ。一方、大野は安保瑠輝也率いるALL-WIN GYMの所属選手で現職の郵便局員。関西圏を中心に29戦の試合経験を持つが今回がKrush初参戦となる。安保のYouTubeチャンネルの企画動画で“喧嘩自慢”として発掘され「裸足のユウジロウ」のニックネームでお馴染みの存在だ。
大野について安保もその高いポテンシャルを評価していたが、ネットでは「さすがに近藤には勝てないだろう」という戦前のコメントがチラホラ。34歳、初の大舞台。“YouTubeの喧嘩自慢”がK-1のリングで通用するのか、注目を集めた。
試合序盤、互いにオーソドックスの構え。大野が右ロー、左ミドルを出すと、近藤は緩急をつけた左ストレートからのローで応戦するが、比較的静かな立ち上がり。
ラウンド中盤、ややプレッシャーを強めた近藤に対して大野が至近距離でのパンチとヒザで一気呵成に攻め立てる。大野がローから右・左・右の強烈なフックを3発、さらに右足でボディを蹴り上げ、最後は左のヒザをボディに突き刺すと近藤が前から崩れ落ちてダウン。腹を押さえ、うつ伏せで悶絶する近藤は立ち上がることができずに10カウントを聞いた。
わずか1分42秒、あまりにも呆気ないKO決着にABEMAで実況を務めた新谷賢太郎アナウンサーが「何が起こりましたかね…」とあ然とした様子で話すと、解説の石川直生も「最初は近藤選手が有利な打ち合いで始まるかと思ったら大野選手のボディ。フック系の打ち合いから…びっくりしました」と応じた。
まさかの結末に視聴者も「嘘だろ」「まじか」と反応。なかには「喧嘩自慢、本当に強かったな」「番狂わせだ」といった声まで聞かれた。近藤は試合後もしばらく立ち上がれず、ドクターに抱えられるようにしてリングを後にした。
試合後にマイクをとった大野は「本職は郵便局員。戦うポストマン覚えてください」と挨拶。試合後のインタビューでは「近藤選手は伸び盛りの選手。準備期間は本当に怖くて、練習が嫌でした」と振り返った。今後の目標については「K-1の舞台で憧れの大和哲也選手とやれるところまで行きたい」と抱負を語った。