試合開始直後、「グシャ」という鈍い音が響き渡ると、静寂に包まれた館内にどよめきが起こった。21歳の新鋭が、29秒の“瞬殺KO”劇を披露すると、たった一発で対戦相手が戦闘不能状態に。見事なクロスカウンターを受け、魔裟斗が「体に染みついた思いっきりのいいパンチ」と称賛した。
3月28日に日本武道館で開催された「K-1 WORLD GP 2021 JAPAN ~K’FESTA.4 Day.2~」。横山朋哉(リーブルロア)と佑典(月心会チーム侍)の対戦は、1ラウンド開始直後に横山が放ったパンチ一発による“瞬殺”KO劇で幕を閉じた。「グシャ」という鈍い音が響き渡ると、実況が「左、左、左!」と興奮のあまり絶叫。試合後に横山はマイクで「僕はまだこんなもんじゃない」と若手の台頭著しいK-1/Krushのタイトル戦線に名乗りを上げた。
横山はKrushスーパー・フェザー戦線の注目株。昨年は西京佑馬を判定で下し2戦2勝、この日はTETSUの代打として月心会の同門・佑典を迎え撃つこととなった。相手の佑典も、昨年のKrush初戦で桝本翔也を相手に左ミドル、左ストレートを打ち抜き1ラウンドでタオル投入による勝利。大きなインパクトを残している。
試合はゴング開始とともに左のローをテンポ良く3発蹴った横山が、一歩前に出た佑典の動きに合わせて“グシャ”と鈍い音がする強烈な左を一閃。ワンパンチでなぎ倒された佑典はうつ伏せにダウンを喫し、ゆっくりと立ち上がるも、フラフラと後ずさりしながらロープへもたれ掛かったところでレフェリーが試合を止めた。
この日、ABEMAでゲスト解説を務めた魔裟斗は、この必殺の一撃について「左のクロスですかね、テンプルに当たった。飛び込むようにボールを投げるようなパンチでしたね。思いっきりのいいパンチ」と称賛。スローが映し出されると、スローでも速い横山の振りかぶったようなパンチが、佑典の右テンプルを的確に打ち抜くシーンが。これに視聴者も「槍みたいなパンチだな」「側頭部か…脳が揺れている」「ゴスンと音がしたな…」と騒然となった。
さらに魔裟斗は「(横山選手は)練習からああいうパンチを出してるんです。あれだけ思いっきりのいいパンチは体に染みついている、自然に出たもの」とも話し、出会い頭のラッキーな一撃ではないということを強調した。
短時間で快勝した横山はマイクを取ると「僕はまだこんなもんじゃないので、もっともっと強い選手とタイトルに絡む試合をしたいです」とタイトルへの意欲を猛アピール。新勢力が台頭し群雄割拠のK-1/Krushのスーパー・フェザー戦線に、また1人期待の新鋭が登場した。