これだけ見れば、競馬観戦の熱狂ぶりだ。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Bリーグの第3試合、チーム康光とチーム菅井の対戦が5月15日に放送された。この第1局で森内俊之九段(50)と菅井竜也八段(29)が、白熱の一局を生み出したが、これを見ていた菅井八段のチームメイト、郷田真隆九段(50)、深浦康市九段(49)が「来たか!?」「お、お、お!」と絶叫するシーンが誕生した。
思わず声が出てしまったのは、見事なまでの大逆転の瞬間を目の当たりにしたからだ。リーダー菅井八段は、豪腕・森内九段の指し回しに序盤・中盤と押される展開に。完全に作戦負けし、このままであれば完敗もやむなしという一局になるところだった。それでも必死の粘りで抵抗し続けると、ついに一筋の光が。△5五金打を境に形勢をひっくり返すと、郷田九段と深浦九段は声を揃えて「お、お、お!」とモニターに釘付けに。さらに深浦九段が「来たか!?来た、来た!」、郷田九段も「来たぞー!これは来たか!」と絶叫。競馬の追い込み馬が最後方から強襲してきた様子を見るように、興奮を抑えきれなかった。
アラフィフのベテラン棋士がついつい声を張る様子は、視聴者にとっても斬新だったようで、ABEMAのコメント欄には「ベテラン棋士が会議室で楽しそうだと嬉しくなります」「郷田さん嬉しそう!」「フカーラ歓喜♪」「興奮しすぎてアクリル板にごっつん」といった声が多く集まっていた。 なお対局は、菅井八段の勝利に。チーム菅井も1位での予選通過を決めた。これからも郷田九段と深浦九段が大きな声を張り上げるような記憶に残る一局が生まれるだろうか。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)