現在、絶賛オンエ中の「ゾンビランドサガ リベンジ」(以下、「リベンジ」)。生まれた時代が違う少女たちがゾンビとして蘇り、アイドルグループ“フランシュシュ”を結成。アイドル活動をして佐賀県を救う――。そんな筋書きで人気を果たしたアニメの2期だ。
「リベンジ」で新たな危機に立ち向かう“フランシュシュ”のメンバー、源さくら役の本渡楓、紺野純子役の河瀬茉希、ゆうぎり役の衣川里佳。3人の対談からは、「リベンジ」の見どころとともに、現場の楽しさも伝わってくる。
――1期のアフレコは、皆さん揃って行っていたとお聞きしました。「リベンジ」のアフレコは?
本渡:最大4人ぐらいで、何組かに分かれてやっています。
衣川:そのうえで、アフレコに参加していない人たちもスタジオの風景が見られるように、リモートでつなげてくださっているんですよ。その場にいなくても、どういう感じで録っているのかが確認できるんです。
本渡:本当にありがたいです。
河瀬:珍しいですよね。リモートでアフレコ風景を見せてくださるのは、今まで他の現場では経験がありません。別々のスタジオに分かれてアフレコしながら、リモートでつないで掛け合いをするのは聞いたことがあるんですけど、「収録風景をご覧ください」状態ははじめて。
本渡:アフレコ中は、たまにカメラに向かって、宮野(真守)さんたちと「イエーイ!」
ってやっています。
衣川:「見てるー?」みたいな感じでね。見ている方の名前が画面に出るから、「誰々が見てくれているね」「今、こんな感じです!」って。一緒にいないけど、心がつながっている感じがするんです。本当に仲がいいなって思います。
河瀬:一回、私と衣ちゃんが“見ている側”のときに、衣ちゃんがマイクをオフにしてなかったこともあったよね(笑)。
衣川:気づかずに…。すみません。
河瀬:リモートでアフレコ風景が見られるのは、ほかの人たちの雰囲気がわかるのはもちろんありますけど…何より楽しい!
衣川:「こういうアドリブ入れてたんだ~」っていうのもわかるしね。みんなの声を聞けるのもやっぱりいい。宮野さんの、「わー!」っていう声も、最初は「幸太郎さんは変なキャラだなあ」なんて思っていたけれど、今はそれがないと物足りないんです。あの声を聞いて安心するんです。リモートがあってうれしいですね。
――現在、「リベンジ」は3話まで放送され、4話待機中です。
本渡:1話で、「“リベンジ”とは」がおおかた語られて、「あとはそこに向けて頑張るだけなんだ」と思われたと思います。ただ、話数が進んでいくと、別の意味での“リベンジ”も描かれていくんだなろうなと思いました。2、3話を収録して“リベンジ”という言葉には、克服とか立ち向かうとかいろいろな意味があるんだなと改めて実感しました。
――2話ではサキと、サキが生前から憧れている大物タレント“ホワイト竜さん”のエピソード。3話では、愛から“フランシュシュ”の指導を託された純子が悩み、愛は生前に所属していたトップアイドルグループ“アイアンフリル”のメンバーから加入を誘われる衝撃の展開が…。
本渡:2話はサキちゃんが、3話は純子ちゃんや愛ちゃんが、改めて何かに正面から向き合う姿が描かれています。それが“リベンジ”だなと、私は思っていて。「リベンジ」では、「どういうふうに」「何を」“リベンジ”していくのかが深いですね。なかには、切ない気持ちになるようなシーンもあったり・・・。2話のラストで、サキちゃん、そんな顔するんだ、そんな風に泣くんだと思い、切なくなりました。
――切ないと言えば…。「リベンジ」1話では、ある失敗を気に病み、酒浸りになっているプロデューサー、巽幸太郎(声:宮野真守)の姿が、おかしくもあり、悲しくもありました。
