所属の国会議員に“ノルマ”を課すなど、自民党が獲得に力を注ぐ「党員」。その数はこの1年間で約5万人増え、113万人を突破しているという。先月の党大会では“年間党員獲得ランキング”も発表され、党の重鎮・二階俊博幹事長が見事1位に輝いた。
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そもそも「党員」とは何なのだろうか。「党員」になると、どのようなメリットがあるのだろうか。29日の『ABEMA Prime』では、党員になった若者たちに話を聞いてみた。
■「議員と繋がればメリットもある」
広田悠大さん(26)は自民党の党員歴6年。議員をしている知人に話を聞くうちに政治の世界に興味を持ち、その知人を応援する意味も込めて党員になったのだという。
自民党の場合、18歳以上で日本国籍を持ち、党の政策などに賛成していれば誰でもOK。あとは年会費(4000円)を党に納めるだけ。ただ、会員になったからといって、「特にやることはない」という。「ニュースを見た時に、“誰々さんだ”みたいな感じで、親近感が湧くくらい(笑)」。
それでも党員で居続けるのには理由がある。不登校児のためのフリースクールの代表を務める広田さんにとって、政治との接点が増えることは大きな魅力のようだ。
「名前だけ貸していても意味はないと思うし、そういう人を無理矢理集めたところでファンではないので、心も離れていってしまうと思う。僕の場合は、自分の意見を政治に反映させてもらうため。個人の力だけではどうしようもないことがあるし、いち有権者では通りづらいことも多いが、党員なら組織の一員として発信することができる。議員と繋がれれば、課題を伝えて改善してもらったり、人を紹介してもらったり、あるいは行政の窓口に一緒に行こうよ、ということもあったりする。総裁選で一票を投じられるのも大きなメリットだ。政治家ではなくプレイヤーとして現場に居続けるためにも、党員という手段を選んでいる」。
議員や有権者の高齢化が指摘される昨今、20代の広田さんにとって、党内はどのように見えているのだろうか。
「投票に行く人たちのボリュームゾーンが高齢化することによって、若者向けの政策にスポットライトが当たらないなと感じることも多いと思う。若い間は自分たちの生活に忙しくて、なかなか政治に関する情報を集めることもできない。ただ、僕が自民党員になって感じたのは、党の中にもかなりの多様性があるし、自分と共通する意見、関心のある方が必ずいるということが魅力だ。総裁選の時の党員票のプライオリティをもっと上げてもらえると、より有り難い」。
■変わる党、変わらない党
自動車関係の会社に勤める當眞篤祐さん(47)は、社民党の党員だ。今や国会の議席数が2という社民党だが、當眞さんが党員になった27年前、日本社会党(当時)は政権与党。さらに遡れば、野党第一党だった時代もある。「“自民党永久政権”とも言われる政治とは違う、市民主体の政治を実現したいという思いがあった。最近は人が減ってきたので、ニュースの編集をやったり、集会の準備を手伝ったりすることもある。それもボランティアというか、党費を払っているから、むしろお金を払ってやっている(笑)」。
それでも党員を続けるのはなぜなのか。「昔は党の方針が全て上の方の密室で決まっていた。いつか変わるかも、というささやかな希望を持っていたが、それがようやく実現するようになった。これからは“俺こそが社会民主党だ、くらいの勢いで入ってきて”って、自信を持って言える」。
一方、18歳の時に友人に誘われて日本共産党の党員になり、以来15年にわたって熱心に活動してきたというリイナさん(33)は、最近になって辞める決心をしたと話す。「共産党自体はすごく良い政党だと思うし、議員も信用できる方ばっかり。支持はするし、好きは好き。ただ、これからの時代と、実際に日本共産党がやってることはちょっと違うなと思うところが結構あって」。
毎週行われる支部の会議はリモートではなく、対面が基本。メールで済むところ、紙に印刷して配ったり、わざわざDVDにしたり。財政が厳しい割に、無駄も多いと感じていたという。「これから政権を取りたいと思ってるんだったら、なおさら新しい時代の人たちが何をしているのかってちゃんと分かっておかないと、私らみたいな人からは受け入れられないと思った」。
■「入ってみたら、のめり込んだ」
野党第一党、立憲民主党は、次の衆院選までに党員を10万人増やすことを目標に掲げている。その一人、民主党時代から数えて党歴5年の近藤弥子さんの父は、同党所属の近藤和也衆議院議員。党員になったのは、“ノルマの人数合わせ”だったと明かす。
「父が最初に出馬した時はお金もなく、他の政治家との繋がりもなかったので、家族全員で一軒一軒回って数百人の党員を集めていた。決まり事なので何とかやっているが、お金を払ってもらって、というお願いは本当にハードルが高い。私自身、党員なんて意味がないと思っていたし、興味もなかった。ただ、入ってみるとボランティア活動にも行ってみたいなと思うくらい、のめり込んだ」。
党員、そして野党議員の家族という立場から、今の立憲民主党はどのように見えるのだろうか。「立憲民主党、野党は”反対ばかり”とか、“批判ばかり”と言われているが、国会を見に行ってみると、実は反対しているのは法案のうちの1、2割くらい。いいところにはいいと言っているのに、ちょっと損してるなと思う」。
将来について、「政治家にはなりたくない。常に頭を下げないといけないし、まだその力もない」と話す近藤さん。一方で、「やっぱり政治はおじいちゃんたちがするものなのかなと思ってしまう」と話し、SNSなどを通して若者へ語りかけることの重要性を訴える。自身もYouTubeチャンネル「政治家娘YouTuberみこちゃんねる」を通じて、政治に興味のない若い人たちに向けて情報を発信している。
「父親が選挙に出るようになったのは私が小学生の頃。ただ友達や先生は触れづらいのか、あまり話題に出してこない、それどころか、ちょっと遠ざかるような空気を感じていた。でも、父親はサラリーマンもしていたし、政治を仕事にしただけでちょっと疎まれてしまうということに違和感があった。YouTubeなら、“普通の人だよ”ということを上手く伝えられるかもしれないと思った。ただ、自分が今楽しいと思ったことをやっているだけ。自分で取材のお願いとか行くときのドキドキ感が楽しい」と笑顔で話した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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