本人も予想外の“藤井聡太キラー”大集合だ。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」の大会に先立ち行われたドラフト会議の模様が、3月27日に放送された。リーダー棋士、豊島将之竜王(叡王、30)は1巡目に佐々木大地五段(25)、2巡目に大橋貴洸六段(26)を指名した。実はこの3人、あの藤井聡太王位・棋聖(18)に対して、公式戦で全員勝ち越している。「考えてなかったですね」と指名した本人は微笑んだが、直接対決が実に楽しみなチームが完成した。
藤井王位・棋聖との対戦成績は、豊島竜王が6勝1敗、佐々木五段が2勝1敗、大橋六段が3勝2敗。トータルで11勝4敗、勝率.733だ。藤井王位・棋聖の通算成績が、213勝40敗(勝率.841)であることを見ると、40敗“しかしていない”ところ、実に11敗を3人に喫しているキラーぶりがよくわかる。
佐々木五段は前年、別のチームで出場。若手のホープとして注目されたが、満足いく結果は残せなかった。「成績はよくなかったかもしれないですが、そんなにフィッシャールールが苦手と感じなかった」と豊島竜王の目には、強さが濁ることはないと見えた。また大橋六段については「たまに練習で指したんですが、序盤で隠し玉があるというか、研究種を持っているイメージ。そういうところに期待しています」と、藤井王位・棋聖と同時期にプロ入りした若手の構想力も認めた。
前回は、普段の交友関係からチームを結成したが、今回は「つながりで指名したわけじゃない。これからちょっとずつチームワークをよくしていきたいです」と、戦いながら仲も深めていく。自身は前回、あと1勝のところで予選敗退しただけに、「とりあえず予選を抜けたいです」と目標は控えめだが、天才棋士を苦しめ続ける3人が集まったこのチーム、強烈だ。
◆第4回ABEMAトーナメント 前回までは「AbemaTVトーナメント」として開催。第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦になった。チームはドラフト会議により決定。リーダー棋士が2人ずつ順番に指名、重複した場合はくじ引きで決定する。第3回は12チームが参加し永瀬拓矢王座、藤井聡太王位・棋聖、増田康宏六段のチームが優勝、賞金1000万円を獲得した。第4回は全15チームが参加。14チームは前年同様にドラフトで決定。15チーム目はドラフトから漏れた棋士によるトーナメントを開催、上位3人がチームを結成する。対局のルールは持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チーム同士の対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負に変更された。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。