「フランスのシャンパーニュ地方で作られたものだけしかシャンパンとは言えない」「地名は商標登録できないので、勝手に使い放題」

 避暑地、観光地としてブランド化された「軽井沢」という名称の使用について、会見でそう訴えた藤巻進・長野県軽井沢町長。町よれば、他の市町村で“軽井沢”を冠する事業所は59社に上っており、時にクレームが寄せられることもあるという。そこで町が訴えたのが“ブランド価値を損なわない最大限の配慮”だ。

・【映像】軽井沢町長に聞く

 「軽井沢という名前の付いた宿泊施設を予約して、新幹線の軽井沢駅に降り立つ。しかし、そこからタクシーに乗ったところ運賃がかさんでしまったというクレームが町や観光協会に寄せられている。軽井沢という名前を広めていただいたということは否定しないが、一定の限界はあると思う。そういう意味で今回の発表を行った。あくまでも“お願い”だが、どこの町にも起こりうることだ。また、“使わないで”と訴えるネガティブなやり方ではなく、町内の事業者、町内で作られた製品を認定し、品質保証のような主張をしていくというポジティブなやり方もあると思っている」(藤巻町長)。

 隣接する群馬県嬬恋村で「軽井沢」の名称をつけ営業している宿泊施設の関係者は「創業以来4、50年にわたってこの名前でやってきたので、突然言われても具体的にどうすればいいか分からない」とコメント。また、ペンション「すこやかin軽井沢オーナー」の山岸眞弓さんは「今にして思えば軽率だったが、“in軽井沢”とつけてしまった。軽井沢は大好きだが、町長さんがそう思うのも無理のないことだし、嬬恋ブランドも大事にしていきたいので、これを機会に“in嬬恋”に変更しようと思う」と話している。

 一方、軽井沢にも拠点を持ち、毎月のように訪れているというジャーナリストの佐々木俊尚氏は「町長の仰ることは無理筋だ」と指摘する。

 「“軽井沢”というエリアがどんどん広がっていることに対して、今さら“使うな“と言うのは、いくらなんでも無理なのではないか。逆に軽井沢町として、何を守り、何をブランドにしようとしているのかが不透明なようにも思う。よく別荘地だと言われるが、実際には空き家になって荒れ果てた別荘も多い一方、町では民泊禁止条例を作っている。また、星野リゾートが展開していたり、駅前には巨大アウトレットがあったりするわけだ。また、東京の起業家が作った風越学園という学校ができ、家族ぐるみで移住する人もいるという。

 これはどこの街もそうだが、最近では中心部がブランドじゃなくなって後退し、その代わりにドーナツ化したり、居心地のいいコージーなエリアの方がいいという話になったりしてきていると思う。軽井沢についても、中心部よりも西軽井沢に良いお店ができるなど、ドーナツ状に外に広がっていくという構図がある。そういう中でブランドを維持していくためには、やはりひっそりした、いい場所をいかに維持していくかではないか。

 僕にとっても旧軽井沢の商店街は魅力ではなく、点在する小さなレストランやパン屋さん、あるいは自然の美しさであって、古い軽井沢のイメージとは全く違う部分でリブランディングされていると思うし、これからは若い人がコワーキング、リモートワークしにくるような町になった方が、静かで新しい軽井沢のイメージができ上がると思う。それを古い人たちが嫌だと言うのは、古い世代と、今の世代の意識の乖離、典型的な旧住民と新住民との対立構図だ」。

 佐々木氏の主張に対し、藤巻町長は「軽井沢には別荘地として130年間の歩みがあるが、仰られるように変わろうとしているのかもしれないし、ただ古いもの、伝統を守っていればいいものではないというのもそのとおりだ。人口もかなりのスピードで増えていて、むしろ急激に増えるのもいかがかなという町民の不安もある。しかし、やはりベースにあるのは静かな環境だ。確かに何年も開いていないような別荘も散見されるが、それぞれの持ち主の方の事情があるので、街がどうのこうのというのはなかなかできない。民泊にしてしまうことで、管理する人がいない中でドンチャン騒ぎしたりと、色んな問題が発生する可能性もある。それにより価値が低くなってしまうという危険性もあると思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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