「加害者性は誰もが持ちうるもの」 “性的同意ハンドブック”を作成した慶大生の思い サリー楓氏「モラルからアプローチできる素晴らしい形」
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「自分の体型や服装の話をされて嫌な気持ちになった」

「自分は付き合っているから性行為していいと思っていたが、相手は乗り気ではなかった」

 こんな経験をしたこと、されたことはあるだろうか。全ての性的な言動において確認されるべき同意、いわゆる「性的同意」。そんな性的同意を知ってもらうため、大学生の団体がハンドブックを制作した。

【映像】“性的同意ハンドブック”を作成した慶大生の思い

 慶應大学の学生団体「Safe Campus」と、一般社団法人「Voice UP Japan」の慶應支部によって共同で制作された『SEXUAL CONSENT HANDBOOK』。今年の3月から、インターネット上での公開が始まった。性的同意に関する学内での調査結果や、被害にあった時の相談先などが12ページにわたって記載され、誰もが自由にダウンロードできるようになっている。

「加害者性は誰もが持ちうるもの」 “性的同意ハンドブック”を作成した慶大生の思い サリー楓氏「モラルからアプローチできる素晴らしい形」

「誰もが被害者/加害者になってしまう可能性があるからこそ、お互いの『したい』という積極的な意思を確認し合い、常に性的同意をとることが必要です。望まない性的経験によって傷ついたり、誰かを傷つけることなく、快適な大学生活を送るためにも、性的同意について考え、理解することが大切です」(SEXUAL CONSENT HANDBOOKより一部抜粋)

 交友関係が大きく変化する大学生に向けて作られたハンドブック。『ABEMAヒルズ』では、作成を行ったSafe Campusのメンバー・佐久川姫奈さんを取材。作成のきっかけとなったのは、学内で行った性暴力の実態についてのアンケートだったという。

「加害者性は誰もが持ちうるもの」 “性的同意ハンドブック”を作成した慶大生の思い サリー楓氏「モラルからアプローチできる素晴らしい形」

 「学内の性暴力の実態とともに、学生の方々がきちんと性暴力自体を認識できていないといった問題も同時に露見してきたんです。その認識というものをまず学生の人たちから変えていきたいという思いがあります。ただ単にガイダンスで先生たちに『講義してくださいよ』と求めるだけじゃなくて、ハンドブックを作って『これを読んでください』という働きかけを行いたいということから、今回Voice Up Japanさんの方から『企画に協力していただけませんか?』というお願いをいただいた上で、共同で行っています」(佐久川さん)

 学生たちの認識を変えたいという思い、そしてその学生たちに最も広く伝えられる手段は何かを考えて制作されたこのハンドブック。佐久川さんは団体での活動を続ける中で「誰でも性暴力の加害者になる可能性がある」と話す。

 「加害者性は誰もが持ちうるものだと思っていて、こういう活動をしている私だって持っているものでもあります。すべての人が持っていると自覚した上で、じゃあそれをどのように出さずに行動できるか、相手にどのような配慮をして発言や行動できるかというのを、すべての人が常々考えて行動しないといけないのではないかと思います」(同)

「加害者性は誰もが持ちうるもの」 “性的同意ハンドブック”を作成した慶大生の思い サリー楓氏「モラルからアプローチできる素晴らしい形」

 学生生活で身近に潜んでいるという性的同意。今後も学生たちに向け、「このハンドブックを読んだ上で自分がどう行動したいかを考えてほしい」と訴える。

 「性暴力の被害者の多くは相談機関にアクセスできていない、つまり相談していない現状にあるんです。その中では、自分が受けた性暴力をそこまで重要なことだと思っていなかったり、性暴力として認識できていない。後々のトラウマにならないような工夫であったり、相談機関にアクセスをして被害にあった時点での認識が重要なんじゃないかなと思います。性暴力というのは割と身近にあることで、それに対して何もアクションを取れないと思われがちなんですけど、自分で踏み出せる一歩がたくさんある。そういったものを私たちのハンドブックの中でたくさん紹介しているので、ぜひ読んでいろんなコメントをいただければと思っています」(同)

 こうした取り組みについて、建築家でモデルのサリー楓氏は「このようなハンドブックができたのは素晴らしいことで、学生の方々もこれを見ながら自分たちの行動を振り返ることができる。そもそも、ハンドブックを学生が作って配布するのではなく、大学や教育機関、行政などがあらかじめ作って配布しておくべきものだったのではないか。学校が作る前に学生が作る、というのは恥ずかしいことかもしれない」とコメント。

「加害者性は誰もが持ちうるもの」 “性的同意ハンドブック”を作成した慶大生の思い サリー楓氏「モラルからアプローチできる素晴らしい形」

 度々取り沙汰される日本の性教育の遅れについては、「子どもの時に性教育というものが保健の授業できちんとなされていないことが露呈している。性教育がされていない子どもたちが大人になったり教える側の立場になった時に正しい知識を教えられないから、性的合意に対する理解度がある程度のレベルに達していないということがこの件でわかったのでは」と指摘する。

 セクハラ・パワハラなどが問題視されてきた昨今、このハンドブックは性的同意という部分に踏み込んだ内容でもある。その点については、「セクシュアルハラスメントという大きい括りで見ると、性的同意の必要性が抽象化されてしまうと、性行為の具体的な判断基準などがオブラートに包まれてしまいかねない。そのため、一歩踏み込んだ素晴らしい試みだと思う。企業のセクハラ防止ガイドラインのような取り組みだと、学生は『怒られるからやめておこう』『罰則があるからやめておこう』という制約ありきの判断基準になってしまう。そうすると、性的同意に対して考え方が受け身になってしまう。今回はガイドブックという形でモラルの側面からアプローチしているため、学生は自分の中に判断基準を作ることができるのではないか」と述べた。

(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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