大相撲春場所九日目、コロナ禍で歓声が自粛となっている館内が十両の取組で大きくどよめいた。体重98キロの炎鵬が164キロの天空海を豪快に吊り落とし。現役最軽量関取は拍手喝采を浴びた。
力士の大型化とともに相手を吊る相撲は激減してしまった。ましてや吊り落としは通常、相手との体重や地力に相当な差がなければ、決まらないとされている。自分より66キロも重い相手に決めた炎鵬のケースはまさに“超レアもの”と言えるだろう。
現役最軽量関取がなぜ、巨漢相手にあんな大技を決めることができたのか。吊り落としは四つに組むなどした状態から廻しを引きつけ、相手を吊り上げてからその場で下に投げつける荒業だ。
ただし、炎鵬の吊り落としは業師らしく独特な入り方をしていた。天空海の懐に潜り込むと右で相手の右足を小股を掬いながら、左は深く入った下手廻しを引きつけて相手を持ち上げ、同時に密着した頭でも押し込み、最後は前廻しに持ち替えた右からの投げと左からの捻りの合わせ技も効果的だった。立ち合いから休まず攻め続けた鋭い出足もいい流れを呼び込んだ。
いくつもの細かい技が重なり合った、いわば炎鵬にしかできない変則的な吊り落としであった。前日は宇良との“小兵業師対決”に物言いがつく際どい相撲で敗れたが、今場所は持ち味を存分に発揮。この日で7勝目を挙げて十両では単独トップに立った。新入幕から9場所連続で維持していた幕内の座を明け渡し、十両からの出直しを余儀なくされたが一時のスランプからは脱したようだ。
連日の奮闘ぶりは復活を印象づけるには十分。息を吹き返した超個性派の小兵からますます目が離せなくなってきた。
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