困窮する子育て世帯などへ緊急支援策 行き届かせるため、政府は申請に至るまでのサポートを
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 政府はきのう、コロナ禍で生活が困窮する子育て世帯に対し、子ども1人あたり5万円を給付するなどの緊急支援策を決定した。

・【映像】コロナ支援に穴!?貧困世帯に5万円給付も...救うべきは中間層?企業支援がカギ?

 これまでは低所得のひとり親世帯を対象にしてきたが、両親がいる場合でも収入が減っている子育て世帯は支援の対象としたほか、一時的な生活困窮者に対する無利子での貸付資金などについても、「これまで140万円の限度いっぱい借りている方も、合計200万円までの貸付を行う」(菅総理)とした。また、新規の申請も6月まで継続し、住民税の非課税世帯の返済を免除する。

 こうした支援拡大に伴い、政府は2020年度予算の予備費から、追加で5000億円を支出する方針だ。

 一方、野党からは「なぜ独身者や子供のいない世帯を外すのだろうか。現役世代には一律給付した上で低所得者には上乗せすればいい」(国民民主党・玉木代表)、「バイデン大統領がやられたように、例えば1000万円以下の方々に、例えば1人10万円で中間層にしっかり元気をつける、こういう政策が必要だと思う」(立憲民主党・福山哲郎幹事長)といった意見もある。

■「中間層への支援も必要だ」

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 これで現金給付は3度目となるが、10万円の一律支給を再び実施すべきだとの根強い声もある。その一人、NPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典理事は「今の予算ではこれが限界なのだろうと理解しているし、支援団体が要望してきたものが入るということについては一定の評価をしたい。ただし5万円というのは“お小遣い程度”と言いたいくらいの規模だ。我々は“一律給付”と呼んでいるが、4月に入ったら早期に補正予算を組み、引き続き支援をお願いしたいと思う」と訴える。

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 「対象として低所得者層はもちろん、これまで多くの税金を払ってきた、分厚い中間層への手当も行うべきだと思う。観光、宿泊業者などに対しては持続化給付金とか、さらに飲食店に対しては個別の給付が出されているが、中間層への支援が抜け落ちている。コロナ禍の予想以上の長期化によってボーナスや残業代が削られ、家賃や住宅ローン、子どもの習い事や塾代などを支払うのが厳しくなってきているという声が寄せられている。緊急小口資金、さらに総合支援資金の貸付まで含めれば最大200万円が借りられるとはいえ、実際にはその対象になり得ない方も多い。やはり今回の5万円だけでは需要を賄いきれない」。

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 さらに藤田氏は「緊急小口の、総合支援をすでに借りてしまっているという方の場合に、次の手がない。一方で生活保護は最近話題になっている親族への扶養照会といった様々なハードルがあり、抵抗があるという人も多い。受給要件もかなり厳しいので、そこに至る手前の支援が大切だ」と訴えた。

■「企業の失業対策を重視」

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 一方、元財務官僚で内閣官房参与も務める嘉悦大の高橋洋一教授は「今回の支援策は去年からの一連の流れの中にあるもの。一次補正からの全体の数字を見てみるとGDPの20%くらい出しているので、そこそこの支援をやっていると言えると思う。もちろんみんな大変だし、額は多ければ多い方がいいとは思うが、こういう政策を見る時には、世界と比較した方がいい」と指摘する。

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 「先ほど申し上げたGDP20%=100兆円というのは世界で1番目2番目の数字だ。その意味では、日本の経済の落ち込みは先進国でも最も低いといえる。そして重要なのは、色んなニーズがあり、色んなことを救いたいという気持ちの中で、何を目的にした政策だったかということだ。これまでどこをターゲットにしてきたかと言えば、失業を増やさないということだ。結果、日本は先進国でもっとも失業率が増加していない。個人に対する給付が少ないという話はあるが、企業に対するものは多くしたり、全体の財政出動は多くしたり、というような形になってきたということだ」。

  また、個人や企業への支援、助成については「情報をまとめたポータルサイトもあるし、マスコミはきちんと報道すればいいと思う」とも話した上で、「10~12月の数字はちょっと良かったが、1~3月の数字は悪くなってきている。公表されるのは5月の頭なので、その頃には国会で補正予算についての議論が出てきても不思議ではない」と予測した。

■「相談に来てもらうための施策を」

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「財政出動は意外にしっかりしているというのはその通りだと思うが、やはり情報が伝わっていないケースも多いのではないか。藤田さんのNPOのように頑張ってらっしゃる方々もいるが、全てはカバーしきれない。まずはきちんと情報が伝わるような仕組みを作った方がいいし、それもメディアの役割だ」とした上で、次のように指摘する。

 「一方で、藤田さんが仰るように、中間層が崩壊しつつあるということも確かだと思う。このまま放っておけば、アメリカのようになりかねないし、事実、年収は増えないのに、社会保障費のために消費税も上がり、生活が苦しくなっている。高橋先生が仰るように、失業率を下げないようにすることも大切だし、小口の資金貸付もいいが、それでは将来の不安はなくならない。ここは生活を最低限維持するためのベーシックインカムの実験をやってみるとか、そういうことも考えてみていいのではないか」。

 リディラバ代表の安部敏樹氏は「制度というのは、届いて初めて意味がある。しかし厳しい状況にある人たちほど情報を取りに来ないし、マスメディアが流しても見てもらえないという現実があり、なかなか難しい。むしろ相談に来てもらうためにお金を使うようにすることでアウトリーチのためのコストを下げ、より重点的な施策を打ち出せるようにすべきだし、そのための議論が必要だ。生活保護の申請などに関しても、書類作成や窓口への付添など、NPOなどの人たちが伴走できるようにするための予算をつけてもいいと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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