強豪が各階級にひしめくK-1戦線では、王座交代劇も頻繁に起きる。“絶対王者”が生まれにくい世界と言ってもいいだろう。
年間最大のビッグマッチを2週連続で開催する『K'FESTA.4』の初日(3月21日、東京ガーデンシアター)でも、王座交代劇があった。メインイベントのフェザー級タイトルマッチだ。
チャンピオンは江川優生。一昨年、トーナメントをオールKOで優勝しベルトを巻いた。その年の年間MVPにも輝いている。
しかし昨年9月、久々の試合で椿原に判定負けを喫してしまう。その結果を受けて決まったのが今回のタイトルマッチ。江川にとっては王者のプライドをかけたリベンジマッチだ。
前回、ヒット&アウェイで判定をものにした椿原に対し、江川はグイグイと圧力をかけてローキック。さらにパンチを繰り出していく。その闘いぶりは迫力充分だった。前回のようにはさせないという気迫がこもっていた。
椿原は前に出る江川に的確なアッパー。チャンピオンの猛攻に対し、しっかり応戦している印象だ。椿原はハイキックも。アグレッシブな江川と的確さの椿原という展開は、本戦3ラウンドを終えてドロー。延長戦に突入する。
ここでも両者はほぼ互角の攻防を見せる。前に出る江川、それをさばいて打ち返す椿原。両者の個性が違うだけに採点も難しい。延長の判定は2-1。本当にわずかの差で椿原が勝利した。
快挙達成に、インタビュースペースでもテンションが高かった椿原。見方の分かれる試合ではあったが、“怪物”とも称される江川に2試合続けて勝ったという結果は大きい。
チャンピオンは前回以上に強かったと試合を振り返った椿原は、自分も単なる「勝つためだけのヒット&アウェイ」ではなく「マジで倒しにいった」という。その勇敢さがもたらしたベルトだった。また椿原は「試合の内容を覚えてなくて」とも。それだけ必死に闘っていたのだ。
チャンピオンとして「いろんな意見を参考にして、みんなが思う最高のチャンピオンになれたら」と屈託なく話す椿原。これから次々と強敵が現れるに違いないが、その中でどんなチャンピオンロードを作っていくか。これからの成長も含めて注目したい。
文/橋本宗洋