本渡:「リベンジ」1話の幸太郎さんのあの状態は、早く通常の幸太郎さんに戻ってほしいなって思いましたし、あそこまで自暴自棄になっちゃうほどなんだと思いました。ゆうぎりさんに背中をさすられながら…。
河瀬:幸太郎さん、「間違えました」って言うんだよね…。
本渡:あの台詞には、耳をふさぎたくなるぐらいすごく複雑な気持ちになって…。そのバランスがすごいですよね。この作品を見るとき、私は1周目は「おもしろいな」と思いながら見るんです。でも、2周目、3周目になると、いろんなところに気づき、見るたびに感想が変わっていくんです。改めてスタッフの皆さんたちはすごいなとも思いますし、それを受け止めて演じる他のキャストの方々も、やっぱり素晴らしいなって思うんです。
――河瀬さん演じる純子は、伝説の昭和のアイドル。1期では活動方針の違いから、みんなに心を閉ざしたこともありました。「リベンジ」では、その純子が“フランシュシュ”の柱になろうとして、プレッシャーに悩みます。
河瀬:1期は拒絶の孤立だったけれど、「リベンジ」ではプレッシャーや責任感で、「ひとりで何とかしなきゃ」という方向の悩み方。1期を通して、きっと皆さん、「純子ちゃんって、儚くて大人しいイメージだったけど、すごく芯が強くて、しっかりしていて、たくましい子だな」という印象を持たれたと思うんです。1期の悩みって、私たちから見ると、「昭和を生きてきた彼女の考え方ってそうなんだ!」という悩みだったと思うんですよね。
――純子がアイドルだった昭和では、ソロ活動が当たり前。そして、ファンとの距離も遠いものでした。1期では、純子はファンとの距離の近さやグループでの活動など、アイドルを巡る時代の変化に戸惑います。
河瀬:でも、「リベンジ」3話で純子が抱くのは、たくましくて意思が固いからこその悩み。「わかるー!」と共感できる、リアルな悩みなんです。だから、私までつられて病みそうに…(笑)。この先の展開は、「彼女がどんなステージを迎えるのか、お楽しみに!」としか言えません。彼女がどう悩みに立ち向かっていくか、楽しみにしてもらえたらと思っています。ただ、そんな展開のなかで、彼女の昭和時代の楽曲、「50と4つの忘れ物」が披露できたのはうれしかったですね。彼女のそのときの状況にぴったりですし。
――衣川さん演じるゆうぎりは、幕末から明治の激動の時代に生きてきた伝説の花魁。何事にも動じず、さりげなく皆を支える役どころです。1期から「リベンジ」にかけて、変化した点はありますか?
衣川:1期で自分でも言っていた通り、ゆうぎりさんは、生きていた時代があまりにも違い過ぎるので、あるがままを受け入れています。そのぶん、受け身の態勢だったんですね。ただ、「リベンジ」では、ゾンビであることにも、この現代にも慣れてきたのか、自分から行動することが多くなっています。“発信者”になってきました。成長というと何か違う気もするんですけど、順応して、余裕が出てきたように感じます。まあ、もともと余裕があって、何をやっても大丈夫な方なんですけど…。より一層、落ち着いた大人な面が出てきて、みんなをフォローしています。
河瀬:1期ではビンタしていたけど、「リベンジ」では、3話の段階でビンタしていましたっけ?
衣川:ビンタはしてない。この後はわからないけどね。「リベンジ」では、みんなにお弁当を作っていましたね。みんなのお母さんみたいな。ああ見えて、ゆうぎりさんは10代なんですけどね。
河瀬:そうそう、純子と同い年なんですよ! ああ見えて。
――本渡さん演じるさくらは、周囲に振り回されがちですが、優しい性格。1期から変化を感じたことは?
