「そよ風でも激痛」線維筋痛症の苦しみ 患者兼医師のみおしん先生が伝えたいこと
番組をみる »

「やっぱりしんどい時はこうやって寝てます。寝てても異常に重たくて押し付けられているようなしんどさの中でいつも生きています」

 体の重さなどのつらさを訴える女性。原因不明の病「線維筋痛症」を患っている、みおしんさんだ。普段、車いすが必要な生活をしているみおしんさん、実はフリーランスの麻酔科医として産婦人科クリニックで働いている。しかし、現在も体調が悪くなると横にならざるを得ないという。

【映像】日本でも約60人に1人が「線維筋痛症」

「人によって痛みはバラバラですが、みなさん『激痛』と表現されます。ちょっとした刺激でも痛く感じてしまうので、例えばそよ風がちょっと吹いただけでも刺すような痛みを感じる人もいます。私の場合は、20年前から症状がずっとある。感覚が逆に鈍化してしまって、鉛の鎧を全身に着込んでいる感覚。ずっと身体が重たいです」(以下、みおしんさん)

 みおしんさんの倦怠感や疲れやすさといった症状は「なまけているだけ」と受け取られることもあり「周りには気づいてもらえない、理解されない難しさがある」という。症状は20年前から感じていたが、みおしんさんが“病気”と診断されたのは3年前だった。なぜ、診断まで時間がかかってしまったのだろうか。

「そよ風でも激痛」線維筋痛症の苦しみ 患者兼医師のみおしん先生が伝えたいこと

「症状が人それぞれで分からない部分があるのと『気合を入れれば生きていける』と思われてしまう。めちゃめちゃつらいけれど頑張れてしまうし、頑張ることで症状が悪化して良くないサイクルになってしまう」

 厚生労働省によると、線維筋痛症の国内の推定患者数は約200万人。約60人に1人いる計算だ。海外では2017年に歌手のレディー・ガガさんも患者であると公表した。

 みおしんさんは、自分と同じような症状で苦しむ人たちや、まだ病気について知らない人たちに向けてYouTubeで情報を発信。昨年、1000人に満たなかった登録者数は、現在約3800人まで伸びている。

「啓発デーをきっかけに発信すること自体が、一人一人の所に届くチャンスなんだなと思います」

 みおしんさんのYouTubeチャンネルでは、線維筋痛症だけでなく、そのほかの病気や新型コロナウイルスに関する解説も公開している。他の医師との意見交換などを通じて、みおしんさんはあることに気づいたという。

「そよ風でも激痛」線維筋痛症の苦しみ 患者兼医師のみおしん先生が伝えたいこと

「線維筋痛症の重症者の中に『慢性疲労症候群』という、全身に倦怠感があらわれる人がいる。新型コロナの後遺症で、ずっとだるくて社会復帰ができずに悩んでいる人々と非常にリンクする。全く同じ病態であるかは確定できませんが、症状としてほぼ一緒。中には後遺症で寝たきりに近いほどひどくなってる患者さんたちがいて、親近感というか仲間だと思っています」

 医師でありながら、つらい病を抱える患者でもあるみおしんさん。改めて、線維筋痛症という病気について伝えたいことを聞いた。

「患者さんは『なまけもの』と言われたトラウマがあって、この症状を必死に隠してしまう傾向があります。でも、隠しきれてないときにやさしい一言をかけてくださると助かります。患者さんが無理をしなくてすむようになりますので、温かい心で接してほしいです」

■ ちょっとした一言が救いになることも 線維筋痛症患者への接し方

「そよ風でも激痛」線維筋痛症の苦しみ 患者兼医師のみおしん先生が伝えたいこと

 脳の炎症が原因とされる線維筋痛症は、一般的な検査をしても身体に異常は見られない。しかし、全身の強い痛み、頭痛、めまい、耳鳴り、うつ症状、焦燥感など、さまざまな症状が身体に生じる。

 同じく脳の炎症が原因の「筋痛性脳脊髄炎」は感染症などをきっかけに原因不明の激しい倦怠感に襲われ、疲労や微熱、筋肉痛などの症状が長く続く。また、診断された人の約3割がほぼ寝たきりの状態に陥るという。

 明星大学心理学部准教授で臨床心理士の藤井靖氏は、線維筋痛症について「患者の苦労が大きい病気だ」と話す。

「そよ風でも激痛」線維筋痛症の苦しみ 患者兼医師のみおしん先生が伝えたいこと

「線維筋痛症は機能性疾患で、異常が身体に見られない脳の機能障害。例えば、身体のある部位が痛くて炎症が起きているという話ではない。脳が痛みを抑える信号を発信しすぎていたり、逆に痛みを抑える脳の機能が上手く働いていなかったりする。専門医に出会わないと線維筋痛症であると診断されないこともあり、その場合は治療や快復の見通しが自分の中でつきにくいという意味でも、患者の苦労が大きい病気だ」(以下、藤井靖氏)

 線維筋痛症の患者がもし周りにいたら、どのように接してあげるべきなのだろうか。

「患者さんが自分の症状を説明したとき、周りの無理解で『気持ちの問題じゃないの?』『身体が疲れているだけじゃないの?』と言われると、それがストレスになる。心理的ストレスが加わると、より症状が悪化してしまうことは分かっていること。もちろん人によってかけるべき言葉は工夫すべきだが、『無理しないでね』『大変そうだね』といった、ちょっとした一言がかけられることにより、その場が安心した居場所になって症状が穏やかになることもある。『自分は存在としてちゃんと周囲から受け入れられている』と感じてもらうことが大事」

「よく当事者の周囲の方から、このような疾患の方の不調が続いて仕事に支障をきたすと、同僚や上司など周りの人がカバーしないといけなくなり、負担が大きくなるという不満を耳にすることが多い。だが、全部なんでもできる人はいないし、苦手な部分は誰にでもある。それが病気によるものか、そうじゃないかの違いだけ。できないことをネガティブに責めるのは旧来的な価値観であって見直されるべきだし、重要なのは個々の調子や能力を踏まえた労務や組織のマネジメントではないか」

 まだまだ分からないことが多い線維筋痛症。相手の病気にどのような症状があるか、知って歩み寄るだけでも、心の支えになりそうだ。

(ABEMA『ABEMAヒルズ』より)

【映像】 「線維筋痛症」の女医・みおしん先生が伝えたいこと
【映像】 「線維筋痛症」の女医・みおしん先生が伝えたいこと