将棋の名人戦七番勝負第5局が5月28、29日に神奈川県足柄下郡「ホテル花月園」で行われ、渡辺明名人(棋王、王将、37)が挑戦者の斎藤慎太郎八段(28)に94手で勝利した。この結果、シリーズ成績4勝1敗で渡辺名人は初防衛に成功。通算タイトル獲得数を29期に伸ばし、“現役最強”の座をがっちりと維持する貫禄のシリーズとした。
【中継】渡辺明名人、名人初防衛!
激しい攻め合いとなった1日目は斎藤八段のペースで終えたかと思われたが、2日目に入ると封じ手直後から互角に。さらに渡辺名人の厳しい攻め込みで逆転し形勢の差を広げると、終盤にかけては蓄えていた持ち時間をじっくり使い、斎藤玉を逃さず仕留めた。
第1局こそ、斎藤八段に終盤での逆転負けを喫した渡辺名人だが、第2局からは現在最多の三冠保持者の貫禄を見せつける勝ちっぷりだった。他棋戦でもタイトルにつながる重要な対局も多い中、名人戦七番勝負でも充実した内容に終始。A級初参加で挑戦権を獲得した斎藤八段の勢いがどこまで通じるかというところもシリーズのポイントに挙がっていたが、結果を見れば渡辺名人の強さがさらに際立つこととなった。
終局後、渡辺名人はシリーズについて「1局目はすごく激戦の将棋で開幕して、4局目とか大変な将棋が多かったです。結果を出せたのはうれしく思います。やり方としては変えていないですが、作戦的にうまくいったところはありました。1日目から難しい将棋が多かったので、考えさせられることは多かったです」と振り返ると、初防衛には「昨年はイレギュラーな日程であっという間に来てしまった感じでしたので、結果を出せたのはうれしく思います」と語った。
渡辺名人は6月6日から、ヒューリック杯棋聖戦五番勝負に登場。昨期、奪われたタイトルを取り返すべく、藤井聡太棋聖(王位、18)とのリベンジマッチが控えている。王将、棋王、さらに名人と保持するタイトル全ての防衛に成功し、充実期を迎えるトップ棋士が、今度は最強の挑戦者として四冠を目指す。
(ABEMA/将棋チャンネルより)