本渡:さくらちゃんは1期でもとても成長しています。1期の終盤で、彼女が記憶を取り戻し、なくし、取り戻し…という展開があって。1期最終話のアルピノライブの直後、彼女がどんな物語を経たのか――。それはわたしたちには知り得ないことですが、きっとさくらは、みんなといろんな話をして、思い出話をして、お礼を言って、またひとつ、大人になったのかなって思うんです。
――「リベンジ」では、落ち込んで自暴自棄になる幸太郎を諭す姿も印象的でした。
本渡:「リベンジ」1話で、幸太郎さんはあんなふうに「ぼんじりぼんじり~」って言うようになってしまって…。幸太郎さんは、自分の中で「失敗した」思いが強すぎて、さくらのことばに対して強く跳ね返してくることもありました。けど、さくらはそれに対して怖気づき過ぎず、自分の意見をはっきりと言います。目を見て怒れるようになっているんです。それはやっぱりすごくうれしかったです。1期のころは、ラップで他のメンバーへの怒りをぶつけたり、雪山で思いの丈を叫んだりはしていましたけど、目を見てはっきり怒ることは今まではなかったのかなって思います。
河瀬:あれは「己の叫び」って感じだったもんね。怒るというより。
本渡:そうそう。自分以外の誰かの人生に対して、「そうじゃないでしょ」って物を言えるようになったんです。それもあって、きっとアルピノのライブの後で、みんなといろんな話をしたのかなって思っています。そんな展開を想像して、「なんてすごく素敵なチームなんだろう!」って思いました。
――さくらといえば、たえちゃんとの友情(?)も。たえちゃんは、いまだに自我を取り戻していないかのように見える、謎の存在ですが…。
本渡:やっぱり、さくらはたえちゃんのことをすごく見てますよね。たえちゃんが何かいけないことをしようとしていると、さくらが真っ先に反応しているんです。それを見ると、「じゃあ、ここ声を入れようかな」と思うんです。たえちゃんとの絆も、色々あったけど、ちゃんとまた結びついています。親子とは違うけど、特別な関係になっている。そういったところでも、さくらはとっても成長していると思います。
――1期に引き続き、「リベンジ」の楽曲も熱いですね。
本渡:ある程度、キャラクターのことや関係性もわかっていたので、今までのレコーディングに比べて、すごく役に入りやすかったです。どの楽曲も、とても熱いんです。歌いながら、たまに泣きそうになるぐらい! 作品のことやサクラのことを思うと、愛が溢れちゃいそうになります。「早くみんなの声が集まったバージョンが聞きたい!」ってずっと思っていました。
衣川:みんな言ってたよね。「早くできあがった状態の楽曲を聞きたいね」って。
河瀬:だから、みんな後半にレコーディングをしたいって言ってた。それまでに録った、みんなの声が聞けるから。
本渡:キャラのことをわかっている分、“心”としては歌いやすかったのですが…。やっぱり難しかったです。「ゾンビランドサガ」の楽曲を歌わせていただけるのは、いつもめちゃめちゃ楽しくて…。レコーディングの時間が大好きなんです。ディレクターさんともだいぶ仲よくなって、叱咤激励をいただきながら頑張っています。
河瀬:1期オープニングの「徒花ネクロマンシー」もかなり熱いものができたなっていう印象だったのに、「リベンジ」オープニングの「大河よ共に泣いてくれ」は、それを超えてくるレベルの楽曲。「苦しいながらに歌う感じで」と、ディレクションをいただきました。1期でキャラクターのことを知ったからこそ、オープニングの歌詞の深さを咀嚼して、音として出すことができました。それと、1期で、純子の歌を「好きだ」と言ってくれる人がたくさんいることを実感したので…。さらにうなってもらえるような楽曲を届けたいと思って、喉をガン開きで歌っています。
ただ、レコーディングではひとつ、ミスをしてしまいました。体脂肪の対策する…みたいなお茶を持って行ってしまったんです。
