試合開始と共にゴロリと転がり足狙いで一本。若干21歳、ユニークすぎる戦術を持つ、下からしか攻めない”新足関節十段”が衝撃の秒殺劇を演じた。
3月20日に後楽園ホールで開催されたプロフェッショナル修斗「PROFESSIONAL SHOOTO 2021 Vol.2」において、高橋 SUBMISSION 雄己(和術慧舟會HEARTS)がわずか42秒で電光石火の“秒殺ヒールホールド”葬を披露し、輝龍(roots)から鮮やかな一本勝ちを奪った。若干21歳がみせた鮮やかすぎる“足関職人”ぶりに視聴者からは「上手いなあ」「一瞬だった!」など感嘆の声、一方、試合後に足を引きずって退場する輝龍の姿に対しては「大丈夫か?」「足壊れたか?」「痛々しい」など心配の声もがあがった。
グラップラーとストライカーという対象的な2人の対戦だった。21歳の高橋はリングネームに“SUBMISSION”を冠しロングスパッツで登場、対する43歳のベテラン輝龍はキックパンツ姿と互いの着衣からもスタイルの違いがうかがえる。
勝敗は一瞬で決した。この日、ABEMAでゲスト解説を務めた青木真也が「高橋選手は今のMMAシーンにおいて珍しい選手で、常に下になっていいスタイルで…」と独特のスタイルについて口を開くと同時に、高橋は転がりながら相手の左足を掴みにかかる。
足を絡めてサドルロック、この奇襲攻撃に輝龍が足をとられまいと手を出して必死に食い止めようとするが、ジワジワと手をほどいて、ヒールホールドへ移行。完全に極められた輝龍は為す術もなくタップした。
高橋の最初のトライから狙い通りの鮮やかな足関は完成までわずか42秒。修斗での勝利は2019年12月の大城匡史戦でのフットチョーク以来。今回はその時の「1分13秒」の記録を30秒を上回る記録更新での秒殺劇となった。
足関節が決まった瞬間に視聴者からは「寝技上手いなぁ」「すげえ」といった感嘆の声と同時に、コメント欄には「令和の今成や」の言葉どおりONEなどで活躍する今成正和でお馴染みの足関技「今成ロール」の名もちらほら…。
そのとおり高橋は今成柔術の門下生で、足関節一筋のユニークな戦術を体現する継承者だ。試合後の足を完全に破壊され引きずりながら退場する輝龍の痛々しい姿からも、”新足関十段”の破壊力をまざまざと見せつけた1勝となった。
本来なら文句なしの1本勝ちだが、青木からは「(高橋選手は)サブミッションの完成度は高いんですけど、このレベルだから成し得る技であることは確か。もう少し立ち技の攻防とかも見たいなというのはあります」と、このスタイルのままでは"上のクラスのMMAでは通用しない”とも取れる厳しいコメント。しかし「これだと先につながらない…」という指摘は、高橋が青木と同じ静岡学園の出身という経歴を考えると、後輩への今後の期待を込めたエールにも聞こえる。
「MMAとグラップリングどちらにこだわることなく、とにかく関節を決めることに拘りたい」と語る高橋。他にはない独自のファイトスタイルでどのような戦いを切り開くか? 今後が楽しみな選手であることは確かだ。
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