3月21日に開催されたK-1有明大会『K'FESTA.4 DAY.1』(東京ガーデンシアター)。翌週28日の日本武道館大会に続く2週連続のビッグマッチで、まずはスーパーライト級王者の山崎秀晃が爆発した。
Krush王者も経験し、K-1には新生大会第一弾から出場している山崎。負傷欠場など苦しい思いもしてきたが、昨年9月に33歳、42戦目にしてK-1王座を手にした。
今回はチャンピオンとしての第1戦。激闘型ファイターの不可思との対戦だけに期待が高かったが、実際の試合は予想を超えるものになった。
序盤から距離を詰めてきた不可思に対し、山崎はバックブロー一閃。一歩も退かない構えを見せると、そこからは正面からの打撃戦。激しい攻防の中、最後は山崎のパンチで不可思が前のめりに崩れ落ちた。
1ラウンド1分10秒の衝撃決着。会心の勝利に、山崎は「俺がゴールデンフィストだ!」と吠えた。
短期決着になったのは不可思が攻めてきたからでもあるが、実はケガもあったと山崎。試合の3週間前に眼窩底骨折を再発し、試合をキャンセルするかどうか悩んだという。
そうした事情もあるため「パワープレイに出た」と山崎はコメントしている。いわば手負いの状態で勝ったわけだが、そのあたりも王者としての底力だろう。
この日の山崎は試合内容、勝ちっぷりだけでなくリング上での佇まいも含めて王者の貫禄、風格を感じさせた。またチャンピオンとしての初戦という以外にも勝ちたい理由はあった。
「先月、娘が生まれまして。勝利で祝福できたんじゃないかと思います」
さらに「やっぱ山崎の試合はオモロいな、K-1見なあかんなと思わせる試合を発信していきたい」とも。眼窩底の手術は来月を予定しているが、それでも試合のサイクルに影響がないようにと考えているという。それもまた王者としての責任感。あらゆう意味で、今の山崎秀晃は強い。
文/橋本宗洋