東京オリンピック・パラリンピックの開催をめぐり、新型コロナウイルスがさらに拡大した場合は「中止も選択肢としてある」とした自民党・二階幹事長の発言が波紋を呼んでいる。
開幕まで100日を切った中でのこの発言にどのような意図があったのか。テレビ朝日社会部で五輪担当の古武家朋哉記者が解説する。
今回の二階幹事長の発言に対して、政府関係者からは「何を言っているんだろう」「少なからず衝撃はあった」という声が聞かれたという。また、ある関係者は、変異株がまん延しそうな今の状況、世論がオリンピック・パラリンピック開催を後押ししていない状況を考えての「一種の政治的発言なのではないか」と話す。
一方、組織委員会の関係者には、「どうしてもできない状況だったら中止もありえるだろう」という二階幹事長の発言は、どうしてもできない状況ならできるわけがないという「言葉遊びみたいなものではないか」とみる人もいるようだ。
二階幹事長は今年1月、東京オリンピック・パラリンピックを開催すべきだという理由について問われた際、「開催しないということのお考えを聞いてみたいぐらいだ」と答えている。当時の発言と今回の発言の温度差について古武家記者は、「3カ月の間で変異ウイルスがまん延し、第4波が現実に見えてきていることが、今回の発言をさせたひとつの要因なのではないか」と分析する。
また、ワクチン接種などをめぐり政府・与党内でも足並みの乱れがみられる。「先週、選手へのワクチン接種を政府が考えているといった一部報道があったが、それに対し丸川五輪担当大臣は全く検討していない、今後も検討する予定はないと強く話している。ところが先日、自民党のワクチンに関する会議で、日本代表選手への接種を検討する必要があるのではないかという声が上がってきた。こういったところで足並みが揃っていないように見えるのではないか」。
そんな中で、国が言う「安心・安全な大会」は実現できるのか。丸川大臣は、東京オリンピック・パラリンピックの全参加選手に対し、毎日PCR検査を行う方針を示している。これに対し大会関係者からは不安視する声が聞かれるそうで、古武家記者は「全ての選手+αの人に毎日検査を行うには多くの医療関係者が必要。またどこで検査をするかというと、選手村にもそういう施設は作られるが、そこで毎日全員を検査することは到底不可能だ。そうすると、競技場のどこかのスペースを囲うことになるが、やらなければいけないことが多くなってきて『どうなんだろう』と漏らす関係者もいる」と明かした。