「我慢するしかなかった」「男性にも正しい知識を」女性アスリートが直面し続けてきた生理やピルの課題
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 女性アスリートのコンディションやプレーに影響を与える生理。日本臨床スポーツ医学会によると、実に9割以上の女性アスリートが、生理に左右された経験を持つという。

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 「ポンチョを使って着替える時、その中でナプキンをつけ替えて、というのが大変だった」(20代、ライフセービング経験者)

 「生理になると貧血が辛かった。ただ、体調が悪くても監督が男性だと言いづらくて…」(20代、バスケットボール経験者)

 「体脂肪は15%以下にした方がいい、みたいな決まりごとがあって、食事制限などをしていたら、半年間ぐらい生理が止まった(20代、陸上競技経験者)

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 女性向けのヘルスケア事業を手掛ける実業家のハヤカワ五味さんは「私のフォロワーの中には、生理中に泳げと言われ、血を流しながら泳いだという子もいる。低用量ピルが日本で認可されたのは1999年のことなので、これを使って対策ができるという前提もなかったりする。月経カップといって、プールの中にいても受け止めてくれるような商品も、ここ数年で出てきたもの。やはり親の世代コーチが知らなければ、若いプレーヤーの方々も使うことができないと思う。スポーツと生理に関して研究されている方や婦人科の先生方、知識のあるアスリートの方々には、ぜひ中高の部活動にも伝えてほしいなと思う」と話す。

■自ら取り組みを始める女性アスリートたち

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 元競泳日本代表としてオリンピックに2度の出場経験がある伊藤華英さんは、2008年の北京オリンピックの際、競技日程と生理の予定日が重なったため、ピルを服用することで調整しようとしたところ、初めての経験ということもあり、本来の実力を発揮することができなかったという。「ニキビができたり、体重が3~5kgも増えたりと、副作用に体が慣れてくるまで3カ月くらいかかった。そういうことをあまり知らないまま、対策をしてしまった」。

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 それから10年以上が経った先月、教育プログラム「1252プロジェクト」の立ち上げを発表。学生アスリートたちに向け、トップアスリートらがセミナーを行うなど、生理の情報を発信する仕組みを作ろうとしている。「センシティブな話なので、学校や部活の先生に知られたくないということもあると思う。信頼できる、少しでも話せる場所のような活動もしていきたい」。

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 なでしこリーグ2部「スフィーダ世田谷FC」所属の下山田志帆選手は、自ら会社を立ち上げて繊維商社と組み、吸収性の高い生理対策用のパンツを開発。5日からクラウドファンディングで予約販売を開始した。「スライディングしたときに水たまりに突っ込んでしまってナプキンがパンパンに膨れてしまったり、身体から出る汗でめちゃくちゃ蒸れてしまったり、水分を吸収するナプキンが邪魔だな、最悪だなと思っていた」。

■石黒由美子「アスリート向けサービスの充実を」

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 元アーティスティックスイミング日本代表の石黒由美子さんは「私たちの競技の場合、何十人もの選手が一緒に練習しているし、1カ月に1回、それぞれのタイミングで生理になるので、みんなが“今日の練習は生理なので休みます”と言っていると、まとまらなくなってしまう。だから仕方ないという部分はあった。

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 コーチに言われた、“どんな時でもどういう体調でも、オリンピックや世界大会の日程、自分が行かなきゃいけないという日程は決まっているわけだから、どういうコンディションでもベストパフォーマンスが発揮できるよう練習を普段からしていないと、本番でもいいパフォーマンスはできないよね”というアドバイスも、至極まともだと思って聞いていた」と振り返る。

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 その上で、「アスリートにはドーピングの問題もある。日本代表レベルになると、国立科学スポーツセンター(JISS)というところで処方される薬もあるので、絶対に安心、大丈夫、ということになるが、一般の医療機関で処方される薬はアウトであることが多い。そのあたりのことはきちんと把握していないと大変なことになるが、ピルのことも含め、相談する窓口もない。私も“自分で調べてください”と言われて、“えっ?”となったことがあった。私は関西にいるので、例えば東京のJISSに行って診てもらうのは難しい。今はコロナ禍でもあるので、知識を持った専門医に気軽に相談できるシステム、サービスが充実されると嬉しい」と語った。

■潮田玲子「10代の選手、男性にも正しい知識を」

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 元バドミントン日本代表の潮田玲子さんも「生理の重さや辛さは個人差があるが、大半の方が何かしら不調を感じたり、腰が痛いな、お腹が痛いなということになるとはず。だから、できれば大舞台は避けたいな思うのが普通だと思う。でも、私も女性にとっては当たり前のことだし、痛みも我慢するものだと思っていた。パートナーには伝えることがあったとしても、コーチやスタッフに言うことは絶対になかったし、練習の強度を落とすという選択肢もなかった。やっぱり我慢の一択、という感じだった」と明かす。

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 「一般の病院で処方された薬についても、自分で調べてくださいと言われてしまっていたし、石黒さんが言ったように、私もオリンピックがあったので、JISSで処方されたもの以外は一切飲まないよう徹底していた。ピルについても、海外の選手はうまく使ってコントロールしているが、日本はまだまだ遅れていて、私も自分からドクターに聞いて、初めて知った。

 やはりトップアスリートであるかどうかに関係なく、身体が変わり始める頃から知識がインプットされることが大切だと思う。伊藤華英さんのような活動を通して、10代の選手にも正しい知識を身に付けてほしいと思う。それは男性に対しても同じだ。指導者には男性も多いので、責任ある立場として、問題解決のために絶対に知っておくべきだし、それは夫婦間でも会社の中でも同じだ。不調なのはどうしてだろう、機嫌が悪いのはどうしてだろうという疑問に対して、知識があれば気遣いができるようになる」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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