“波乱万丈の人生を生きる金の卵たち=DREAMERS”が、LDH martial artsとの契約をつかみ取り、自らの人生を変えるべくABEMAとLDHが始動させた格闘オーディション番組『格闘DREAMERS』でのサバイバルに挑んでいる。番組のテーマは「拳でつかみたい、夢がある」。とはいえ、厳しい生き残りをかけ、目の前に訪れる数々の試練を乗り越えた先に、思い描いていた夢は果たして存在するのか…。そこで夢を叶えるべく格闘の世界に飛び込む若者が増えるいま、日本の格闘シーンの一線で活躍する選手や関係者に、「格闘技に夢はあるのか？」という共通のテーマをストレートに投げかけるリレー形式のインタビューを実施。第８回目は、日本MMAの中量級戦線・第1人者であり、近年は「パンクラスイズム横浜」を設立。指導者として、コーナーマンとしての評価も高い北岡悟が登場。２月の「DEEP 100 IMPACT ～20th Anniversary～」で大原樹里に敗れ、キャリア４連敗。去就が注目されるが、その独特の輝きをもう一度…というファンの声が絶えることがない。彼自身の今後も気になる北岡の答え、胸の内とは――。
― 北岡さんは格闘技に夢はあると思いますか？
夢…それを今の僕に聞く!?（苦笑）。まあ、あったりなかったりじゃないですか。「夢ってなんなんだ」みたいな話になりますけどね。もともとの話をすれば、僕にとってはパンクラスに入ることが夢だった。「格闘技で生きていく」っていうのが夢で、それができるのがパンクラスで。そういう意味では夢を叶えている。チャンピオンになるっていうことも叶えている。ただ僕が「甘くないぞ」みたいな話をするのは老害でしかないし。そんなこと若い人に言いたくないですからね。
― 格闘技専業で生きてきて、ベルトも巻いた。そのときに思ったこと、感じたことはありましたか？ 「やっぱり最高」なのか「思っていたのと違う」なのか。
何かを成し遂げても、人から見たら「だから何？」でしかないかもしれない。自己満でやったことを人がどう思うかで広がりが生まれるわけですけど…メディアなどで発信してもらえるのは大きいと思います。SNSもあるわけだし、チャンスっていえばチャンスじゃないですか。
― そこでベテランが「そうは言っても甘くないぞ」とは言いたくないと。
うん、言いたくないですね。僕が言うことじゃない。
― 北岡さんはSNSなどが無い時代から自分で動いて発信するタイプでしたよね。その北岡さんが今の時代に20歳くらいだったら何をしていたんでしょうね。SNSで話題性のあることを仕掛けたりしてましたかね。
あんまり変わらないと思います。確かに、いろいろやっていたのかもしれないけど、そこに夢があるかどうかは知らないよっていう（笑）。
― 夢があるかどうか、どんな夢を見るかは人それぞれだと。
人それぞれでしょう。モテたいとかお金稼ぎたいとか、人によって優先順位が違う。幸せになりたいっていう人もいるだろうし。「じゃあ幸せって何？」ってなるし。自分がどうしたいかも、状況によって変わっていきますよね。
― 新人とベテランでは変わって当然でしょうね。
それは僕自身感じていることですよね。世界チャンピオンにはなれないという現実があったとして、それでも格闘技をやりたいって思うのかもしれないし。そこは分からない（笑）。
― 『格闘DREAMERS』はご覧になりましたか。
チラッと。（中村）倫也選手がウチに練習来てるのもあって。いいプロジェクトだとは思いますけど、結局残るのは強い人。一瞬おいしい話に見えるかもしれないんですけど、力がないと淘汰されるから。ただ、『格闘代理戦争』で見出された平田樹選手のようにスピード感のある出世ができる面はありますよね。
― 北岡さん、今20歳くらいだったら『格闘DREAMERS』応募してますか？
状況にもよると思いますけど。僕はパンクラスに憧れて、格闘技で食っていくことに憧れましたけど、今だったら何に憧れるのか…分からないです。それは。“たられば”ですから。
― では、今現在の北岡さんの夢は？
今の僕？ 分からない。いま路頭に迷っているところなんで（笑）。とりあえずこのジムは残したいですね。あと格闘技以外の居場所が欲しいなぁとは思っていますが、今はまだ見えていないんです。
― どんな状況でも、いくつになっても夢は必要だと思いますか。
それもまた「夢の定義」の話になってしまいますけど、「目標」と言ってもいい。難しいですけど、自分で「何かをしていきたい」というのはある方だと思います、僕は。
