「入店者数の制限でも効果は見込めるが…」現行制度では酒類禁止や時短・休業で頑張るしかない?
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 菅総理大臣はきのう、大阪府と兵庫県からの緊急事態宣言の要請を受け「今週中に決定する」と表明した。さらに京都府、東京都も相次いで要請を表明、大型連休を前に、3度目の緊急事態宣言の発出が迫っている。

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 厚労省のクラスター対策班メンバーでもある京都大学ウイルス・再生医科学研究所の古瀬祐気特定准教授は、「これらの地域では感染者数が増えているし、病床の逼迫具合から見ても発出は妥当だ」との見方を示す。

 「9月頃に少しだけ下がったのを除いて、実効再生産数が下回ってキープできたのは1回目と2回目の緊急事態宣言があった時だけだ。つまり緊急事態宣言、あるいはまん延防止措置がない状態でウイルスが増えなかったことはない。新型インフルエンザ対策の研究では、他の対策がある程度緩くても、特に人の動きのハブになるようなところをしっかり押さえれば収束に向かうというデータも出ている。これから厚労省アドバイザリーボードが出した意見が感染症対策分科会に上がり、公衆衛生や経済の専門家、自治体の首長たちが期間や対策の強さの程度についての調整を行う。これに1週間という時間が必要なのかなと思うが、感染者数を抑えるという意味では、出すと決めた以上は早めに出した方がいい」。

■結果次第では、GW明けに再延長も…?

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 期間について、分科会の尾身会長は「10日というのは短すぎる。最低3週間は必要だと、個人的には思います」と述べている。

 この店について古瀬准教授は「ものすごく強い対策をすれば10日間でも下がる可能性もなくはない。ただ、伝播の抑制が起こって患者の発生が減り、病院に行かなくなり、検査を受けなくなり、重症化が減り…という数字が見えてくるまでには、やはり2週間はかかる。10日経った時点で効果があったかどうかを判断するのはかなり難しいので、きちんと効果を見届けるためには3週間必要だという尾身会長の意見は理解できる。

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 まずは3週間、みんなで協力してガッツリと抑え、うまくいけば解除ができる。ただ十分でなかった場合、再延長もあり得るし、1回目の緊急事態宣言の後と同じように少し穏やかな日々を過ごせるかもしれないが、やはりワクチンの接種も十分に進んでいないので、“また次の波が来る”という危機意識を持ちながら過ごすことになると思う。関西では50%以上が変異株になってきている。関東でも市中に蔓延している状態なので、これから大阪のような状況になってしまう可能性が高い。これも皆さんの危機意識、行動次第だと思う」。

■テーマパークや学校への要請の効果は?

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 一方で、時短営業によって飲食業界が疲弊しているのも事実だ。大阪府では飲食店への時短要請のほか百貨店やテーマパーク等に休業を求める意向で、東京都も遊興施設、大型商業施設、カラオケ店などに対し休業を、都立学校にはオンライン授業を求める方針だ。

 古瀬准教授は「感染者の数を減らすためには全面休業の方がいいのは間違いないが、それに伴うダメージも考えると、時短営業ということになると思う。やはりお酒の入る場所は人数が多くなることもあるし、マスクを外した状態で会話も弾むので、感染が起きやすい。ただ、世界的に見て、お酒の提供だけをやめるという対策をしたケースがあまりないので、効果は未知数だ。

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 また、時短ではなく、入店する人数を減らすことでも同じような効果が見込まれると思う。1対1の飲み会を10回するのと、10人との飲み会1回するのとでは、感染リスクは同じだ。それでも1対1で10回会う方が、10人と1回会うよりも伝播の確率は低くなる。飲み会は少人数にした方がいい。ただ、今の法律の枠組みでは飲食店に人数制限をかけるような要請ができないので、皆さんに少人数でやりましょうとお願いするしかできない。だからできることとして、時短営業の要請になってしまう」と説明。

 また、テーマパークや学校についても、「イギリスが主導して世界の対策を比較した研究では、テーマパーク、デパート、映画館の休業については効果は小さいものの、間違いなく実効再生産数を10~20%減らしたというデータが出ている。飲食の場に比べれば確かに感染リスクは低いが、これらの施設には複数人で出かけるケースもあるため、間接的が効果もあるということだ。

 学校の休校に関しても、実効再生産数で20%くらいは減らせるという研究結果がある。これも大人たちが集まるのを止めるよりも効果は薄いし、やはり子どもたちが学び、人間的にも成長する場なのでなるべく閉めたくない。ただインフルエンザの学級閉鎖同様、子どもから子どもにうつることでウイルスが循環・維持され、さらに家庭で大人にうつることを防ぐ意味でも、効率的な公衆衛生の対策ではある」との見方を示した。

■本当に対策は徹底できるのか?

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 実業家のハヤカワ五味氏は「最近、2人で晩ご飯を食べに行った時、20時を過ぎても営業しているところに客が集まっていて、ケンカしている人もいた。本当に効果があるのかと感じてしまう」、お笑い芸人のパックンは「徹底できているかどうかの確認も難しい。むしろ暖かくなってきたから、テーブルを外に出してオープンエアダイニングのようにするのもいいのではないか」とコメント。

 慶應大学特別招聘教授でドワンゴ社長の夏野剛氏は「難しい判断だが、ここまで来たら休業という選択肢も考えた方がいいと思う。確かに閉めるというのはかわいそうだが、経済も回しながら、というのは、結局は感染者を増やしながら売らせてくれということだ。今回ゴールデンウィークで区切ろうとしているのも、大都市における飲食は平日がメインなので、そこへの打撃を少なくしようという配慮があるのではないか。しかしダラダラと長引かせることの方がダメージも大きいということは分かっている。この蔓延状態を早く収束させないと経済も復活しないということを認めた方がいいし、この21日から29日までの8日間はすごく危険だ」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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