「こんな苦しい思いをしてまで生きたくないと何度も思った」「孤独を感じる。子育てをしている中で辛いことしかない」。孤立や自殺対策に取り組むNPO法人「あなたのいばしょ」に届いた悲痛な声。コロナ禍の長期化で増える自殺や児童虐待、社会や地域から孤立した人々の問題の深刻化を受け、2月に新設された孤独・孤立担当大臣。生活困窮、児童虐待、いじめ、子育ての分野など多岐にわたり、担当省庁もまたがる中で、一体何をするのか。坂本哲志大臣に話を聞いた。
その誕生はドタバタとしたものだった。1月28日の参院予算委員会で、孤独・孤立対策について誰が担当するのかと問われた菅総理が田村厚労相を突然指名。田村大臣は困惑しながら厚労省での取り組みについて答弁しその場を乗り切ったものの、最終的には地方創生・一億総活躍担当相していた坂本氏が兼任することになった。
「本来は質問通告があり、誰が答えるかも決めておくが、これは想定外のハプニングだった。こういうことは時々ある。自殺や高齢者問題は厚労相の担当だったので田村さんを指名したのだと思うが、私も子どもの貧困を担当しているし、内心は“私でもいいのにな”と思っていた。担当が私に決まり、総理に呼ばれたのは最後の最後、2月12日だった。やはり内閣府というのは地方創生や少子化対策など、全ての省庁に関わることを扱う。そういうことで、これは坂本だな、ということになったのだと思う」。
菅総理は30日、都内の自殺対策支援を進めるNPO法人「ライフリンク」を訪問、相談を受けるスタッフの様子などを視察、「しっかり支援をさせて頂きたい」と述べている。坂本大臣は「ライフリンクの清水康之さんと1時間くらいお話をされ、一過性のものではなく、本気で継続してやると仰っていた。力を入れていくと思う」と話し、まずは“3本の柱”を進めていくと説明した。
「ここ10年減少傾向にあった自殺者が、このコロナ禍で増えだした。しかも女性、子どもも増えている。コロナ禍の中でステイホームが増え、人との接触が少なくなった。そこから心の問題など、色々な問題が顕在化してきていると思う。それだけでなく虐待や引きこもり、独居老人、高齢者の孤独死の問題もある。これら多岐に渡る問題を“孤独”という面からどう結びつけて対応していくかということだ。まずはタスクフォースを作って実態調査を進めていくが、非常に難しいのは、孤立しいてても孤独ではない人、孤立してなくても孤独な人がいるということだ。その中で絶望感を感じている、頼るべきがない、という状態にある方々にいかにアクセスし、タッチポイントを増やしていくか、という作業をしていくことになる。
ただ、そうした方々の心に寄り添うというのは行政が一番不得手なこと。そこでIT企業の皆さんに集まってもらってSNSでの情報発信の作業を進めるとともに、現場で活動するNPOに様々な支援をしていこうと考えている。現在、子どもの居場所作りは厚労省、子ども食堂の食材については農林水産省など、NPOでも扱う領域について担当する省庁が異なっている。そこを私のところでまず一元化しし、助成、支援については各省庁に下ろしていく。縦割りでなく、横割り、横串だ」。
EXITのりんたろー。は「3.11の時も孤独や孤立の問題は言われていたが、やっぱり自覚できてない人も多いと思う。特に男性はそうだ。海外ではそういう人たちが集まるための施設が設置されていたり、孤独を可視化できるアプリもあると聞いた」、兼近大樹も「子育て中のお母さんもそうだと思うが、若者の場合、SNSで自分よりも恵まれた人を目にすることで、自分は皆と違う、孤独だということに気付かされることも多いと思う」とコメント。
坂本大臣も「兼近さんがおっしゃるように、ネットによって自分が孤独であることを改めて感じた、という方も多いと思う。私自身はTwitterは炎上したりするので慎重にならないと思い、アカウントは持っていないが、担当大臣として今後は考える」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側