アニメの大ヒットでよく聞くようになった「呼吸」だが、やはり将棋界にもありそうだ。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Bリーグの第1試合、チーム糸谷とチーム菅井の対戦が5月1日に放送された。チーム菅井のリーダー・菅井竜也八段(29)は振り飛車党のエースとして君臨。今大会で採用されているフィッシャールールとの相性もよく、活躍が期待されていた。その持ち味を十二分に発揮した指し様に、解説棋士が思わず「振り飛車党の呼吸」とこぼしたところで、ファンの間で突如として「呼吸祭り」が始まった。
菅井八段はこの第1試合で3局戦い、2勝1敗。チームメイトの郷田真隆九段(50)、深浦康市九段(49)がいずれも2連敗に終わり、1人気を吐いた格好になっていた。ただ、菅井八段の2勝は巧みさと力強さを兼ね備えた、まさに地力での勝利。特に山崎隆之八段(40)と戦った第3局は、らしさ満点となった。
後手番から得意の中飛車・穴熊で迎え撃つと、変幻自在の山崎八段にも惑うことなく、着実にポイントを稼いでいった。そして終盤。相手の攻め筋をずらすためにあえて駒を取らせようとする△5ニ金という妙手が生まれた時に、おもわず解説の石井健太郎六段(29)が口にしたのが「振り飛車党の呼吸」だった。
石井六段 これはかっこいい手。振り飛車の指し回し。振り飛車党の呼吸が見られていますね。
対局を見守っていた郷田九段も「いやー強い!」、深浦九段も「強い!感心する!」と、手放しで褒めたこの一局。人気アニメ「鬼滅の刃」で、主人公・竈門炭治郎ら鬼殺隊が使う「呼吸」や「型」に当てはめれば、菅井八段は振り飛車の呼吸・壱ノ型「中飛車・穴熊」で、山崎八段をばっさりと斬り捨てたとでも言えるだろうか。ファンからも「プロっぽい手」「さすがにプロの手」「振り飛車の呼吸 一の型」「振り飛車格好いい」と同様のコメントが大量に投稿されていった。四間飛車、三間飛車、さらには囲いも美濃囲いをはじめ、いくつも組み合わせのパターンはあるだけに、弐ノ型、参ノ型も生まれていくことだろう。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)
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