2018年5月、ABEMA『日村がゆく』の『高校生フォークソングGP』に出演し、多方面から注目を浴びた崎山蒼志。その後、コンスタントにリリースを重ねていき、今年1月にアルバム『find fuse in youth』で満を持してメジャー・デビューを果たした。
その次の一手が期待される中、3月26日(金)よりAmazon Prime Videoで独占配信されるドラマ「賭ケグルイ双(ツイン)」の主題歌を担当することが決定した。「逆行」と名付けられた楽曲は、パーカッシブなアコースティックギターに、歪んだエレキギターサウンドとエッジの効いたリズムが絡み合うこれまでにない新鮮な作風に。高校卒業を控える崎山自身の境遇とリンクするように、“新たなステージ”への意気込みが感じられるものとなっている。制作背景を聞くとともに、特徴的だった“歌唱の変化”も振り返ってもらった。
「逆行」が“BPM早め”になった経緯
――「逆行」、崎山さんの作品の中でも意欲作という印象を受けたのですが、どのようにして生まれたのでしょうか。
崎山:昨年末に、ドラマ製作スタッフの方からお声がけいただいてスタートした感じですね。「賭ケグルイ」はもちろん知っていて……というか友人に浜辺美波さんの大ファンがいまして(笑)。改めてこれまでのドラマも映画も全部見て、雰囲気をとらえながら制作していきました。
――具体的にどのあたりの演出からインスピレーションを?
崎山:曲を最初に書いたんですが、早乙女芽亜里(演:森川葵)の表情には影響を受けました。いろんな顔を見せるんですが、とくに賭けているときの「ギッ」と目を見開いているシーンが印象深くて。ストーリー的にもスリリングな部分があるので、自然と曲のBPMも早めになったというか。その後に歌詞ができて、タイトルは最後につけました。
――ジャケットのアートワークが複雑に交差した「骨」というのも印象的です。
崎山:ですよね。YUSUKE WASHIMIさんという方なのですが、これまでアルバムのジャケットを手掛けてくれた方の推薦で出会うことができました。「心臓の骨」をイメージしたものなのですが、最初見たとき本当に感動して、こみ上げてくれるものがありました。家族にも「すごいアートワークが来たよ」って見せつけたぐらいです。
今振り返る番組出演の感想「めちゃくちゃありがたかった」
――今作や最新アルバムを聴いていて感じたのが、「歌い方」が力強くなってきたなあということです。『高校生フォークソングGP』のころは、独特の“揺らぎ”みたいなものがあって、それは自身の売り、ブランディングにも寄与されると思うのですが、意識してきたことはありましたか?
崎山:当時はまだ変声期で、歌い方もプロに教えてもらったことがなかったから、声のコントロールが効いていなかったんです。そのあとの高校3年間で、昔カバーしていた歌が歌えなくなるぐらい変わっていって。自ずと作る曲もその声に合うようなキーにしましたし、“やわい”とうか、穏やかなメロディも歌えるようになり、結果、アルバムではある程度余裕をもって制作できました。それまで思われていた「崎山蒼志ってこういう歌い方だよね」から、ひと味違う表現もできたかなと。
――多くの人が知ったのがその『高校生フォークソングGP』だと思うんですが、あの段階で“見つかったこと”についてはどう思っていますか。
崎山:僕の人生においても大きなことだったので、「めちゃくちゃありがたかった」の一言です。たしかに、高校2年生ぐらいでトラックも全部自分で作った曲が注目されたらまた違うスタイルだったんじゃないかと思うこともあります。バンドも続けていましたし。当時はただ日村さんに会いたかったので出た側面もあるんですよね。
――でも、その「誰かを好きでリスペクトする」気持ちを隠さないのが、結果良い方向に向いていますよね。多くの同世代のミュージシャンとの共作もそれゆえかなと。
崎山:それはあるかもしれませんね。AbemaTVに出てから他の番組に呼んでいただいて、宇多丸さん(RHYMESTER)とか関根勤さんとか会いたかった人にも会えたり。最初に「出演:関根勤」って聞いたとき、さすがに「えっ、あの関根勤さん?」ってなりました(笑)。
――今後、クリエイティブの面含め、どういう人たちと出会ってみたいとかありますか。
崎山:これまでなかなか機会がなかったんですけど、同世代のラッパーでかっこいい人が多いので、一緒に作ってみたいですね。ずっと『ラップスタア誕生』『フリースタイルダンジョン』も見てましたし、いつかは……と思っています。自分が器用じゃないだけに、いろんなものや人からインプットをして、納得できるものを作っていきたいです。
ドラマ「賭ケグルイ双」はAmazon Prime Videoにて全8話、毎週金曜日に2話ずつ独占配信中
(STAFF&CAST)
原作:原作 河本ほむら・斎木桂「賭ケグルイ双」 原作 河本ほむら・尚村透「賭ケグルイ」(掲載 月刊「ガンガンJOKER」 スクウェア・エニックス刊)
監督:英勉、長野晋也
脚本:高野水登、英勉
主題歌:崎山蒼志
出演:森川葵
柳美稀、小野寺晃良、松田るか、岡本夏美、中村ゆりか、三戸なつめ、
萩原みのり、長井短、
高杉真宙/浜辺美波
(STORY)
蛇喰夢子(浜辺美波)が転校してくる1年前。後に夢子の好敵手かつ親友の早乙女芽亜里(森川葵)が、私立百花王学園に編入してきた。お嬢様ライフに憧れ、ギャンブル初心者である彼女がなぜ、凄腕のJKギャンブラーになるに至ったのか? その全てが明らかになる。
テキスト:東田俊介
写真:You Ishii
(c)河本ほむら・尚村透・斎木桂/SQUARE ENIX(c)2021 ドラマ「賭ケグルイ双」製作委員会