プロレスリング・ノアとして10年ぶりに開催となる福岡国際センターでのビッグマッチ。セミファイナルでは、そんなメモリアルな大会にふさわしい、プレミアムなスペシャル8人タッグマッチが実現!
正規軍所属で前GHCヘビー級王者の潮崎豪、M’s allianceの丸藤正道、杉浦軍のボス・杉浦貴、ジュニアの実力者・鼓太郎。現在はユニットも階級も異なるが、ノアの歴史を作ってきた4人が、一夜限りの“NOAH ISM”カルテットを結成。3.7横浜武道館でGHCタッグ王座を奪取したばかりの中嶋勝彦&マサ北宮に、藤田和之相手に真っ向勝負を展開し評価を上げた征矢学、タダスケを加えた金剛と対戦した。
普段、同じコーナーに立つことがないNOAH ISMの4人だが、そこは歴戦の強者揃い。プロレスリング・ノアは、三沢光晴社長時代から6人タッグマッチなど、多人数のタッグマッチのクオリティには定評があったが、それを思い起こさせる展開の早い珠玉の8人タッグマッチとなった。
そんな中で、新GHCタッグ王者の中嶋勝彦とマサ北宮もしっかりと存在感を見せた。とくに中嶋は、元AXIZの盟友であった潮崎と強烈なミドルキックと逆水平チョップの打ち合い。さらに豪腕ラリアットをハイキックで迎撃するなど、タイトルマッチさながらの熱い攻防を展開した。
それでも最後を締めたのは、やはりNOAH ISMだ。丸藤が虎王とトラースキックで動きを止めた征矢に対し、鼓太郎がファンネル、杉浦がオリンピック予選スラム、潮崎が豪腕ラリアット、そして最後は丸藤の真・虎王と、なんとも豪華な波状攻撃を仕掛け3カウントを奪取。
試合後、潮崎、丸藤、杉浦、鼓太郎の4人が笑顔で勝利を称え合う姿は、ノアの歴史を見てきたファンにはたまらないものがあっただろう。
バックステージでも4人は上機嫌。丸藤が「俺たち4人が組めばこんなもんだ」と強さを誇り、杉浦も「普段組んでない感じがしない。タッチワークも良くて、ノアでみんな何十年もやってきたからこそ」だと満足げ。
ところが、これに続いた潮崎が「今日、4人で組んだことで、自分にとっても踏ん切りがつく」と、唐突に意味深発言をしたことで、空気が一変。
すぐさま杉浦が「ふんぎり? やめんの!? 爆弾発言だよ」とつっこむと、丸藤も「“また”やめんのか、おまえ?」と、かつて一度、ノアを退団したことがある潮崎に追い打ち。
これに対し潮崎は「いやいや、やめない、やめない」と苦笑いを浮かべ、言葉足らずを釈明。そして「丸藤さん、杉浦さんと組ませてもらって、失ったGHCを取り返すために、欠場して手術して、しっかりと体を万全にして戻ってきます」と、長年ケガに苦しめられてきた右上腕二頭筋腱脱臼手術のための長期戦線離脱、そして完全復活を宣言した。
昨年1月からGHCヘビー級王者として、文字通り体を張ってノアをけん引してきた潮崎の上半身はテーピングだらけの満身創痍。そして右肩は潮崎最大の武器である豪腕ラリアットの源だ。
今はしっかりと体を治して、よりパワーアップした“I AM NOAH”をファンは待っている。
文/堀江ガンツ
写真/プロレスリング・ノア