BACKSTAGE TALK #26 MASS-HOLE

ABEMAMIX出演の合間に、HIPHOPライター 渡辺志保氏がアーティストにインタビューを実施!
ココでしか聞けないBACKSTAGE TALKをお届けします!

「”自分が一番になりてえ”っていう気持ちもあるので、そういうものが自分を突き動かしている」と語るMASS-HOLEの美学と、地元・松本のシーンとは。

ーMASS-HOLEさんとこうして対面でお話しするのは今日が初めてなんですが、”WINTOWN”こと長野県松本市が地元ですよね。長野県内でも、長野市や上田市、そして松本市といったエリアごとに、異なるシーンが存在しているのでしょうか?

MASS-HOLE:シーンは違いますね。ただ、僕のバックD JでもあるDJ SIN-NO-SKEは拠点が長野市なので、割とパーティーも行き来したり、違うエリアのメンツと積極的にみんなやってます。エリアごとに仲が悪いとかは全然なくて、メインストリートっぽいヒップホップもあれば、フッド・ミュージックぽいもの、そしてアンダーグラウンドなものがあるという感じです。

ー若いアーティストもどんどん出て来ている感じですか?

MASS-HOLE:はい。直接「ビート聴いてください」と来てくれる子もいるし、Youtubeのリンクをいきなり送りつけてくる子も(笑)。

【映像】MASS-HOLE ABEMAMIX ライブパフォーマンス

「”自分が一番になりてえ”っていう気持ちもあるので、そういうものが自分を突き動かしている」と語るMASS-HOLEの美学と、地元・松本のシーンとは。

ーMASS-HOLEさんくらいの年齢になると、すでに地元のレジェンド感が出ているんじゃないですか?

MASS-HOLE:長野のレジェンドといえはYOUTHEROCK★さんがいますから。でも、年齢は松本の中ではやっぱり上の方になって来ているので、これからは若い奴をフックアップしていけたらなって思いますよね。ウータン・クランの言ってた“メインストリームを巻き込む巨大なアンダーグラウンド”っていう意識をもって頑張っています。ゴーストフェイス・キラーとか、今聴いてもかっこいいじゃないですか。ああいうおっさんになれたら、渋いですよね。

「”自分が一番になりてえ”っていう気持ちもあるので、そういうものが自分を突き動かしている」と語るMASS-HOLEの美学と、地元・松本のシーンとは。

ー最新アルバム『ze belle』に収録されている「gro "win" up in the town (feat. Eftra)」ではまさに地元のことを歌っていますが、松本市の今のシーンはどんな感じですか?

MASS-HOLE:年々、面白くなってきていると思います。あと、BPMがどんどん遅くなってるんですよね。今までBPM90だったのが、70とか80に下がっていってる。

ーそれは、トラップ的な遅さじゃなく、ブーンバップ的なビートの遅さってことですか?

MASS-HOLE:そうです。それこそ、NYのGriselda Recordsのようなサンプリング・ビートの遅い感じを、みんなが熱くなって聴いてくれるようになりましたね。みんなサンプリングがやっぱり好きですね。

「”自分が一番になりてえ”っていう気持ちもあるので、そういうものが自分を突き動かしている」と語るMASS-HOLEの美学と、地元・松本のシーンとは。

ーアルバム『ze belle』ですが、ソロ・アルバムとしては6年ぶりですよね。

MASS-HOLE:6年前に『PAReDE』というアルバムを出して、その後、kingpinzやfourhorsemenなんかのユニットとしての制作活動も経て、このタイミングかなってことでアルバムを作ったんです。というのも、コロナの影響で、ツアーやDJのブッキングも全部飛んじゃって、時間ができたんですよね。で、「多分、アルバム作るタイミングは今しかないんだろうな」って思ったんです。今作らなかったら、多分、一生作らないなって。ガッツリ自分と向き合って作った感じです。

ー収録されている楽曲のビートがどれも渋くてドープで、作品の世界観ともばっちりハマっていて最高でした。

MASS-HOLE:今回は結構若いビートメイカーを起用したんです。「tour life」を作っているMETってヤツは地元が一緒なんですが、こっちでSound's Deliってクルーの裏方をやってるやつで。Cedar Law$ってやつも、D.D.S.とかのアルバムにも参加していて、最近は海外のアーティストともやりとりしてるヤツですね。TATWOINEってビートメイカーも、MULBEの作品を今後手がけるみたいで。若手のビートメイカーは、例えばインスタのストーリー見てやべえと思ったら、このビート聴かせてくれませんか?ってDMしちゃいますね。そうやってディグしてる感じです。

「”自分が一番になりてえ”っていう気持ちもあるので、そういうものが自分を突き動かしている」と語るMASS-HOLEの美学と、地元・松本のシーンとは。

ータイトルは<ジ ベェル>と読むそうですが、この単語に込めた意味は?

