YouTube→オフ会でメンバーに加わった若者も…「コロナ禍やSDGsで高まる労働者の意識を革命に転化する」若手リーダーが語る中核派の思想
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 「資本主義や新自由主義が破綻し、青年が明るい未来を描けない状況が全世界的に見られていた。この薄氷の上に成り立っていた社会がいよいよコロナ禍によって崩壊し、労働者や人民が生きられなくなってきている。それを革命に転化していく」(石田真弓氏)。

・【映像】コロナに乗じた革命画策?暴力を肯定する中核派の狙いは?若手リーダーに聞く

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“過激派”の最大勢力の一つ・中核派(革命的共産主義者同盟全国委員会)。暴力を用いた資本主義体制の打倒を掲げテロやゲリラを繰り返し、成田空港建設に抵抗した三里塚闘争(1966~)や東大安田講堂事件(1969年)、警察官が火炎瓶の犠牲になった渋谷暴動事件(1971)などにも参加、他派との「内ゲバ」によって多数の死傷者を出してきたことから、警察に“極左暴力集団”と定義されるグループだ。

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 今年1月、そんな中核派を率いてきた清水丈夫議長(83)が、51年の潜伏期間を経て突如姿を現した。会見に臨んだ清水議長は「国家を粉砕するのが革命だ。革命情勢が本当に到来している」と主張し、過去の事件で人命が奪われたことについて尋ねられると「階級闘争だから仕方ないではないか」と正当化している。

 “革命のためなら暴力をも肯定する”という姿勢を持ちながら、近年ではYouTubeを用いて若者の勧誘にも成功している中核派。25日の『ABEMA Prime』では、その若手リーダーの一人、石田真弓氏(34)に生直撃した。

■「暴力をなくすためには、今存在している暴力を粉砕しなければならない」

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 学生時代、第一次安倍政権が進める教育基本法改正に反対する先輩に出会い、「こんな人たちがこの時代にいるとは思っていなかった。殊勝な人たちもいるんだな」と感じ、中核派の活動に参加するようになったという石田氏。広島県の出身ということもあり、“反戦意識”が強かったというが、それでも中核派メンバーとして暴力を用いることを厭わないという。

 理由を尋ねると、「社会を根底から変えていくためには労働運動、学生運動が本格的に力を取り戻していかなければいけない。そして非正規雇用や貧困・格差の問題に苦しむ労働者が団結し、立ち上がっていく。このことが大きな潮流にならなければ、いくら武装闘争しても意味はない」とした上で、次のように主張した。

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 「警察、軍隊、官僚機構、監獄などによって人民が抑圧・支配されているという意味では、資本主義社会、民主主義社会も暴力によって成り立っているといえる。ミャンマーや香港の状況を見ても、これが社会の本質だということが明らかになってきているし、そこに対抗する暴力というものが絶対に必要だということだ。僕らも非公然、非合法の党であることを放棄したわけではなく、今後も地下に潜伏する“非公然活動”は続けていくし、具体的な情勢、展開によっては、皇居に向けてロケット弾を発射するといった可能性もある」。

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 石田氏と同世代で、東京大学在学中から様々な社会課題の解決に向け取り組んできたリディラバ代表の安部敏樹氏は、「学生からスタートした社会運動という点では、僕たちリディラバも同じ。それだけに、中核派の問題を経験してきた大学当局からは、学内で社会問題に取り組むというだけで警戒されたこともある」と振り返り、石田氏に疑問を投げかけた。

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 「僕自身も、社会に存在する良くないことを変えたいと思って仕事をしている。ただ、先輩たちはともかく、同じ時代を生きてきた石田さんが、なぜ“暴力も許容できる”という考えに行きついてしまったのか。本当に社会を変えたいと思うのなら、暴力を許容し、人を殺した歴史についても“しょうがない”としてしまうような組織の外でやるべきではないのか」。

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 すると石田氏は「僕自身も暴力は良くない、戦争には反対だと思っているので、むしろ平和主義者だ。しかし大学時代、政治的な主張をする学生にまともに対応せず嘘をついたり処分したり、最終的には警察を呼んで逮捕させて潰そうとしたりと、話し合いではなく暴力によって押していこうとする大学の姿に直面した。そこから、これを乗り越えていくためには自分たちも力を持たなくてはいけない、暴力をなくすためには、今存在している暴力を粉砕しなければならない、という考えに至った。沖縄の基地建設問題でも住民の声を聞かず、資本主義の金と暴力的な力で押していこうとしているし、歴史的にも支配階級が話し合いをしないことは一貫している。こうした考え方は中核派でなくても普遍性を持つものだ」と反論した。

■「SDGsも、このままでは社会が持続できないと支配階級が感じていることの表れだ」

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 清水議長の“活動再開”について、中核派の本部『前進社』(東京・江戸川区)で番組の取材に応じた“ナンバー2”の秋月丈志書記長は「議長が非公然活動を続けてきたのは、ありとあらゆる弾圧や攻撃から党の指導部を守るため。しかしコロナで社会が壊れている今、新しい社会、革命へのチャンス、その勝負に出る時だ、できることはなんでもやろうと出てきたということだ」と説明した。

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「コロナ禍以前に、アメリカでは民主党のバーニー・サンダース、イギリスでは労働党のジェレミー・コービンなど非常に左傾化した人に注目が集まるなど、世界的な潮流として社会主義が再び台頭してきていた。背景には90年代移以降、右は新自由主義、市場原理主義に傾斜した一方、左、リベラルの方はジェンダーや障害などのアイデンティティ・ポリティクスの方に傾斜した結果、格差が開いて貧しくなった真ん中の労働者層の政治的な受け皿が無くなってしまったことがあると思う。労働組合の組織率が下がっていったのも、待遇の問題よりも安保や憲法の問題ばかりをやってきた結果ではないか」と指摘。