衣川:喉の油分がめっちゃなくなるやつ! カサカサになるよね…。
河瀬:何も意識しないでそのお茶を飲みながらレコーディングしたら、声が掠れてきてしまって(笑)。ただ、逆に喉がガッと開いて、本当に必死な感じが音に乗った気がします。二度とできないですけど…。とにかくすごく熱い楽曲になっているので、フルバージョンを聞いてほしいなと。
衣川:CDを買って聞いてほしいよね。「リベンジ」の楽曲を歌いながら思ったのは、「まだまだこんなにジャンルがあったんだ」ということ。1期でけっこういろんなジャンルの歌を歌わせていただいたつもりだったので。ただ、どのジャンルの曲でも、ゆうぎりさんは「ゆうぎりさんなんだ」っていう歌い方をしています。ゆうぎりの歌に関するディレクションは、「音にはむしろあまり合わせず、台詞みたいな感じで」という難しいものなんですけど、「リベンジ」では、それにも慣れてきました。とにかく、「『リベンジ』になって進化はしているけれど、私たちの個性は死んでないぞ!」と言いたくなる仕上がり。“フランシュシュ”は“フランシュシュ”のままです。
――まだまだ前半の「リベンジ」。今後が楽しみです。
本渡:「リベンジ」はまだ3話。ここから先、倍以上の話数があります。誰かが心から頑張っている姿を見ると、自然と「僕も私も頑張ろう」と思える、そう感じてもらえるような、エピソードがこれから続いていきます。見逃さずに見てほしいですし、友達や家族に凹んでいる方がいたら、一緒に見てもらいたいです。単純にパワーがもらえる作品だなと思っているので、よろしくお願いします!
衣川:「リベンジ」は、1期のおもしろさもそのまま残ってはいるけれど、そのままじゃないんですよ。別ジャンルでもあるし…。笑えるけど、泣ける。見ている人によって、全然感じ方が違う作品になっていると思います。そして、“フランシュシュ”だけじゃなくて、“フランシュシュ”の周りのみんな…たとえばファンの“デスおじ”目線から描かれた話もあるので、それもまた面白いんです。1期の放送終了から約2年。「今後どうなるんだろう」と期待値もすごく上がっていると思うんです。でも、各話しっかりと作り込まれていて、期待を裏切りません。ぜひぜひ1話も漏らすことなく見ていただけたらなと思っております!
河瀬:1期に引き続き、本当にみんなが楽しんで作っている作品です。しかも、ただ楽しいだけじゃなくて、みんなで「楽しくするために、どうすればいいんだろう」と悩んで作り上げています。今、こういう世の中で、きっと皆さん悩むことも多いと思うんです。とくにひとりになると、すごく悩んでしまうじゃないですか、暗闇で(笑)。そんななかで、死んでいる彼女たちがこんなに活発に動いて、必死こいて前を向いて、前だけを向いて走っている。「前向きになってください」ってわけではなくて、その姿を見て、何かを受け取ってもらえたらなと。レコーディングで悩んだり、アフレコで悩んだりもしますけれど、その悩みが形になって、こんなに素敵なものができるんだなって、いつもいい影響を受けています。「ものづくり、楽しいな」って幸せな気持ちになるんです。「いい作品だな」って、ひとりでも多くの方に伝わったらうれしいなと思っています!
▶「メンバー全員を尊敬していて、すごく大好き」本渡楓&河瀬茉希&衣川里佳『ゾンビランドサガ リベンジ』インタビュー(前編)
(C)ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会
アニメ「ゾンビランドサガ リベンジ」ABEMA特番 概要
<番組名>
TVアニメ「ゾンビランドサガ リベンジ」4話放送直前―イカの魂無駄にしないで!しないで~!―スペシャル
<出演>
本渡楓(源さくら役)、田野アサミ(二階堂サキ役)、種田梨沙(水野愛役)、河瀬茉希(紺野純子役)、衣川里佳(ゆうぎり役)、田中美海(星川リリィ役)
<日時>
4月29日(木)22:30~23:30
<番組URL>