那須川天心、“格闘頭脳”と芸術が爆発! 「コンマ何秒の闘い」を制し、さらなる高みへ
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(2枚)

 強敵を得て、那須川天心がさらなる高みへと到達した。

【映像】那須川と志朗の激戦

 2月28日に開催されたRISEのビッグマッチ、横浜アリーナ大会のメインで、那須川は今年初ファイトを迎えた。対戦したのは志朗。一昨年の世界トーナメント決勝で那須川に敗れ、それから“打倒・天心”だけを考えてきた。昨年の挑戦者決定トーナメントではRISEルールへの適応力も見せて優勝、リマッチのチャンスを掴んだ。

 試合の階級は55kg。那須川にとっては久々のベスト体重だ。前日の会見では、55kgでのスピードを「自分でも制御できないかも」と語っていた。ゴングが鳴り、我々はそのスピードを目の当たりにすることになる。左ミドルキックがとにかく速い。これが何度もヒットして志朗を苦しめた。

 オーソドックスに構える志朗に対し、那須川はサウスポー。左ミドルは志朗の正面から当たる形だ。ごく基本的な攻撃と言っていい。だが志朗はムエタイをベースとする選手。ムエタイでは蹴りの攻防が生命線だ。にもかかわらず、那須川のミドルが次々と当たる。予想外の展開だった。主導権を最後まで譲らず3-0の判定勝ち。勝因を解説してくれたのは、試合後の那須川自身だった。

「蹴り中心でというのも作戦の一つでした。いろいろパターンはあったんですけど。向こうはパンチを警戒してる分、0.何秒かカット(蹴りの防御)が遅れる。そこで僕が先手を取れた」

那須川天心、“格闘頭脳”と芸術が爆発! 「コンマ何秒の闘い」を制し、さらなる高みへ
拡大する

 単に速いというだけでなく、緩急も使っていた。

「蹴りをメチャクチャ速く打って、パンチをあえて遅く出したり。志朗選手は僕の速さを研究していたと思うんですけど、そこで遅く打てばギャップが生まれる。そういう騙し合いをしてました。見ててもなかなか分からないとは思うんですけど。究極の玄人好みですね(笑)」

 また「一つ攻撃が当たったら、同じものは入らない」攻防だったとも。とてつもなくレベルの高い心理戦、頭脳戦だったということだ。

「考えてることは同じというか、似てるなと思いました」と語ったのは志朗。那須川も「考えてることが似てる」とコメントしている。頭を使って闘うタイプ同士だからこそ、頭脳戦が熱を帯びることになったのだろう。試合を終え、那須川は「頭が疲れる試合でした」とも。

「負けを認めるしかない。蹴りは自分のほうが上と思ってたんですが。作戦で彼が上だったのかなと」

 那須川の“格闘頭脳”を素直に称えた志朗。この相手だったからこそ、那須川の凄味がこれまでとは違う形で際立ったと言えるだろう。「久々にちゃんと試合をしたなって」と、インタビュースペースの那須川は満足げだった。

 またこれまでの試合とは違い、スーパーサイヤ人ばりに逆立てた髪型で試合に臨んだことも話題に。これは蜷川実花氏撮影によるビジュアルと同じで、試合直前に思い立ってやってみたそうだ。

「芸術は爆発ですよ」と笑った那須川。蜷川氏など、他ジャンルの一流のプロから刺激を受けることも多いという。それは那須川にしかできない経験であり、それがさらに彼を強くし、研ぎ澄ませていく。

文/橋本宗洋

(C)RISE

【映像】那須川と志朗の激戦
【映像】那須川と志朗の激戦
YouTubeの喧嘩自慢、ド派手KOデビュー! “悶絶”のヒザに「本当に強かった」「番狂わせだ」 【ABEMA 格闘TIMES】
YouTubeの喧嘩自慢、ド派手KOデビュー! “悶絶”のヒザに「本当に強かった」「番狂わせだ」 【ABEMA 格闘TIMES】
ABEMA TIMES
セコンドの1Rタオル投入に「えっ?」選手愕然… よもやのTKO決着も陣営判断を支持する声 【ABEMA 格闘TIMES】
セコンドの1Rタオル投入に「えっ?」選手愕然… よもやのTKO決着も陣営判断を支持する声 【ABEMA 格闘TIMES】
ABEMA TIMES
この記事の写真をみる(2枚)