元厚労省官僚で元衆議院議員の豊田真由子氏が「真実の姿をお伝えしたい」と前置きをして、厚労省を含む霞が関の実態について、現場の悲痛な声を代弁した。
「厚労省に限らず、霞が関全体が疲弊し、崩壊寸前になっている。最近ではメディアでも問題として取り上げられるようになってきたが…」
そのように話す豊田氏が入省したのは1997年のこと。当時の様子、また自身の経験を振り返ると「入省から10年、20年くらいは“超・長時間労働”で、残業代はつかずお給料も高くなかった。私も300時間残業していたが、残業代はゼロだった」と驚きの実態を明かした。それでも、当時の霞が関の現場は職員たちの様子は今とは違ったという。
「みんな、嬉々として働く。それは滅私奉公で国のため、国民のために働くのが生きがいという人がわんさかいた」
ではなぜ、冒頭のように「誇り、生き甲斐が崩れている」状態になってしまったのか。その原因について豊田氏は「不祥事とか一部のことが大きく取り上げられて、メディアからバッシングを受け、政治主導で政治家から叩かれて、誇りとか生き甲斐が崩されてしまった」と指摘する。
さらに慶應義塾大学大学院経営管理研究科の岩本隆特任教授が2018年に発表したレポート「霞が関の働き方改革に向けて~ICTを活用した長時間労働是正と生産性向上~」を例に挙げた豊田氏は「霞が関と民間を比較して残業時間(月平均)が7倍、自殺率が1.5倍、メンタルヘルス(病休者)が3倍になっている」と述べると、自身が15年の間、霞が関で働いて見聞きした話を踏まえて「15年、霞が関にいたが、自殺率はもっと高いと思っている。友人知人など、知っている方で亡くなられた方は両手で数えても足りないくらいだ。もちろん、苦しんでいる方はどの世界にもいらっしゃるが、ちょっと多い。ほとんど、ほぼほぼ表に出ない。サッと片づけられて、メディアにも出ない。私たちも絶対に言わないとなっている」と続けた。
そのうえで豊田氏は「襟を正して疑惑を受けないよう一生懸命やるのは当たり前だが、少なくとも若手・中堅で『天下りしてやろう』『汚職してやろう』と思っている人はいない。時代が違う。みんな一生懸命やっている。だけど、そういう目で見られて、300時間残業して、おかしくなってしまう」と霞が関の実態を訴えた。
「国会答弁とか、働かせ方が異常。300時間残業するということは、明け方の5時6時まで働いて、1時間仮眠をとって9時から働くというのが当たり前になっていた。私も、そういうものだと思ってやっていた」
そのように話した豊田氏によると、こうした霞が関の現状は国や国民にとっても悪影響を及ぼすという。
「この10年はだいぶマシになったが、今でも20代の若い人が毎年二桁の割合で辞めていく。決済をもらうのに15人にハンコをもらわなければいけないなど、解消すべき慣例はやっているが、国会対応は無くならない。『国民のために』と思っていた人たちが、もたなくなる。そうすると良い政策が立案・実行されなくなり、国と国民にとって良くない状況が起きている」
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