10年ぶりにボクシング界からK-1に帰ってきた“日本ヘビー級 最強の男”の突き刺すような右の強打に、対戦相手の巨体が前のめりに崩れ落ち大の字に。まるでデジャブのような幕切れに多くの視聴者から「まるで曙vsボブ・サップ戦」という驚きの声が上がった。
3月28日に日本武道館で開催された「K-1 WORLD GP 2021 JAPAN ~K’FESTA.4 Day.2~」において、10年ぶりにK-1の舞台へと復帰した京太郎(チーム京太郎)が実方宏介(真樹ジムAICHI)と対戦。ヘビー級同士の一進一退の打撃戦は2ラウンド、2度の前から崩れ落ちる強烈なKOシーンを演出した京太郎がド派手なKO勝ちを収めた。
2009年に第2代K-1ヘビー級王座決定トーナメントを制し、K-1初の日本人ヘビー級王者となった京太郎。マイティー・モー、武蔵、ピーター・アーツ、ジェロム・レ・バンナらに勝利するなど”日本ヘビー級最強の男”と呼ばれ、その後はボクシングに転向し国内のヘビー級タイトルを総なめした。
そんな京太郎が実に10年ぶりにK-1復帰を果たした。迎え撃つのは184センチ、115キロの巨漢を駆使し、ムエタイ技術に長けたBigbangヘビー級王者の実方。元K-1ヘビー級王者と国内キックヘビー級王者の注目カードだ。戦前「ボクサーとしてリングに立ちます、蹴りません」と話した京太郎に対して、トラッシュ・トークでも散々体型を馬鹿にされ怒り心頭の実方という構図がクローズアップされた。
キャラ的にも水と油というムードはリング内でも微妙な影を落とす。臨戦態勢も整わないうちに何故かゴングが鳴らされるハプニングもあり、頭のモンコンを付けマウスピースすら付けていない実方陣営が慌てるという波乱の幕開けだ。
いざ試合開始。「蹴らない」発言はどこ吹く風で、ローキックから入る京太郎に視聴者からは「速攻で蹴ってるw」と突っ込みが入る。さらに実方と全く同じ真っ赤なヘアカラーに染めてくるなど、精神的な揺さぶりをかける太々しさは流石だ。
ここまでは完全に喰われてきた実方だが、ムエタイ仕込みの蹴りは本物。京太郎のローをことごとくカットして、巨漢に似合わぬコンパクトでキレのある蹴りを次々と繰り出すと、ギアを上げて速いパンチを披露。そんな実方の様子に「あの身体で動くのは凄い」「身軽だしテクニックがある選手」「蹴りが速い」と驚きの反応があがる。1ラウンド後半にはカーフキックで京太郎をぐらつかせるシーンもあり、実方の速さが目立ったままラウンドは終了した。
10年ぶりのキック復帰のブランクなど疑問符がつき始めた京太郎だったが、そんな懸念を2ラウンド開始とともに払拭する。ゴングとともにいきなり奇襲のようなワンツー。アゴに被弾した実方は、ロープにもたれかかるように崩れ落ちてから、その反動で前からダウン。
一瞬で巨体が崩壊する姿に「ワンパン!」「これが最重量」と視聴者は騒然。さらに巨体が前方からうつぶせに倒れこむ姿に「曙だ」「曙みたいな倒れ方だ」と曙vsボブ・サップ戦の壮絶なダウンシーンを思い出したという人も多数。
辛うじて立ち上がった実方だが、奇しくも2003年の大晦日「曙vsボブ・サップ」戦のフィニッシュと同じ右ストレートで再び前のめりにダウン。ここでレフェリーが試合を止めた。一発で試合が決まる重量級ならではの幕切れ。ボクシングから帰ってきた京太郎のパンチ力に「さすがボクサーのパンチ」という声が上がるなか、この日、ABEMAでゲスト解説を務めた魔裟斗も「(実方選手は)食らったことのないパンチ力という顔をしていますね」と述べるなど、10年の時を経てK-1で豪腕を披露した京太郎に驚いた様子だった。