今月8日から、横浜の市立中学校で学校給食がスタートする。「学校給食法」で栄養素ごとの基準などが決められ、児童・生徒の食育にとっても重要な役割を果たす学校給食。しかし、実は全て学校で提供されているものではなく、横浜市も政令市としては唯一、家庭から持参する弁当や業者による仕出し弁当、そして民間企業が配達する「ハマ弁」から選ぶシステムを採用していた。
ところが市は、目標(20%)に対し「ハマ弁」利用の生徒が7.3%(昨年2月)にとどまっていることから、代わりに今年度からデリバリー型の学校給食を開始することにしたのだ。
90年代前半に横浜市内の中学校に通っていたジャーナリストの堀潤氏は「横浜と聞くとキラキラしたイメージを思い浮かべるかもしれないが、実はとても格差が大きい地域だ。確かに山手エリアはキラキラしていたが、僕の友人にはヤンキーの子も多く、家庭がしんどいんだろうなと思うこともあった。当時はハマ弁は無かったが、やはり食べている物で家庭状況などが分かってしまい、いじめの対象になるという心配がある。
実際、子ども食堂に行っている子=貧困家庭の子だと見られるのは困るからと、我慢して行かないケースもある。そういう状況が学校内で放置されてきたことは良かったのだろうか。また、ハマ弁の利用率が上がらなかったために、一食あたり2600円ものコストがかかっていたことが市議会で明らかになった。こういう行政の調達の仕組みを問わないと、子どもたちを覆う負の側面は改善されないのではないか」と指摘する。
跡見学園女子大学教授の鳫咲子氏は「ご指摘のとおり、ハマ弁を食べることで、お弁当を作ってもらえない子だと見られてしまうという問題があった。ハマ弁が非常に割高になっていたこと、子どもたちのニーズをどれだけ反映しているのかという問題もあったと思う。市民からも“給食を”という声は上がっていたが、財政上の問題などもあり、ようやくデリバリー型にするということになった。
そもそも中学校の場合、給食費は年間で4万円くらいがかかる。生活保護に近い制度として“就学援助“という制度があるが、これを受けている子どもたちが全国で増えていて、横浜市でも2割弱、1万5000人くらいの中学生が該当する。実は今までハマ弁に対する支援はなかったが、今回の変更によって給食費相当額の支援が受けられるようになるというのも、大きな変化だと思う」と話す。
また「去年、全国の学校で一斉休校になった時には、朝ごはんもあまり食べていない子どもたちにとって、給食が食べられないことで非常に大きな影響があった。その意味でも、給食はセーフティネットにもなっていた。もっと言えば、高校生の昼食にも課題があることがわかってきているし 夏休みの学童保育の時には給食センターから配食している自治体もある。
デリバリー型だった大阪市では、給食センターを整備したり、近隣の小学校で調理してもらう“親子方式”を導入したりすることによって、温かいものを食べられるようになったりしている。いずれは横浜市でもそのような形で温かい給食を提供できたらいいのではないか」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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