“波乱万丈の人生を生きる金の卵たち=DREAMERS”が、LDH martial artsとの契約をつかみ取り、自らの人生を変えるべくABEMAとLDHが始動させた格闘オーディション番組『格闘DREAMERS』でのサバイバルに挑んでいる。番組のテーマは「拳でつかみたい、夢がある」。とはいえ、厳しい生き残りをかけ、目の前に訪れる数々の試練を乗り越えた先に、思い描いていた夢は果たして存在するのか…。そこで夢を叶えるべく格闘の世界に飛び込む若者が増えるいま、日本の格闘シーンの一線で活躍する選手や関係者に、「格闘技に夢はあるのか？」という共通のテーマをストレートに投げかけるリレー形式のインタビューを実施。第９回目は、修斗とパンクラスを経てONE Championshipで活躍中の松嶋こよみ。気になる彼の答え、胸の内とは――。
― 松嶋選手、格闘技界に夢はあると思いますか？
夢…どうですかね。僕は格闘家になるのが夢だったので、夢のためにやってる感じではあるんですけど。「格闘技で夢を掴もう」みたいのは、僕はないんじゃないですかね（笑）。
― 格闘技で有名になりたいとかお金持ちになりたいじゃなく、格闘技をやって生きていること自体が夢だと。
僕はそう思って小さい頃からやってました。お金持ちになりたいのであれば、格闘技を選ぶ必要もない。でも、どういう夢を持つかは人それぞれですからね。いろんな夢が見られる世界でもあるのかなと。ただ、小さい頃に想像していたものにはなれていないですね。まだ夢に指が引っ掛かったくらい。子供の頃に見ていたPRIDEでは凄い外国人が出ていました。ああいう舞台で闘いたいっていうのがあります。あの頃はPRIDEが一番だったんですけど、「今の一番の舞台で闘いたい」というのが大きいです。そうなるとUFCだなって。
― 夢を追う中で苦しかったこと、挫折した経験は？
練習もそうですけど、特に試合は夢というよりも現実と向き合うことになります。自分より強い相手と闘うこともありますけど、それがあるから頑張れるんですよね。だから苦しいというものでもないですかね。
― ONEも強い選手がたくさんいますし、アジアのビッグイベントという昔では想像できなかった形の大会になっています。
自分を高めてくれる舞台だと思います。日本でやっていたら闘えないような相手とできるのでONEに出てよかったと思うし、そこでいい試合、自分の糧になる試合ができてるなと思います。
― 松嶋選手は『格闘DREAMERS』ご覧になりましたか。
はい、知り合いの選手（中村倫也）も出ていますので。アマチュアで場数を踏むのも大事ですけど、ああいうふうにプロに近い環境でやれるのもいいことだなと思います。楽しそうだし（笑）。
― 今は若い選手、プロ志望者のレベルも上がっている気がします。
MMAはやることが多いので選手の年齢層が高いイメージがあったんですけど、今は若い選手も増えていますよね。そういう選手たちに抜かれたくないという気持ちはあります。中村倫也だってレスリングのトップ選手で、そういう選手がMMAに来た。焦りもありますけど、自分の強さを見せてやろうという気持ちもあります。
― 逆に格闘家の卵たちにアドバイスはありますか。
倫也にも言ったんですけど、あの環境でできているということに感謝しないといけないですよね。人から見たらうらやましい状況なんだよって。私もアドバイスがほしい（笑）。若さがほしいですね。
― キャリアを積むと若い頃のギラギラ感は薄れていくものですか。
だいぶ薄れてきましたね。そのかわりに冷静になれるんですけど。「誰が相手でも勝てる」みたいな考えはなくなりました。だからこそ相手の実力を冷静に見極めることができる。デビューしてまだ7年目ですけど、それでも前とは全然違うんですよ。いろんな経験を「学び」にできたのがよかったと思います。
― 松嶋選手の今現在の夢は？
なんだろうな…やっぱり一番になりたいし、日本で一番でありたいし、世界で一番強くなりたいっていうことですね。それを実現するために、毎日コツコツ積み重ねていく。あまり近場の目標は立てすぎないように。そういった一つひとつは通過点だと思うようにしています。ベルトを獲ること、次の試合に勝つということは大事なんですけど、MMAファイターとしての最後の目標っていうのはブレずに持っていたいです。目標を細かく作って一つずつクリアしていくっていう考え方もあると思うんですけど、僕の場合それだとクリアするたびに一息つきたくなっちゃいそうな気がして（笑）。
