博報堂生活総合研究所による2020年の調査で「おじさんは43.24歳(※平均)から」という結果が出た。
駅や街中で意図的に体当たりしてくる“ぶつかりおじさん”など、ネットでは一部の“おじさん”から受けた迷惑行為の報告が相次いで寄せられている。
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取材に応えてくれた一般職のきゃんさん(仮名・23歳)は、職場の“おじさん”(=上司)についてこう話す。
「他人の境界線をあまり考えずに踏み入ってくるところが嫌い。お仕事以上というか、恋愛やプライベートをズケズケ聞いてくる。距離を詰めようとしているのか、自分のこと知ってほしいのかわからないが、自分語りをしてくる。嫌だし、うざいなと思う」
プライベートな話はしたくないし、聞きたくもない。「仕事上の付き合いで十分」が若者の本音のようだ。
一方、取材に応えてくれた会社員の宇野さん(仮名/男性・50歳)は「普通に会話するのも、同じことをしてもおじさんだと『セクハラだ、パワハラだ』と言われる。考えて行動しないといけないから生きづらいし、そうしないと自分の身を守れない。世知辛いと思う」と語る。
若者と“おじさん”の間にある厚い壁。ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「おじさんだったら『うざい』と言っていいと考えるのは、差別だと思う」とコメント。
「嫌な人や話が長い人は、男性だけではなく女性にもいるし、高齢者にもいる。おじさんだったら『うざい』と言っていいわけではないし、ある種の差別だ。僕はカジュアルなネタでも、性別や人種で『この人はうざい』といったレッテルを貼る発言は良くないと思っている」
“おじさん”嫌いを自称するぴろさん(仮名・27歳)は、自動車メーカーに勤務する会社員だ。ぴろさんはどのような“おじさん”が嫌いなのだろうか。
「僕は趣味でウイスキーのブログを書いているが、ブログで飲んだウイスキーを紹介したらTwitterで『そんなウイスキーはダメだよ。やっぱりウイスキーは5000円以上出さないとね』と、たかが持っているウイスキーごときでマウントを取る“おじさん”がいる」
ぴろさんの職場は「男性が9割」だという。職場で遭遇した“おじさん”について、ぴろさんはこう語る。
「僕の体験だが、職場で50代くらいのおじさんが議事録の文字起こしをしていた。そのおじさんは、一昔前のラジカセのようなICレコーダーを耳に当てて、15秒ぐらい聞いたら一時停止してパソコンにタイピング、そしてまた15秒ぐらい聞いたたら一時停止してパソコンにタイピング。これをおそらく3000回くらい繰り返して議事録を作っていた。その姿を見たときはちょっとおぞましさを感じた。後日、僕が文字起こしをする機会があったので、Googleの音声入力を活用して文字起こしをしていた。すると、ラジカセのおじさん上司に烈火のごとく怒られた」
近畿大学教授で来月に新著『捨てられる男たち』を上梓する奥田祥子氏は「まず先に弁解すると、私はれっきとしたおばさんだ」と断言。
「男性の生きづらさを20年間ずっと追ってきたが、男性を一括りにして攻撃しているのが非常に問題。“おじさん”がジェンダー不平等の悪の根源のような形にされていて、男性自体がジェンダー問題の被害者になっている。ジェンダーの非対称”と言って、『女性に言ったら問題だけどおじさんには“うざい”と言っていい』のような空気感がそれに当たる。男性にも『あの人は男らしい』と、男らしさだけが求められているプレッシャーがある。そこは意識していかないといけない」
「男性には言っていい」という空気感。“おじさん”がジェンダー問題の被害者になっている可能性もあるのだ。
また、ぴろさんが遭遇した“ラジカセおじさん(上司)”について、奥田氏は「日本独特の恥の文化があって、若い人に聞けない中年以上の男性がいる」と指摘する。
「分からないことを聞くことは、“悪いおじさん”の中で若い人の下に落ちることを意味する。恥ずかしいから、分からなくても聞かない。ぴろさんが『君、どうやってGoogleの音声入力を使っているの?』と一言聞ける“おじさん”にしていってほしい」
ひろゆき氏は「昔からのやり方にこだわって新しいことをやらないのは、女性の上司でも発生する問題で、性別と関係ない話だ」と見解を示す。これに奥田氏も「日本では女性上司が増えていて、女性上司から女性部下へのパワハラも実際にある。ひろゆきさんが言うように、女性上司でも同じ問題が出てくると思う」と同意した。
問題をひと括りにせず、若者と年配にとってどのような環境がベストなのか、考えていく必要がありそうだ。
(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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