劇的な復活KO勝利だった。3月27日のKrush後楽園ホール大会。2連敗中の大岩龍矢は山本直樹と生き残りをかけた一戦に臨み、試合終了間際にパンチでKO勝ち。トップ戦線に踏みとどまった。
2連敗の1敗目は、スーパー・フェザー級タイトルマッチでレオナ・ペタスに喫したもの。大岩のセコンドには親友の武尊がついており、この試合がきっかけで武尊vsレオナの対戦が決まっている。
今回は27日のKrushで大岩、28日のK-1で武尊と2日連続での試合。お互いの試合が重なったのは、過去に一度だけだ。武尊がセコンドにいないのも、それ以来だった。
「いつもは試合がないほうが言葉をかけてリラックスさせるんですけど、今回はどっちも試合なのでピリピリしてましたね」
試合後に大岩はそう語っている。今回は減量のやり方を変えたがうまくいかず、最終ラウンドは限界に近い状態。2ラウンドにダウンを奪っているが、山本の猛反撃で劣勢なのを自覚していた。そんな中で、フィニッシュの一撃が出た。“何かしなくては”と必死で出した拳だったという。
結果、最高の形で試合を終えることができた。控室に戻ると、すぐに武尊から連絡が入ったそうだ。
「“俺も気合い入った”と。俺も明日は武尊のサポートに入るので、ここで勝ててよかったです。負けてたら武尊も気を遣っちゃってたでしょうね。そういうタイプなんです」
ここからまた、トップを目指すための闘いが始まる。と同時に、今は「武尊につなげた」という思いも強い。
「あとは明日、武尊がやってくれると思います。2人連続でKO勝ちして、2人で笑いたいですね」
大一番直前の武尊は、何よりも大きなパワーを得たことになる。
文/橋本宗洋