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 その上で「中核派は世界的に学生運動が盛り上がっていた1960年代、既存の日本社会党や日本共産党とは異なる新左翼の一つとして出てきたが、それらの運動を担っていたのは戦後生まれの団塊世代だ。慶應義塾大学の小熊英二教授によれば、高度経済成長が始まり豊かになっていく一方、古い価値観が消滅していくことへの戸惑いを感じていた彼らがエネルギーをぶつける対象、ロマンティシズムを感じる対象として“革命”があったという。

 ところが12人が犠牲になった日本赤軍の山岳ベース事件(1971~72年)を機に新左翼は先鋭化し、中核派も80年代、90年代はロケット弾を発射したり、党派間の争いである内ゲバで合わせて多くの死傷者を出したりするなど、社会運動としては一部の世界のものになっていった。確かに近年の社会主義への期待から注目されるようになっているのかもしれないが、言動を見ていると、むしろかつてのオウム真理教のような新興宗教に近い印象を受ける。これから労働運動を盛り立てて行くと言っても、“天皇制打破”などの“空中戦”のような主張、闘いを続けていくのだろうか」と疑問を投げかけた。

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 石田氏は「労働者が置かれている現実はどんどんひどくなっているし、安倍政権、菅政権の状況を見れば、政治不信がものすごく高まっている。一方、既成の左翼と呼ばれる勢力、政党はあまりにも力を持っていないし、主張としてもデタラメなことをやっている。例えば僕らが批判してきた日本共産党の場合、労働問題について現状そのものや社会を変えていくのではなく、“解決金を取ったから勝利だ”、というようなスタンスを取り続けてきた。20代~30代が選択肢として右、自民党を選んでいるのには、そういう背景もあると思う。その思いを全て資本主義の打倒、社会変革につなげていくのが革命党の役割だ。

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 もちろん具体的な課題で真剣に闘っていく“実践”が問われることになるが、資本主義の打倒といった僕らの主張、理念も受け入れられると思うので、矛盾する課題ではないと思う。それこそ最近の“SDGs”も、僕らの言葉では支配階級、権力を持った既成勢力が、このままでは社会が持続できないと感じていることの表れだろうし、庶民はそのことを肌感覚でもっと感じているはずだ。ただ、SDGsそのものについては支配階級が打ち出しているものである以上、市場原理主義や新自由主義の推進を孕んでいるはずだし、そこに僕らが乗っかっていくのは地獄の道でしかない。もちろん反対するし、そこに吸収されていかないとことも重要なポイントだ」との見解を示した。

■「YouTubeがきっかけでメンバーになった若者もいます」

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 中核派はこうした思想を持ちつつ、近年ではYouTubeチャンネル『前進チャンネル』を通じ、若い世代に向けた情報発信を行っていることでも知られる。動画では若手による機関紙『前進』の解説や各地のデモの紹介の一方、“中核派ヘルメット”プレゼント企画など、親しみやすくソフトなイメージを前面に押し出し、さらには“オフ会”の開催案内も。

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 実際、今月のオフ会には20代~30代の9人が参加したといい、石田氏によると、こうした活動を通じて中核派に関心を寄せ、メンバーになった若者もいるのだという。「左翼運動は60年安保、70年安保を闘ってきた上の世代が中心だが、『前進チャンネル』を見ているのは10代~30代の世代が中心。新聞やチラシを配る、普段のアナログな活動の中では出会えなかったような人たちと会えていることに、自分たちでも驚いている」。

 一方、番組には「YouTubeやTwitterは、こういうアカウントはBANすべきでは。不安定な社会情勢のもとでは過激な思想に染まる若者が多い。あまりにも危険だ」といった声が寄せられた。

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 静岡県警時代は公安刑事として過激派を捜査した経験を持つ真田左近氏は「石田さんの話を聞いていると、やはり世代の違いは感じる。ただ、清水議長が出てきたのは、要するに自分のやってきたことをここでアピールしたい、失礼な言い方かもしれないが、“人生の最後の記念”を残そうという意図も透けて見える」とした上で、次のように話した。

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 「実は100%の資本主義・社会主義というのはないのではないか。あのアメリカですらニューディール政策や連邦準備制度があるように、計画経済、社会主義的な要素はある。逆に資本主義を大幅に取り入れている中国や、3代続けて事実上の“王朝”を営んでいる北朝鮮など、今も生き残っている社会主義の国にも、多種多様な現実がある。日本の各セクトを見ても、色々なものがあった。

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 そこに共通する悪い部分をたどっていくと、おそらくスターリン統治下のスターリン主義あり、それが各国に輸出され、日本では共産党がコミンテルンの支部になったり、カンボジアではポル・ポトによる虐殺、中国の文化大革命などといった現象を生み出したりしたのだと思う。ただし新左翼や右翼、宗教団体などは日本国憲法で認められている結社の自由を根本にして存在しているのであって、中核派が存在すること自体が許されないというのは極論だし、法治国家である以上、どんな手法でオルグ(勧誘)していてたとしも、それが合法的なものである限り権力が阻止することは良くないということだ」。

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 『平成・令和 学生たちの社会運動 SEALDs、民青、過激派、独自グループ』(光文社新書)の著者でジャーナリストの小林哲夫氏は「生まれながらに閉塞感漂う中に生まれた世代には“革命”という言葉が新鮮で、ある種希望を託したくなる。学生が社会と向き合うのはいい。しかしどういった立場、グループで活動するかは慎重に考えて欲しい」と警鐘を鳴らした。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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