スプーンも有料化?プラスチック新法案への疑問 反対論者「使い捨てマスクの議論もされていないのに…消費者に負担をかける以上、検証と効果の提示を」
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(8枚)

 政府が9日、プラスチックごみの削減やリサイクルに向けた新法案を閣議決定した。コンビニのスプーンやホテルのアメニティーなど、使い捨てプラスチックを大量に無償提供している事業者に対し削減の義務を課すことが盛り込まれており、小泉環境大臣は「2050年に向けプラスチックの分野においては完全サーキュラーエコノミー(循環型経済)に変わっていく、そのスタートとなる法律だ」と自信をみせた。

・【映像】スプーンまで有料化を検討 レジ袋の効果検証は?

 しかし、一昨年から始まったレジ袋の有料化を踏まえ、ネット上には「コンビニでバイトしている身にとっては、確認が増えて大変」といった困惑の声も上がっている。

スプーンも有料化?プラスチック新法案への疑問 反対論者「使い捨てマスクの議論もされていないのに…消費者に負担をかける以上、検証と効果の提示を」
拡大する

 東京大学海洋アライアンス上席主幹研究員でサイエンスライターの保坂直紀氏は「選挙について“自分が1票投じようが投じまいが何も変わらないよ”と言うのと似た部分があるのではないか」と話す。

スプーンも有料化?プラスチック新法案への疑問 反対論者「使い捨てマスクの議論もされていないのに…消費者に負担をかける以上、検証と効果の提示を」
拡大する

 「これからはプラスチックの使用量を減らしていかなくてはいけない。確かにプラスチックだけでことが完結しないのは確かだ。見積もりにも様々なものあるが、石油の約80%は動力や熱源に使われていて、プラスチックの原料になるのは全体の3%とも言われている。そう考えれば、燃料に使う方を削減した方が効果は大きいはずだ。それでもプラスチックを無駄に使い、無駄に捨てていることを常に意識するということも、社会を変えていくためには大事なことだと思うし、そのためのきっかけとしてやってみる価値はあるのではないか、ということだ。仮に皆が有料でもスプーンを買い続け、全く減らないということであれば考え直せばいい。日本の悪いところは、一度決めるといつまでもそれを続けてしまうこと。政策が誤っていたことを認めるのが嫌いだから。その意味で、私は“消極的賛成”の立場だ」。

スプーンも有料化?プラスチック新法案への疑問 反対論者「使い捨てマスクの議論もされていないのに…消費者に負担をかける以上、検証と効果の提示を」
拡大する

 一方、消費者問題研究所代表で食品問題評論家の垣田達哉氏は「コロナ政策と同じで、消費者に負担させる以上、どのような効果があるのかを具体的に示すべきだ」と指摘する。

スプーンも有料化?プラスチック新法案への疑問 反対論者「使い捨てマスクの議論もされていないのに…消費者に負担をかける以上、検証と効果の提示を」
拡大する

 「家庭の中でゴミ袋としても使われてきた。それが有料になったがために、ホームセンターやドラッグストアなどでは以前に比べてゴミ袋の売り上げが伸びたと言われている。結果として、プラスチックゴミの量は減ったのだろうか、その検証がなされていない。そもそもレジ袋はどのくらい使われていたのか実数がないし、国会でも出ていない。にも関わらず、“これをやれば地球環境が改善される”というようなことを言っていいのだろうか。スプーンが有料化されれば、今度は100円ショップに大量に並ぶことになるかもしれない。そういうことよりも先に考えなければならないこともあるのではないか。例えば使い捨てのマスクが世界中で大量に廃棄されている。それに対してスプーンはプラスチックゴミ全体の中でどのくらいの量なのか。そういうことが隠されたまま、何か世界中でパフォーマンが行われているように思えてならない。

スプーンも有料化?プラスチック新法案への疑問 反対論者「使い捨てマスクの議論もされていないのに…消費者に負担をかける以上、検証と効果の提示を」
拡大する

 また、環境省がこうした政策にいくらお金を使っているのか。プラスチック製品の代替となるものは、木にしても紙にしても高い。そういう部分について国が補助金を出すなど、浸透させていくための方策も必要だ。レジ袋を辞退していた人にポイント還元をするのは違反だということになったが、今回はいいということになっている。そういう部分の一貫性もない」。

スプーンも有料化?プラスチック新法案への疑問 反対論者「使い捨てマスクの議論もされていないのに…消費者に負担をかける以上、検証と効果の提示を」
拡大する

 両氏の意見を踏まえ、パックンは「そもそも欲しいと言わなくてレジ袋がもらえていたので、“もったいない精神の国”なのに、なんでこんなことをやっているんだと思っていた。欲しい人はお金を払えばいいだけで、反対、抵抗する意味がわからない。それこそ実験で、有料化してみて誰も買わなくなるのであれば、国民は必要としていなかったんだ、作らなくても、捨てなくても済むんだということがわかるはずだ。例えばアメリカのカリフォルニア州では、レジ袋の無償提供をやめたことで年間1200万ポンドものゴミ袋購入に繋がったが、トータルでは3000万ポンドくらい減っていた。日本でも同じような結果が出るのではないか」と反論。海外でも広く活躍するメイクアップアーティストで浄土宗僧侶の西村宏堂氏は「私は水筒を持ってきているが、ペットボトルを少なくできればいいのではないか。また、マイ箸もそうだが、洗う場所がない。学校やオフィス、コンビニの中などに台所のようなものがあれば、利用者が増えるかもしれない」と提案。

スプーンも有料化?プラスチック新法案への疑問 反対論者「使い捨てマスクの議論もされていないのに…消費者に負担をかける以上、検証と効果の提示を」
拡大する

慶應大学特別招聘教授の夏野剛氏は「認可権限も何もない経産省が“コンビニのあり方検討会”なんてのをやっただけでお正月休みが実現したりしている。コンビニはものすごい過当競争なので、1社が無料で配り始めるとすぐ横に流される傾向があり、自由な競争の法則があまり働いていない。僕はもうちょっと値段を上げてもいいと思っている。レジ袋なら50円、100円くらい取るべきだ」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

スプーンまで有料化を検討 レジ袋の効果検証は?
スプーンまで有料化を検討 レジ袋の効果検証は?
メーガン妃の暴露インタビューに冷ややか?問われる英国王室の多様性と家族観
メーガン妃の暴露インタビューに冷ややか?問われる英国王室の多様性と家族観
処理水の海洋放出なぜ進まない?甲状腺検査と過剰診断を細野元大臣に聞く
処理水の海洋放出なぜ進まない?甲状腺検査と過剰診断を細野元大臣に聞く

■Pick Up

【Z世代に聞いた】ティーンの日用品お買い物事情「家族で使うものは私が選ぶ」が半数以上 

この記事の写真をみる(8枚)