各地で相次ぐ、自治体の長によるいわゆる“抜け駆け接種”問題。「貴重なワクチンを無駄にしない方が優先」という声の一方で、ずるさを指摘する声も相次いでいる。
【映像】ワクチン“先行接種”の問題は
 WHOで新型インフルエンザのパンデミック対応策の策定に携わり、医療資源の分配に関する倫理学を研究するカナダ・マギル大学の広瀬巌教授は、この問題について大切なのが共感と理解だという。
 「(ワクチンが)余った状態、キャンセルした人や接種会場に来られなくなった人というのはどうしても出てくると思う。その際に、この貴重な資源(ワクチン)を無駄にすることはばかげている、誰かに接種するべきだというのは、誰でも賛成すると思う。問題は『誰が穴埋めをするか』ということ。理解を得られるのは、やはりウイルスにエクスポーズ(さらされている)されている人を最初に優先するべき。接種会場で事務をやっている方、交通整理をやっている方たちというのは、たぶん医療従事者にも65歳以上にも入らないかもしれない。ただ、そういう人たちに余ったワクチンを接種するというのは、共感と理解を受けられると思うので、そういう風に使うべきだと思う」(広瀬教授)