一進一退の攻防が予想された好カードの決着は一瞬で訪れた。ガード下の隙間を縫うようにアゴを突き上げた必殺の蹴り「上弦ノ三日月蹴り」がムエタイ・レジェンドを47秒で粉砕。ムエタイの難敵を一撃で沈めた戦慄の三日月蹴りに「ワンパンならぬワンキック」「まるで漫画のような蹴り」など驚きの声があがった。
5月23日に後楽園ホールで開催された「RISE149」のメインイベントで一馬（MONSTAR GYM）がノラシン・スペチアーレジム（タイ）を1ラウンド47秒で秒殺KO。一馬はスーパーフェザー級のランキング1位で、昨年2月に竹内皇貴を1ラウンドKO、12月には前田太尊から3つのダウンで奪ったRISE屈指のKOアーティスト。最近では格闘系YouTuberとしても活動し、詳細な技術解説には定評がある。本来であれば王者チャンヒョン・リーとの対戦が濃厚だったものの、コロナ禍の影響で王者が来日できずタイトル戦は実現しなかった。
対戦するノラシンは元ルンピニー/ラジャダムナンで別階級を含む複数回王者に輝き、ボクシングでも2冠。今年2月には「RISE ELDORADO」に参戦し、梅野源治と激闘を繰り広げている。判定で敗れたものの、気持ちの強さを前面に出すファイトスタイルでファンを魅了した。
試合は序盤、右の前蹴り、左のローキックなどで距離を探る一馬に対して、ノラシンはムエタイ選手独特の静かな入りをみせる。一馬のパンチの連打をガードしたノラシンが挨拶代わりに右ロー放つと、ボディがら空きのゆったりとした構えを見せる。しかし、一馬がそのスキを見逃さなかった。
一馬が鋭く振り上げた三日月蹴りがノラシンのアゴにヒット。ゆるいガードの下を突き上げるような蹴りをまともに被弾したノラシンは後ろに倒れ込むと、中腰のままテンカウントを聞いた。鮮やかな一撃に視聴者も「ワンパンならぬワンキック」「顔面に三日月蹴りはエグい」などと驚きの声を上げた。アッパーぎみにアゴを捉えた衝撃のKOシーンが映し出されると、この日ABEMAでゲスト解説を務めた直樹も「顔面への三日月蹴り流行るかもしれませんね」と興奮しきりだった。
マイクをとった一馬は開口一番フィニッシュの技について自ら解説「最後の技は僕の切り札、上弦三日月です。上弦三日月出してる選手いないんじゃないですか？ 今日僕がはじめてだったと思いますどうでしょうか？」と会場に語りかけ、さらに「タイトル戦流れちゃったんですけど、年内ベルト僕が貰います。相手が誰であろうとKOで勝てる実力がついていると思うので、超注目しといてください」とアピールした。
一馬が命名した「上弦ノ三日月蹴り」だが、じつは1年半前に「ガード不可能な空手最強の蹴り」「自分の技で一番 殺傷能力の高い攻撃」などと自身のYouTubeチャンネルで紹介している。その際「三日月蹴りと上弦三日月蹴りはギリギリまで同じ角度なのでわかりづらい」などと特徴を話していたが、実戦で言葉通りの破壊力を見事に証明してみせた。
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