おじさん、強すぎ!木村一基九段、圧巻の3連勝 超早指しで攻守自在/将棋・ABEMAトーナメント
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 「将棋の強いおじさん」が、今年もまた超早指し戦で一段と輝いた。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Cリーグ第1試合、チーム豊島とチーム木村の対戦が5月22日に放送され、チーム木村のリーダー木村一基九段(47)が個人負けなしの3連勝と大活躍した。同大会では個人戦だった時から超早指しでも強さを誇っていたが、チームリーダーとして迎える2年目の初戦で、勢いのある若手棋士2人を一蹴。「迷惑をかけないように頑張りたい」と戦前には控えめに語っていたが、いざ戦いが始まれば誰よりも目立ちまくった。

【動画】3連勝した木村一基九段

 受けの棋風から「千駄ヶ谷の受け師」、最年長でのタイトル奪取から「中年の星」とも呼ばれる木村九段だが、若手棋士をなぎ倒していく様は、とにかく「将棋の強いおじさん」だった。持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算という、公式戦を含めても最短の超早指し戦。瞬時の判断に勝る若手が有利と言われ続ける中、47歳が躍動した。

 “木村劇場”は、先を切った第1局から。大橋貴洸六段(28)と後手番から角換わりの将棋になると、受け師どころか居玉のままの激しい攻め合いに。相手チームの佐々木大地五段(25)も「木村先生の場合、本当に受けの棋風と言っていいのかわからない」とこぼすほどの斬り合いになってもひるまず、指し手の速度でも一枚上。相手のリーダー豊島将之竜王(叡王、31)に「全然時間が減らない…。2分ぐらいから減らない…」と嘆かせると、180手で初勝利をあげた。

 続いての出番は第3局。リーダーが序盤3局のうち2局に登場するのも受けとは真逆、攻めの姿勢だ。佐々木大五段が大の得意とする相掛かりを受けて立つことになったが、解説していた遠山雄亮六段(41)が「お互いが化かし合っている感じ」と表現するほど難しい将棋に。それでも中盤過ぎから、再び攻めの手で局面の打開に成功すると、チームメイトの佐々木勇気七段(26)、池永天志五段(28)が「強すぎる…」と声を揃える内容で、154手でまた勝った。

おじさん、強すぎ!木村一基九段、圧巻の3連勝 超早指しで攻守自在/将棋・ABEMAトーナメント
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 締めの3勝目は第7局。佐々木大五段との再戦は角換わりになったが、ここでついに受け将棋の真骨頂。先にペースを握られても決定打を許さない巧みさで徐々に木村ワールドに引きずり込むと、自玉をするすると上部脱出、さらには入玉させることに成功。第2局に続き入玉をしたが、今度は相手陣の最深部まで到達。遠山六段に「木村九段の玉は生命力がすごい!」と言わしめる内容で、136手で自身3連勝とチームの勝利を決めた。

 自分の対局がない時は、ユーモアに富んだ会話で後輩2人やファンを楽しませていた木村九段。大活躍の一日に、視聴者からも「木村さんの強さが光ってる」「まさかの攻め師」「このおじさん将棋強くね?」「時間の使い方も完璧だったな」といった声が多数寄せられ、すっかり堪能した様子だった。次戦、チーム羽生との戦いでは、盤上・盤外でどんなパフォーマンスを見せるのか。周囲の期待は、大きく膨らむ一方だ。

◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。

ABEMA/将棋チャンネルより)

勝利を収めたチーム木村
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笑顔の木村一基九段
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