MASS-HOLE:英語だと「鈴」とか「金(きん)」って意味で、ドイツ語だと「吠える」という意味があるみたいで。あと、フランス語だと「かわいい」とか、「小町」って意味なんです。ちなみに、自分の娘が「小町」って名前なんですよね。

ーそうだったんですね!「rumber jack (feat. MIYA DA STRAIGHT)」や「vandana」聴くと、血気盛んというか、「ファイトソングだな」って思ったんです。闘うモードで作ったのかな?と思って。

MASS-HOLE:「rumber jack」は単純に俺ともう一人、長野のMIYA DA STRAIGHTって奴がいるんですけど、二人の共通点が「プロレス好き」なんです。中でも、アメリカのWWEとかゴリゴリなのが好きで。じゃあ、それを一曲テーマに作ろうと。「vandana」は一連の黒人の人権運動もそうですし、日本で言うと、「今の政治ってムカつくよな」っていう気持ちがあったので、それを一回ゼロに戻してみんなで騒動を巻き起こしたいな、という気持ちをテーマにしたんですよね。

「”自分が一番になりてえ”っていう気持ちもあるので、そういうものが自分を突き動かしている」と語るMASS-HOLEの美学と、地元・松本のシーンとは。

ーリリックの一行一行にノックアウトされる感じがあって…。

MASS-HOLE:リリックは今回だいぶ練ったかなと思います。

ーリリックを書くにあたって、特に気をつけたポイントはありますか?

MASS-HOLE:そうですね…。かっこ良く嘘を付くってところですかね。

ーリリックは、全体的に攻めの姿勢を感じました。

MASS-HOLE:そうっすね。攻めてると思います(笑)。

「”自分が一番になりてえ”っていう気持ちもあるので、そういうものが自分を突き動かしている」と語るMASS-HOLEの美学と、地元・松本のシーンとは。

ーその、<攻めの姿勢>の衝動となったものはありますか?

MASS-HOLE:さっきも言いましたけど、多分、コロナがなかったらこのアルバムは作らなかっただろうと思うんです。こういう状況下で、やっぱりみんな鬱憤しているというか、色々と溜まってるなというのは、ニュースを見ていても周りの環境や生活を見ていても感じたことなんですよね。みんな、動きたくても動けない。だったら、そういうものをまとめて曲にして、発散したらいいんじゃないかなって。

「”自分が一番になりてえ”っていう気持ちもあるので、そういうものが自分を突き動かしている」と語るMASS-HOLEの美学と、地元・松本のシーンとは。

ー実際に、「このアルバムで発散できた!」という手応えは?

MASS-HOLE:純粋に自分で作ったものは自分で聴き続けると分からなくなってしまうので、色んな人からも意見や感想をもらいました。例えば、WDSoundsのマーシーさん然り、そういった方からもいろいろな意見や感想をいただけたので、最終的にはいいものが作れたのかなと。最初は、もっと、人をディスるような刺々しい曲とかもあったんですよ。でも、「そういうのは今じゃなくない?」っていう判断をしていただいてボツになりました。

ー逆に、その曲も聴いてみたいっすね…。「G.O.A.T」にも、結構エッジーなラインがありますよね。

MASS-HOLE:「G.O.A.T」は、”「生まれる」というスタート地点と「終える」というエンド地点は同じなんだよ”ってニュアンスの曲なんです。あと、基本的に、ボースティングは得意というか好きな分野なので、これもその派生というか。

「”自分が一番になりてえ”っていう気持ちもあるので、そういうものが自分を突き動かしている」と語るMASS-HOLEの美学と、地元・松本のシーンとは。

ー隅々までに美学溢れているリリックだなと思いました。”それを俺たちはクールと呼ぶ”、とか、”カルチャーには尊敬、ルーツには敬意“とか、聴いていて頷きたくなる。

MASS-HOLE:自分はISSUGI、仙人掌、Mr.PUG、YUKSTA-ILL、YAHIKOたちと、1982sってユニットをやっていて。そこにいるラッパーが全員かっこいいんですよね。自分もその一員だから、そこはやっぱり譲れないものがありますし、その中でも「自分が一番になりてえ」っていう気持ちもあるので、そういうものが自分を突き動かしているのかもしれません。

「”自分が一番になりてえ”っていう気持ちもあるので、そういうものが自分を突き動かしている」と語るMASS-HOLEの美学と、地元・松本のシーンとは。