今、ある漫画に世間の妻たちから共感の声が集まっている。タイトルはズバリ『夫を捨てたい。』(作者・いくたはな)。つわりが辛いのに何もしてくれない夫、子どもが熱を出したら仕事を休むのはママ、子どもが小さいのに夫は飲み会三昧……。漫画は、家事や育児で疲弊する妻と、その大変さに気がつかない無関心な夫がテーマだ。
【映像】ひろゆき氏、妻の不満にタジタジ「論破王をするヒマがあるなら掃除をやって」(長文メールまとめ)※6分30秒ごろ~
漫画は作者・いくたはなさんの実体験が元になっている。イラスト出演ならと取材に答えてくれたいくたはなさんは「うちも全く同じだという意見が大多数。何が辛かったのかよく分からなかったけど、漫画を読んで『何が辛かったのか分かりやすくてスッキリした』というコメントをたくさんいただいた」と話す。
共働きが増えている現代。「男性も育休を取れる社会に」「性別役割をなくそう」と叫ばれても、現実はまだまだ妻の負担が大きい。それを裏付けるようにSNSにはハッシュタグ「#旦那デスノート」が広がっている。
【投稿例】
「今日は子供のミルクとか任せるって言ったのに。あげたのたった1回。父親やめちまえよ」
「奴が帰ってきた、毎日0時とか1時過ぎに帰宅してどこで遊んでんだか、早く死ね帰ってくんなよ」
ハッシュタグを見て、思い浮かぶのは夫のグチを投稿するサイト「だんなデスノート」だ。2017年頃、書籍化されるほど話題になったが、SNSには妻による夫への不満ツイートが後を絶たない。他にも「#旦那の愚痴」「旦那嫌い」「旦那ストレス」といった投稿も数多く寄せられている。
一方、旦那”を妻に変えて検索してみると投稿数は歴然で、夫に対する不満の投稿が圧倒的に多いようだ。かつては永遠の愛を誓い合った仲、こんなはずじゃなかったと夫に失望してしまうのはなぜなのか。
■「俺はイクメン」と思い込む夫、周囲の環境も影響?
子育てについて発信するライターのゆるよさんは、3児の母で夫に不満を抱えるワーママだ。具体的にはどのような不満を抱えているのだろうか。
ゆるよさんは「働いて子育てもしているのに負担が全部自分」と話す。不満を夫に伝えても「伝えるが伝わってないという感じだ」という。
「夫は洗濯物が1週間ぐらい溜まってからやる。私が家事をしなければ、家が崩壊状態になる。なのに『俺はイクメン』と周りにドヤっている」
ゆるよさんの不満に夫婦問題カウンセラーの高草木陽光氏は「伝え方があまり上手ではない人が多い」と指摘する。
「具体的に言わないと、なかなか理解してくれない男性が多い。女性同士だと『お茶碗を洗って』『これをやって』と伝えるだけで、そのままスムーズに動けることが多い。だが、夫に伝える場合は、例えば『お皿を洗って拭いて』と一連の流れまで言わないと、洗っただけで終わってしまって『本当は食器を拭くまでやってほしかったのに』と不満が溜まって、認識がズレが生じてしまうのはよくある」
ゆるよさんは「私(の怒り)が爆発したときは、1カ月とか一時的に夫が家事をやるようになる。だけど、気づいたらまたやらなくなっている。その繰り返しだ」と話す。結婚前に、夫がそういう人だと分からなかったのだろうか。
ゆるよさんは「(分からなかったというよりも)変わってしまったのが大きい。職場の部署が変わって、激務になって、残業が増えたり、仕事が忙しくなったり。仕事を言い訳に家のことをやらなくなってしまった」と答える。
ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は、男性と女性によって“イクメン”の評価が違うと指摘する。
「男性にとって“イクメン”は、男性社会の中で子どもに対して手をかけているかどうか。男性社会の中では、子どもの世話を一切してなくても、たまに日曜日に一緒に遊びに行っているだけで『けっこう頑張ってるじゃん』という評価になってしまうこともある。夫が自分でイクメンだと言ってしまうのは、周りの状況もあると思う」
自分のことをイクメンだと思い込んでいる夫。認識を改めるにはどのような接し方がいいのだろうか。高草木氏は「シンプルだが“褒めて伸ばす”がいい」と述べる。
「実際、なかなかできない人が多い。なぜかというと『なんで私がそこまで引き下がらないといけないの?』という気持ちが大きくて、素直に『うわー、上手』や『私よりうまいね、器用だよね』『もう1回お願いね』と言えない」
褒め言葉を使ったり、妻側が妥協しないと成立しないのだろうか。高草木氏は「『私がなんでそこまで』と思うかもしれない」とした上で、その先の“目的”に言及。
「目的は、例えばお部屋がきれいになったり、夫婦が仲良くしたりとか。その目的があるのに、ケンカをしてしまったら、目的が果たせない。目的があるのだから、それに向かって褒めたり、(やる気を)乗せたりして、結果、自分が楽になる。それでいいのではないかという話をよくしている」
高草木氏の説明にひろゆき氏は「男性はサボるのが当たり前になっている」と述べる。
「結果として夫側はやりたくないことをやらなくて済んでしまっている。夫側はサボることが当たり前になっていて、最終的には『こうなったら無理、離婚する』を妻側が言わないと『普通にサボるよね。たまに言われて大変なんだよ』という男社会は変わらないと思う」
■「2人でいるのに1人でいるときより寂しい」修復か離婚か…見極めのポイントは?
夫婦関係を修復するか、別々の道を歩むか。見極めのポイントはどこにあるのか。高草木氏は「家庭を一緒に盛り上げていこうという気持ちが同じじゃなければ、別々に住んでも同じだ」という。
「夫婦という形をどういうふうに保ちたいのか。妻側が『私ばっかりすることや、決めることが多くて、せっかく2人でいるのに1人でいるときより寂しい』とおっしゃるケースは多い。『一緒に考えてほしい、一緒に悩んでほしい』と訴える人が多いので、一緒に何かをしなくなってしまったら一緒にいる意味はないのではないかと思う」
ひろゆき氏は「スパッと別れちゃうのも手段だ」と話す。
「僕の知り合いで子どもがいて離婚した夫婦がいる。ただ、子どもを保育園に引き取りに行くのは別れた旦那が1人で行くことがある。結婚はしていないけれど、必要なときはお互いに自分たちの子どもだから手助けはする。あくまでもシングルマザーと元旦那の立ち位置でうまくやっている。むしろやることが当たり前にならなくて『やってくれてありがとう』に変わる。(離婚によって)揉めなくて済むこともある」
それぞれの家庭が持つ夫婦の問題。ひろゆき氏は「例えば、離婚をして、その代わり『養育費を月に何万円払う』と公正証書を作って、相手の会社経由で養育費をもらって、シングルマザーとして暮らす。離婚した上でちゃんと快適な子育てができる環境を用意する方が、個人ができることとしてはまだまともな気がする」と投げかける。
「離婚の場合、シングルマザー側に知識がなくて、不利になることが多い。でも、うまく法律とルールを使うとちゃんと生活の不安もなく、お金も入る形の離婚ができる。それをきちんと教えた方がいいと思う」
高草木氏も「絶対に離婚してはいけないというお話ではない。お互いに離婚して、幸せになる人もいる」と話す。
「私たちのような専門家も徐々に増えてきて、離婚問題が持ち上がったらいきなり弁護士に相談に行く人もいるが、その前に誰に相談したらいいのか、どのような手順・制度があるのか。それはカウンセラーでもお話しできる。ちゃんと情報を得ることは、本当に必要だ」
(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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