さすがの実力、さすがの個性だった。3月28日の日本武道館大会、久々にK-1のリングに上がったのは京太郎だ。旧K-1でヘビー級王者となり、ボクシングに転向すると日本タイトル、東洋太平洋タイトルを獲得。大物のK-1帰還であり、新生K-1には初参戦となる。
「K-1に出ると芸能人と結婚できると聞いて」
参戦の理由をそう語って笑わせた京太郎。約10年ぶりのK-1に向け練習を再開、サンドバッグを蹴るとスネが痛くて仕方がなかったという。
対戦したのは実方宏介。Bigbangヘビー級王者でムエタイ系のテクニックを持つ選手だ。前日会見では「蹴り倒す」と実方。一方、京太郎は「蹴らない方針」「蹴らない体で」と蹴り封印を匂わせた。が、もちろん試合になれば蹴る。「そりゃ蹴らないと。カレー食べに行ってルーしか食べない人いないでしょ」と試合後の京太郎。1ラウンドは蹴りの攻防が中心となった。
「K-1ルールの試合をやっていなかった分、難しさもあった」
そんなコメントも。カーフキックを蹴られ「ムエタイがカーフかい!」と焦ったとも語っている。蹴っても蹴られても痛い。久しぶりの感覚に慣れ、ボクシングとは違う距離感を探ることが、まずは必要だった。
だが2ラウンドになると、すぐに軌道修正。セコンドについた卜部功也のアドバイスもあり、右ストレートでダウンを奪った。立ち上がった実方に、京太郎はさらに右。終わってみれば真骨頂とも言えるパンチでのノックアウトだ。インタビュースペースにはマリオの帽子着用で登場した京太郎。リングに向かう率直な心境も吐露している。
「大変な中で応援してくれる人がいる。将来プロを目指す子たちに何かを伝えられたら。その第一歩を踏み出すことができました」
また「ベルトはいらないけど、K-1からの指令としてはタイトルマッチにいかないと」とも。
「僕はK-1、ボクシングとヘビー級でしかやってない。クルーザー級に落とす選手もいますけど、僕の役割としてはヘビー級でやることがすべて」
こうした根っこがあるから、表面の“キャラ”も光る。大会一夜明け会見では、新たな階級区分として-100kgのヘビー級、100kg以上のスーパーヘビー級が発表。それを聞いた京太郎は「クルーザーもあるってことですか? じゃあ3階級制覇してやろうかな」と野望をブチ上げた。
「スーパーヘビーは日本人誰も出てこないと思うんですけど、僕は相手は何キロでもいい。ずっとヘビー級でやってきてるので。勝つ負けるよりも挑むのが大事だと思ってます」
最重量級の開拓者としてカテゴリーを開拓し、引っ張る。その使命感が京太郎の一番の魅力だろう。
文/橋本宗洋