選択的夫婦別姓問題の議論が広がっている。3月10日に自民党は「検討ワーキングチーム」を発足させると発表した。

【映像】梅村みずほ議員「LOVE度が上がった」 結婚して感じた“夫婦同姓”のメリット

 「新たに氏制度の在り方に関する検討ワーキングチームを設置することにした。ニュートラルな方に幹部になってもらった。当面は石原伸晃座長、富岡勉内閣第一部会長、奥野信亮法務部会長、西村明宏事務局長の4者のもとで論点整理を行っていただきたい」(自民党・下村博文政調会長)

“夫婦別姓”の水掛け論にひろゆき氏「日本が現実を見ていない」 戸籍の歴史と伝統はどこまで尊重すべきか
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 石原氏らは、戸籍法がベースになるため慎重に議論するとし、近く会合を開く予定だという。

 与党・自民党内でも揺れに揺れている選択的夫婦別姓の議論。ネットでは「議論がかみ合ってない気がする」「どちらとも何を求めているのか分からない」などの声も寄せられている。

 なぜ、かみ合わない議論が行われてしまうのか。双方が納得できる道はどこにあるのだろうか。 

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 日本維新の会の梅村みずほ参議院議員は、選択的夫婦別姓について「基本的には賛成の立場だ」と明かす。

「私も夫と結婚をして氏を変えたが、そのメリットもデメリットも承知している。女性だけではないとはいえ、多くの場合、女性が自分の生まれ育った家の姓を捨てて、夫の姓に入る。手続きもとても煩雑で、(姓を捨てることに)寂しい気持ちもあった。ただ、強制的な同姓・別姓は反対の立場だ。選択的夫婦別姓は賛成だが、同一戸籍で同一氏という制度は、基本的に維持していいのではないか」

 下村政調会長が発表した“検討ワーキングチーム”に批判の声もある。蓋を開けたら主要メンバーは男性ばかり、幹部は全員60代以上のベテラン議員のみ。このメンバー構成に、梅村氏は「一体どこがニュートラルなのか?」とコメント。「女性が一人も入っていない。自分の姓を変えた経験があるのだろうか。まずは、ニュートラルの定義から聞きたい。この議論に女性が一人も入っていないのは、全くもってバランスを欠いている」と訴えた。

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 FINDERS創刊編集長の米田智彦氏は「新しい姓は作れないのだろうか。例えば、山本さんと川田さんが結婚したら、姓を“山田”にできるとか」と投げかける。米田氏の提案に梅村氏は「私もそれは考えたことがある。しかし、子供はどうなってしまうのか。ステップファミリー(どちらかの親の生物学上の子ではない子を含む家族)もあるので、より複雑化してしまう可能性がある」と答える。

 ひろゆき氏は、移住先のフランスには「その制度がある」という。フランスの姓事情について、ひろゆき氏は「お父さんの姓にしてもいいし、お母さんの姓にしてもいい。お父さん・お母さんの両方の姓にしていいし、別に作ることも選べる。その制度の中で、好きにやっている」と明かした。

 その上で「日本とは違うレベルの話」として、ひろゆき氏は「フランスはそもそも離婚が多い。『お父さんと子供の姓が違う』は、ごく当たり前のことで、ファーストネームでしか呼ばない」と語る。

「日本も離婚は多くて、現実問題、日本でも子供の姓と親の姓が違うことは当たり前に起きているのに、それを“見なかったこと”にしている。そもそもフランスの場合は親の名前を書く欄は『父・母』ではなく『親1・親2』と書いてある。だから、男同士でも親として登録できる。日本が現実を見ていないのではないか。『どちらかに寄せなきゃいけない』と考えることが間違いだと思う」

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 梅村氏は「3年前、父が『みずほ、墓を頼む』と言って亡くなった。でも、私は旧姓から新姓になっているので、旧姓のお墓をどうするか親族と話した」と語る。

「結果、やはり旧姓の小林を持っている、従兄弟に継いでもらうことになった。それが本当に悲しくて、自分で家を守りたかったし、お墓を自分で維持したかった。もし、夫婦別姓を選択できたら、私は元の姓を使っていたと思う」

