プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Bリーグの第3試合、チーム康光とチーム菅井の対戦が5月15日に放送され、チーム菅井がスコア5-1の快勝で予選通過を決めた。第1試合でチーム糸谷にスコア2-5で敗れ、崖っぷちに立たされていた中、リーダー菅井竜也八段（29）が無傷の3連勝と大活躍。郷田真隆九段（50）も2勝を挙げるなど、深浦康市九段（49）を含めた3人のチームワークもばっちりで、逆転で本戦トーナメント出場をもぎ取った。
振り飛車の刀を振りかざしたリーダーが、逆転での本戦進出への道を切り拓いた。ドラフト会議で自ら郷田九段、深浦九段と先輩棋士を指名した菅井八段。チームは仮にチーム康光に勝ち越したとしても、9本勝負で3本落とせば得失点差で予選敗退という窮地に、自ら先陣を切った。第1局は、超早指しのルールに高い適性を見せる森内俊之九段（50）戦。序盤は完全に作戦負けし、本人も「将棋としてはもう完敗寸前」と言うまで追い込まれたが、必死に勝機を探り続けると終盤で形勢逆転。解説していた黒沢怜生六段（29）も「すごい執念だった」と振り返るほどの奮闘ぶりで、チームに勝利を持ち帰った。菅井八段は、これで勢いに乗り、第2局と第5局で相手のリーダー佐藤康光九段（51）に勝利。レジェンド棋士を相手に3連勝と、最高の結果を出した。
この勢いに乗じたのが、チーム名「一刀流」の由来にもなっている郷田九段だ。本格派の居飛車党は、第1試合で2戦2敗と調子が出なかったが、徐々に持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算というルールに対応したのか、第3局では永世名人・谷川浩司九段（59）相手に、今大会初勝利。第6局でも同じく谷川九段を下しチームの勝利と予選通過を決めると「（チーム糸谷との）第1試合は焦っていた。力を出し切れるように指しました」と、自身も手応えを感じている様子だった。また深浦九段は1局指して1敗と盤上では結果が出なかったが、作戦会議室でもいいムードづくりに務め、逆転劇への機運を高めていた。
第1試合終了時には、予選通過にかなり厳しい状況が残っていたところ、まさに「若頭」菅井八段の獅子奮迅の働きによって、次のステージに進んだチーム菅井。ドラフト時には、どんな雰囲気になるのか想像しにくいチームの一つだったが、激戦を繰り返したことで確実に結束は強まった。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
