パーフェクトなタイミングで合わせた鋭い右フックのカウンターが炸裂すると、まともに被弾した選手の身体が反動で“ぐにゃり”とねじれ、前のめりにダウンして失神。初見参となった鹿児島のローカル王者が見せたパンチの破壊力に場内から拍手とどよめきが、実況席からは「身体が半回転するぐらいの強烈なパンチだ」など、驚きの声が上がった。
4月23日に後楽園ホールで開催された「Krush.124」。Krush初見参の幸輝(インタージム)とFUMIYA(ポゴナ・クラブジム)の対戦は1ラウンド2分7秒、幸輝がFUMIYAの左に完璧なタイミングで合わせた右カウンターでFUMIYAを完全失神させるKO勝利を収めた。衝撃的なダウンシーンに場内は一時騒然。さらにネットからは「スクリューみたいなパンチだ」「あの右は危険だ」などの声が多数寄せられた。
これまで鹿児島を拠点とし、九州の団体KPKBで活躍してきた幸輝は今回、初代KPKBスーパー・ウェルター級王者の肩書きを引っ提げてKrushに参戦したローカル・チャンピオン。対するは水泳のジュニアオリンピックに出場するなど輝かしい経歴を持ち、“戦う介護士”として奮闘する“フィジカル・モンスター”ことFUMIYA。ここまでKHAOS /Krushの戦績では6勝8敗と負け越しているものの、近藤拳成や中野滉太など、トップランカーとの試合経験も豊富。今回から階級をひとつ上げ、ウェルター級で心機一転のリングとなった。
試合開始早々、「左のジャブが鋭い」と実況席が幸輝の切れ味鋭い攻撃力に注目すると、FUMIYAも力のある左ミドルを連続で打ち込むなど、パワーの片鱗を見せる。幸輝が長身を生かし距離とスピードのある右ミドルで反撃すると、FUMIYAが後ろにふらつく場面も。すかさず幸輝がチャンスを逃すまいと同じ軌道で右ミドルを叩き込むと、再び吹き飛ばされたFUMIYA。この攻防にABEMAでゲスト解説を務めた菅原美優が「パンチも蹴りもかなり鋭くて怖いですね」と未知の選手の攻撃力に注目した。
一方、流れを変えたいFUMIYAは前に出てアッパーや左ミドル、ローと積極的な攻めを展開する。幸輝との間合いを詰め、前蹴りとミドルを織り交ぜてプレッシャーを強め、自身のペースに引き寄せようと懸命だ。次第に後退するシーンが目立ちはじめた幸輝だったが、しっかりとガードを固めると、追ってきたFUMIYAに狙いすました右ストレートを一閃。大きく仰反り、一瞬フリーズしたFUMIYA。ここはクリンチに逃れたが、ダメージは大きい。
すると次の瞬間、衝撃のクライマックスが。試合再開と同時にFUMIYAが左フックを放つと、幸輝が素早くカウンターで右フックを振り抜いた。予想しないタイミングで強烈な一撃を被弾したFUMIYAの身体はパンチの勢いも加わってぐにゃりと回転。そのまま前のめりに崩れ落ち、完全失神のKO決着となった。ゴングが鳴り響くと同時にスタッフやドクターらが駆け寄る壮絶なダウンシーンだった。
この結末に実況席から「身体が半回転するぐらいの強烈なパンチ」と驚きの声が上がると視聴者からも「あの右は危険だな」「身体が捻じれていた」「この選手は即K-1に行ける」など反響が。しばらく動くことができなかったFUMIYAだったが、スタッフに囲まれリングを後にすると、安堵した会場のファンから健闘を称える拍手が送られた。