 その上で同姓になるメリットについて、梅村氏は「戸籍を抜いて、夫のところに入れたときに『一生この人と生きていくんだ』という気持ちになった。わかりやすく言うと、LOVE度が上がった」と話す。9年付き合った上での結婚だった。

 梅村氏の意見にひろゆき氏は「そういう個人的な感情論は意味がないと思う」と一刀両断。「同じ姓の人が離婚しないのであれば意味はあるが、同じ姓で離婚している人がたくさんいる。離婚するかどうかと姓は関係ない。なのに『同じ名前だから離婚しない』のように、変な誤解をふりまくのは良くない」と指摘する。

 梅村氏は「おっしゃる通り」とひろゆき氏に同意した上で「同じ氏でも仲悪い家庭はたくさんある。私は自分が意外だった。(結婚してもLOVE度が)変わらないと思っていた。喧嘩をすると、そのときのことを思い出す」と、自身が同姓で感じたメリットとして紹介した。

 実業家のハヤカワ五味氏は「選択的夫婦別姓に関してすごく反対している友達がいる」という。

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「本人は結婚して夫と同姓になっている。もし選択的夫婦別姓が導入された場合『同姓の人たちは道徳的に遅い』と見られることが嫌だ、という理由だった。腑に落ちるなと思った。私は基本的に選択的夫婦別姓に賛成だが、夫婦同姓の人が追いやられる形になってはいけない。そこへの配慮ができれば、反対する人は意外と少ないのではないか」

■ もう“お墓”は守るものではない? 日本維新の会が目指す「第3の道」

 墓の考え方も人それぞれだ。ハヤカワ五味氏は「うちのおじいちゃんは、いわゆるオートマティックなお墓を考えていて、“墓を守る”という概念がない」と明かす。

「マンションのようなお墓が増えていて、場所を固定しなくていいお墓もある。若い世代の人はそういう未来を見ているパターンもあるのでは。そうなると、墓を守るもなにも『管理人がいるから(大丈夫)』みたいな感じで、姓や家族などの概念が揺らいでいるというか、拠点がなくなっていくように思う」

 ひろゆき氏は「日本の伝統や制度を考えるなら、そもそも明治以前は姓を持たない人が普通だった」と日本の歴史に言及。「日本の伝統で姓にどうこう言うのはそもそも間違い。勝手にみんなが好きに名乗って、日本の文化・伝統は『好きなものを名乗る』だった。夫婦別姓側だと思う」と見解を示す。

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 梅村氏は、現状の問題点として「改姓における手続きの煩雑さ」を挙げる。

「私の友人の研究者が『学術論文を書いても特許が一番大変』と言っていた。(旧姓で研究者をしていると)特許は戸籍の名前で出さないといけない。そういう“生きづらい人”や、改姓によって不都合不利益を被った人の意見をないがしろにすることは、あってはいけない。新しい制度に変えていく必要がある」

「保守派が求めているやはり戸籍だ。『今の戸籍の制度を150年先も意識するか?』と聞かれたら、そうでなくてもいいと思う。戸籍の歴史は変遷してきた。新しい形があってもいい」

 日本維新の会が提示している案は、旧姓使用に法的効力を与える形だ。旧姓を通称として使用し、その通称に一般的法的効力を認める。これが実現すれば、クレジットカードやパスポート、特許なども旧姓で申請ができる。

「自民党内でも、稲田朋美さんは私と意見が近い。過去に自分が姓を変えた、あるいは今後姓を変える立場の人からの議論を期待している。私たちが『議論で解決できない』と言ってしまうと、仕事が成り立たない。果敢に挑戦をしていかなければいけない」

 なかなか議論が進まない選択的夫婦別姓。賛成・反対双方が納得できる道を見つけるには、少しずつ歩み寄れるラインを見つける必要がありそうだ。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

【映像】選択的夫婦別姓 賛成派と反対派が歩み寄れない理由
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