「介護の認識なかった」高校3年生で母親が寝たきりに…元ヤングケアラーの訴え
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 ヤングケアラーの問題に、世間の関心が高まっている。ヤングケアラーとは、学校に通いながら、両親や祖父母の介護やきょうだいの世話をしている18歳未満の子供のことだ。今月、厚労省と文科省のプロジェクトチームが発表した実態調査では、中学生では5.7%、高校生で4.1%がヤングケアラーだと分かった。

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 「20人に1人くらいヤングケアラーがいる。調査結果を踏まえ、今後の支援策を整理していきたい」と述べた田村厚労大臣。プロジェクトチームは26日に、当事者や支援者からのヒアリングを実施した。

 ヤングケアラーが何を背負い、何を必要としているのか。プロジェクトチームのヒアリングに参加した宮崎成悟さんも過去ヤングケアラーだった当事者の一人だ。

■高校3年生から始まった本格的な介護 順調な道を歩く友達との違いに落ち込むことも

「介護の認識なかった」高校3年生で母親が寝たきりに…元ヤングケアラーの訴え

「母は神経系の難病を患っていて、ずっと『めまいがひどい』と言っていた。僕が中学3年生くらいのとき、母の運転する車に乗っていたら、運転がおかしいなと。僕が初めてそこで母の異変に気付いた。高校3年生の後半、卒業する間近に母が意識不明になって、寝たきりになった。そこから本格的な介護が始まった」(以下、宮崎成悟さん ※「崎」は正式には「立つ崎」の字)

 家族で力を合わせて母親のサポートを続けたが、父親は仕事を辞められず、徐々に宮崎さんが中心を担っていくように。その結果、大学進学を1度諦め、就職活動などにも影響が出た。順調な道を歩む周りの友達との違いに落ち込む時期もあったという。

「友達に打ち明けることはなかったですね。高校時代は母の介護をしている認識はありませんでした。ただ母が困っているから、それをサポートしているという認識だけ。『介護しているからつらい』『介護に専念しなきゃいけない』という認識はなかった。周りに相談したところでしょうがないと思っていましたし、相談しても『わかってもらえないだろう』という思いもありました。いろいろな理由があって、周りには言わなかった」

 当事者からのアラートが出にくく、異変を察知しにくいヤングケアラーの問題。宮崎さんによると、現状、ヤングケアラーの子供たちが相談できる窓口もほとんどないという。

「ちゃんと制度を利用すれば、子どもが学校に行けない状況にはならないと思う。そこで学校が異変に気付いて、しかるべき福祉とつなぐことが大事。僕の考えとして『ヤングケアラーは大変、かわいそう』といった印象は、あんまり広まってほしくない。個性の1つであって、自分がヤングケアラーと言われてしまうことに、後ろめたさを感じてほしくない。『そういう人たちも当たり前にいるんだ』という状況の理解が深まっていけばいい」

「介護の認識なかった」高校3年生で母親が寝たきりに…元ヤングケアラーの訴え

 当事者を支えるために、どのような制度作りが必要なのだろうか。

「まずは、教育現場に対する啓蒙活動が必要かなと思っている。先生とそこにいるスクールソーシャルワーカーに加え、生徒のみなさんにもヤングケアラーの存在や支援の方法、接し方をちゃんと知っていただいて、学校が発見したりとか、適切な支援につなげたり、そういったことができる体制を作れるようにしていただきたい」

 その上で、宮崎さんは「ケアマネジャーさんや介護職の方々が『この家はヤングケアラーがいるな』と気づいても現状、何もできない。子供が介護していると認識した時点で、介護職などの大人が子供を支えられるような仕組みも今後必要だ。介護保険なども絡んでくるので、国が着手すべきことだ」と思いを語った。

■「家族で助け合うことが当たり前」古い家族観に閉じ込められた“ヤングケアラー”の問題


 BuzzFeed Japan News副編集長の神庭亮介氏は「少ない人数ではない」と指摘する。

「調査結果を見ると、ヤングケアラーが1クラスにおよそ2人いることになる。これは決して少ない人数ではない。受験勉強もままならない、進学をあきらめなければいけないような状況では、子どもが自分の人生を生きられない。非常に大変な問題だ」(以下、神庭亮介氏)

 さらに神庭氏はヤングケアラーの問題を改善するために、古い家族観からの脱却が求められるという。

「介護の認識なかった」高校3年生で母親が寝たきりに…元ヤングケアラーの訴え

「日本には『家族は家族同士で助け合うことが当たり前』という伝統的な家族観がある。美しい心掛けではあるが、ヤングケアラーはそうした価値観の中に閉じ込められてきた。外部の誰かに相談し、助けを求めることは恥ずかしいことではない。ヤングケアラーにとって、社会や福祉が頼れる存在にならなければいけない」

 自分がヤングケアラーだと知らず、家族のために頑張っている子どもたち。支援を必要とする状況に気づいていない子どもを救うために、神庭氏は「スピード感が必要だ」と述べる。

「貧困や介護、障害者福祉、虐待など様々な問題が絡み合って、一番立場の弱い子どもにしわ寄せがいっている。 “ヤングケアラー”という言葉が知られ、課題として認識されるようになったのは一歩前進。埼玉県はヤングケアラーを支援する条例を制定しているが、自治体任せにせず、国をあげて取り組むべき問題だ。今、高校3年生の子どもたちは、1年後には社会に出てしまう。受験を控えている子もいる。スクールソーシャルワーカーを重点配置するなど、スピード感をもって支援にあたってほしい」

 今後、プロジェクトチームはヒアリング結果を踏まえ、支援策の方向を打ち出すとしている。

(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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