K-1の“問題児”芦澤竜誠の復帰2戦目は、判定負けという結果に終わった。
3月21日の『K'FESTA.4 DAY.1』東京ガーデンシアター大会。芦澤が対戦したのは村越優汰だった。元フェザー級チャンピオンにして武尊とも好勝負を展開したトップ選手である。両者は一度対戦して村越が勝利。芦澤にとってはリベンジマッチでもあった。
昨年の復帰戦で大激闘の末にKO勝利を収めた芦澤は、今回も超攻撃的な試合ぶりを見せた。ひたすら前進し、パンチを振るう。“魅せる”闘いができるのが芦澤だ。
対する村越はテクニックを駆使して勝ちに徹するタイプ。今回も芦澤の攻撃をいなしながら前蹴り、ヒザ、ミドルをヒットさせていった。芦澤が倒そうと躍起になればなるほど、村越の冷静さも光る。
試合が進むにつれ、ポイントで優勢なのは村越だということが誰の目にもはっきりしてきた。しかし芦澤の前進は止まらない。ブレーキが壊れたかのような闘いぶりに、観客からも驚嘆の声が漏れる。
3ラウンドを終えて判定は3-0。村越としては狙い通りの勝利だ。消極的にも見える闘い方だが、自分のスタイルを最後まで貫いての見事な勝利でもあった。
ただ敗れた芦澤も株を下げたわけではない。結果はともかく、ファンが見たい芦澤竜誠の姿を最後まで体現したのだ。いや、この日の芦澤の“芦澤ぶり”は予想以上だったと言っていいかもしれない。その気持ちの強さを、勝った村越も称えていた。
インタビュースペースでの芦澤は、悔しそうな表情を浮かべながらも「俺は芦澤竜誠全開でいったんで」。また「生物的にどっちが強かったか。次は倒します」とも。
「俺は泥水すすってでも必ず這い上がるんで」
そう言ってコメントを終えた芦澤。この日、敗れた彼の試合をまた見たいと思った観客は多いはずだ。それが何よりの勲章だろう。
文/橋本宗洋